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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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89 議会

 巫女たちを護衛する守人ガーディの足に合わせてマイノカへと帰ってきた。


 ギギたちは休ませ、オレだけでゼルに説明しにいった。


「バリュードの群れか。厄介だな」


 旧ミレナーの民の長老から聞いたようで、重いため息を吐いていた。


「そうなる気持ちはよくわかる。だが、王が弱気な姿など見せるな。常に堂々としていろ」


「王と言うのは胃が痛くなる立場だな」


「嫌ならさっさと息子を育てて任せて退位してしまえ」


 横にいるゼルジュニアを見ながら冗談っぽく言ってやる。


「そうだな。レオガルド様に唆されて王になるんじゃなかったよ」


「ふふ。知識がないと言うことは知識ある者から騙されると言うことだ。己の無知を恥じろ」


 身をもって学んだら次に活かすことだな。


「いいか。基本、騙すほうが一番悪いが、王が騙されるのは騙すヤツより悪い。王は賢くあれ。賢くないのなら賢い者を味方にしろ。王が愚かなのは最大の罪だ」


 自ら王になれるヤツは何百年に一人出るか出ないかの奇跡だ。大体は教育されて王になるものだ。だからこうして一つ一つ教えていくしかないだろうよ。


「まあ、次世代の王より今はバリュードだ」


 広場に場所を移し、主要メンバーを集める。


 集まったらミナレアでのことを説明した。


「バリュードの侵略に対して銃士隊を出す。マイノカの守りが薄くなるが、残った者で堪えて欲しい」


「守りは任せてくだされ。王もいくので?」


「いや、ルゼ公爵を旗印にする。バリュード侵略をルゼ公爵の立場を固めるために利用する」


 王の立場を固める材料にしてもいいんだが、それはマイアナ艦隊との戦いを利用した。なので、今回はルゼのために利用しよう。


「レオガルド様。ジュニア様を連れていってはどうでしょうか?」


 長老、とまでいかなくても年配の男が口を開いた。


「どう言うことだ?」


「これからまたこう言うことがあるでしょう。そのときのためにジュニア様に経験させてはどうでしょうか? レオガルド様は賢さは大事と言いますが、古い世代は強さでものを計ります。そう言う者らを黙らすためにもジュニア様を戦いに参加させるべきかと」


「ゼル王はどう思う?」


 即答をしないでゼルに回した。


「……マイノカの中だけならいいが、他は強くないと納得すまいな。少数だが、他にもゼルム族はいる。そいつらを従わせるためにも強くあるべきだとは思う」


 なるほど。と、考える振りをする。


 ジュニア神格化計画は考えていたから年配の男の提案を飲むのは構わない。が、せっかく提案する者が現れたのだから議論させるのもいいだろう。


「他の者はどう思う? ジュニアを連れていくとして、配下もなしにでは他にナメられるのではないか? 他からのちょっかいを躱せる者は必要ではないか?」


 その問題点も考えさせる。


 オレは口を出さずに議論する者らの言葉を聞いていた。


 議論は二日もかかったが、やっただけの成果はあった。議会と言う概念が生まれてくれたからだ。


 ──王下議会。


 と命名し、レオノール国のことを考えることを定期的にすることになった。


 ただ、頭でっかちの議会となってもらっては困るので、議会メンバーには各地を回って国の実情を見てもらうことにする。王に強さを求めて配下が弱いでは話にならないからだ。


 なので長老会に決定権はないが相談役として王の下におき、議会が国を運営していくことにした。もちろん、議会には人間も入れ、徐々に他の種族も入れていくことにする。


 まあ、今はざっくりした取り決めで、試行錯誤していくしかないが、今回は、ジュニアをバリュード侵略戦に参加することを決め、誰を連れていくかを選出した。


 ジュニアの護衛代表として上がったのは意見をした男で、名をラゼと言う。旧ミレナーの民で十氏に入るとか。


「どの種族にも野心家とはいるものだな」


「ラゼか。昔から族長を狙っていた男だ。頭もよかった」


 夜、ゼルと話し合いの中で、ラゼのことが出た。


「そうか。ゼルム族にもそう言う男がいてよかった。ああ言う男はこちらが言わなくても自主的に動いてくれるし、他の種族にも目を向けてくれるからな」


 世が世なら大臣とか任せたいところだが、まだ知識も知恵も経験も足りてない。今は野心で動いているだけだろう。


「悪い顔をしているぞ」


「ふふ。長い付き合いだと隠すこともできんな」


「あまりイジメてくれるなよ」


「イジメとは酷い言い種だな。ジュニアと同じく育ててやるだけさ」


 しばらくは王政としてやっていくからにはラゼのような男は必要だ。将来の宰相として艱難辛苦を与えてやろうじゃないか。


「苦労に見合うだけのものになるといいな。ジュニアに苦労を押しつけるのは偲びないが」


「王族とは苦労するものさ。まあ、堕落した王族は民衆によって排除されるがな」


「まったく、レオガルド様の口車に乗った昔の自分が憎いよ」


「無知はこうして利用されるいい見本だ。父親としてジュニアに伝えてやれ」


 王としてではなく親として。息子の未来を思ってな。


 銃士隊の編成を整え、食料や弾薬を集めるのに秋までかかってしまった。


 バリュードは冬眠はしないと言うので、もしかしたらミナレアで越冬しそうだな。


「ジュニア。号令を出せ。王の息子としてな」


「はい! 出発する!」


 銃士隊を先頭に、ミナレアへと出発した。

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