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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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83 ところ変われば

 守人ガーディを育てる暇なく冬になってしまった。


「今年は雪が少ないな?」


 それに雪が降るのも遅かった。


 自然のことだからそんな年もあるんだろうが、それにしたって雪が少なすぎる。もしかして、フガクの影響だろうか?


 謎が多すぎて法則性も検討がつかない。が、記録だけはさせておく。歴史は残してこそ後世に役に立つのだからな。


「ヤトア。騎士ワルキューレの訓練はどうだ? なにか問題は出てるか?」


 完全にヤトアに任せっきりたが、こうして会えば報告を求めている。


「今は体術を教えている」


「あの体で体術か?」


 まあ、やってやれないだろうが、細かい動きなんてできるのか?


「もちろん、人間のようにとはいかないが、体術は人間の動きを学ばせるほうが主だからな」


 なるほど。剣士としてだけじゃなく指導者としても伸びてきてるな。


守人ガーディはどうなんだ?」


「あまり上手くはいってないな」


 守人ガーディ騎士ワルキューレのようにガチの戦闘職にするつもりはないから、一定の体力があればいい。だが、ほぼ野生に等しい生活を送っていたヤツらに礼儀を教えるのは本当に苦労するのだ。


「レオガルド様は、合格基準が高すぎるんだよ。下地ができてない者には厳しすぎると思うぞ」


 オレ、そんなに厳しい目標にしてたか? これでも妥協してるんだがな……。


「考えたのだが、巫女たちを巡回させて、守人ガーディに守らせたらどうだ?」


「どう言うことだ?」


「神殿と神殿を巡回して平和と豊穣を願い、なんとかかんとかと理由づけて他種族との繋がりを持たせるようにするのさ」


 言いたいことはなんとなくはわかる。


「それ、お前の発想ではないだろう?」


 こいつの性格からそんな発想が出るとは思えない。ザザ辺りが考える発想だ。


「わかるか。ザザからの提案だよ」


「やっぱりか。でも、なんでザザは直接オレに言わないんだ?」


 オレは誰からも意見は聞くぞ。


「まあ、オレへの配慮らしい。オレも一応、獣神教の一員で、レオガルド様の弟子だからな。オレからの提案として手柄にするそうだ。オレにはいまいち理解できんのだがな」


「あいつは、呪霊師より政治家になったほうが合ってるかもな」


 オレも政治に詳しいわけじゃないが、サラリーマンとして会社の歯車をやっていた。正しいことが正しく評価されることはないくらい身に染みてわかっている。


「わかった。ヤトアの進言を受け入れたことにしよう」


「面倒だな」


「今はいいが、あと二十年もしたらお前もかしずかれる立場だ。妬みや甘言を受けるだろう。自分の立ち位置を築いておけよ」


「おれは剣士としていたいんだがな」


「オレもギギとおもしろおかしく生きていたいよ」


 それができない立場となった。なら、面倒なことにならないよう動くしかない。


「面倒だ」


「それが人の中で生きると言うことだ。獣なオレが言うと笑い話にしかならんがな」


 なにはともあれヤトアの進言として、巡回巫女を選別し、守人ガーディに護衛させてフレンズな獣人なところへ向かうとする。


 もちろん、ギギとレブは残す。ルゼの立場を確立するためにオレかギギは必要だ。残さないわけにはいかないのだ。


 巡回巫女の代表は、ゼルム族の女。ゼルたちと一緒にきた第一陣にいた女の娘だ。


 年齢はまだ十歳(見た目は十五歳くらい)だが、教育をさせてきたから知能も高く知識もある。自尊心もあると言うのでギギが推したのだ。


「シルミ。他の巫女たちをお願いね」


「はい。ギギ様」


「皆もシルミを支えてあげてね」


 人間、ゼルム族、ゴゴール族と、二名ずつつけた。


 巫女も増やしたいところだが、増やしすぎてもダメだ。今いる人数でやっていくしかない。


 ゼルム族の守人に車──巫女車を引かせ、巫女を乗せる。


 種族差別だ! とかはない。オレも荷車を引いてるし、巫女も乗せている。


 なので、ゼルム族の間では神聖な仕事として受け入れられているよ。ところ変われば、だな。


 もちろん、巫女全員は乗せられないので、五人はオレの荷車に乗せる。


「道も整備しないとダメだな」


 マイノカから続く道は荷車が通れるくらいにはしたが、ミナレアから続く道は獣道くらいしかない。謎触手で切り開きながらだから歩みは遅い。


 それに、雪は降らなくても気温は冬。水溜まりに氷が張っているのだから寒いに決まっている。暗くなる前に夜営し、暖を取ってばかりだ。


 ……春になってからのほうがよかったかな……?


「皆。がんばって」


 シルミが率先して巫女や守人ガーディに声をかける。


 そんな状況では戻ろうとも言えない。なので、せめてもの慰めと、夜は巫女たちを抱いて温めてやった。


守人ガーディたちも無理はするな」


 いきなり冬の旅は辛かろう。女が大半なので無理しないようには声をかけておく。


「はい。ですが、守人ガーディとしての役目をまっとうします」


 フレンズな獣人の守人ガーディがそんなことを言う。


 ザザの言う通り、フレンズな獣人の立場を作るためにやっているようだ。


「そうか。頼りにしているぞ」


 盲目になりそうで怖いが、今は矜持を育てていくとしよう。守人ガーディは巫女を守る存在として確立するためにもな。

宣伝。『わたしはタダの侍女ではありません』も読んでみてください。

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