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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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85 頭を使う戦い

 最初の村に到着し、村の者を集めてブランボル村に獣神の神殿を築いたことを伝えた。


 神殿を築くことはゼルたちが村々を回ったときに伝えてあるが、情報は細かく伝えておかないと周知できない。ましてや文字を知らないのだから口頭で伝えるしかない。


 シルミたちに村人との交流を任せ、オレは猟兵イェーガーたちの訓練をする。


 まあ、訓練と言っても猟兵イェーガーたちが逃げ、オレが追いかける、鬼ごっこなんだかな。


 猟兵イェーガーが獲物になるとかなんの冗談かと思うが、大半はモンスターと戦うのだからモンスターと戦うことに慣れてもらわなければならない。SSS級のオレが追うのだからいい訓練になるだろうよ。


 蜘蛛の子を散らすように走り出す猟兵イェーガーたちだが、オレからしたらよちよち歩きしているようなもの。半径四キロ内なら問題なく追いつける。


「遅い! 闇雲に逃げるな! モンスターは嗅覚に優れているんだぞ!」


 謎触手で猟兵イェーガーを薙ぎ払ってやる。


 払う場所と力加減しているとは言え、人一人持ち上げられるだけの力がある。食らったしばらくは動けない。弱いヤツは気絶してしまった。


 十五分もしないで二十人を沈め、意識のある十人に回収を命じた。


 昼過ぎくらいにやっと全員が村に集まった。いや、集められた、だな。


「お前ら、弱すぎだ」


 いや、オレが強すぎるのだが、それにしたって考えなしすぎる。モンスターだってもっと頭を使って狩りをするぞ。


 ただ、こいつらの回復力は他種族より群を抜いている。気絶した者もすっかり回復して立っているよ。


「返す言葉もありません」


 潔いこと。他のヤツらも不平を言うことはなかった。


「お前らとモンスターを分けているのは知能だ。そのよさを使わずただ逃げるだけでは勝てるモンスターにも勝てるわけがないだろうが」


 賢いモンスターがいるとは言え、脳ミソの作りはゴゴール族のほうが勝っている。頭を使って戦えばAランクモンスターなら倒せるはずなのだ。


「この世にはオレをも殺す武器がある。だが、子供に槍を渡したところでオレを倒すことはできない。この意味はわかるな?」


「はい」


「オレを殺すにはレイギヌスの気配を殺し、オレに手が届く範囲にまで近づかないとならない。そこまでするのにいくつの壁がある? なにが必要だ? どのくらいの数がいる? お前らはそれを解決する頭を持っているんだ。ただ、闇雲に槍ばかり振るうな。どんなに槍使いが上手くなろうとモンスターには届かないんだよ」


 ヤトアですらAランクモンスターを倒すのがやっとだろう。集団になればSランクモンスターまでいけるかもな。


「モンスターには特徴があり弱点がある。もちろん、お前たちにも特徴があり弱点がある。まず、己を知れ。地の利を知れ。モンスターを知れ」


 こいつらはまず己を知らなくてはならない。


 なので、六人一組として組手から始めることにした。


 とは言え、主目的は村を回って神殿ができたことを伝えること。三日したら次の村へと出発する。


「十人でオレの食い物を狩ってこい」


 移動中も訓練だと言って狩りをさせる。


 狩りの勘が鈍るのは嫌だが、この辺には獣しかいない。小さい獲物は猟兵イェーガーに任せたほうが効率的だろうよ。


「どこにも猪はいるものだな」


 種類は違うものの、猪とわかる姿をしている。


 狩ってきた体長三メートルくらいの猪を食らい、腹を満たした。


「猪はよく狩るのか?」


 一撃で倒したみたいだが。


「はい。猪は狩っても狩って出てきますから」


「じゃあ、次は弓だけで狩ってこい」


 狩り方を指定する。戦いは槍だけでは片付けられないからな。


「わかりました」


 弓矢を使う狩りもしているからそう難しくはないようだが、十本以上射して狩ったようだ。


 それを続けると、射した数も減っていき、三本で倒せるようになった。


「次はナイフで狩りをしてこい」


「……これにはどんな意味があるんでしょうか……?」


「槍には槍の殺し方があり弓矢には弓矢の殺し方がある。次はナイフの殺し方を学んでこいと言っている。何度も言うが、頭を使った戦い方をしろ。自分らで考えることを学べ」


 こいつらはすぐ体で考えるようにする。


 以前までだったらそれでもいい。だが、これからは頭で考える戦いになる。それができなければ他の種族に淘汰されるだけだ。


「人間は弱い。個の力ならお前らが上だろう。だがな、人間は頭を使って戦いをするのに長けている。集団戦がどの種族より優れている。仮にお前らと戦うことになったら森を焼くことも、森に毒を撒くことも厭わないだろう。そう言う戦いをしたらオレですら止められないだろうよ」


 だからと言って人間を憎まないように説き伏せる。人間は厄介だが、味方になれば心強いことを教えた。


 それで納得したかはわからんが、オレの指定した狩りをしてくるようになり、集団戦を心がけるようにはなってくれた。


 夏になる頃には三十分は逃げられるようになり、何人かはオレの鼻を欺くようなヤツが出てきた。


「やはりお前らは頭を使う戦いに優れている」


 褒めるところは褒めておく。オレは褒めて伸ばすタイプだから。


「次にくるまでに狩る役、逃げる役を決めて訓練していろ。もちろん、知ることも続けるんだ。考えることを止めた種族に未来はないんだからな」


 すべての村を回り、猟兵イェーガーの基礎も教えた。収穫の季節となるのでミナレアに戻ることにする。百人の出稼ぎを連れて。


「シャルタ。あとは任せる」


 フレンズな獣人の守人ガーディを二人つけ、ゼルム族と人間の巫女を一人ずつ残した。


「はい。神殿を守り、レオガルド様の教えを伝えていきます」


「ああ。たまにレブとチェルシーを寄越す。なにかあれば遠慮せず伝えろよ」


 巡回巫女もまだ年に一回がやっとだろうからな。


「では、ミナレアに帰るとしよう」


 フレンズな獣人たちに見送られ、ブランボル村を発った。

宣伝。『隣の幼なじみがまた「ステータスオープン!」と叫んでる 勝ちヒロインの定義』も読んでみてください。

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