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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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81 霊司教

 レブとチェルシーがいないので、ギギたちの護衛のために騎士ワルキューレ訓練はヤトアに任せることにする。


「ミゼル。オレがいくまでヤトアに剣を学んでいろ。いいか。人間だからと侮るな。ヤトアはオレと組手を何度もしてきてAランクモンスターくらいなら単独で倒せるくらいにはなっている。教わる者としての礼儀を忘れるな」


 ないとは思うが、一応、釘を差しておく。


「わかっております。人間の脚で我々の走りについてくるのですから」


 どうも、ゼルム族の間では走る速さは尊敬に値するものらしい。


「ヤトアも礼儀を忘れるな。まあ、礼儀知らずにはガツンとやっていいがな」


「わかっているさ。おれもレオノール国の民と言う自覚はあるからな」


「ふふ。大人になったもんだ」


 嫁を五人ももらうと嫌でも成長するものなのかね? 


「止めてくれ」


 憮然とするヤトアの頭を叩き、ゴノの実の収穫へと向かった。


 平和に収穫を勤しんでいると、六日後にレブとチェルシーが帰ってきた。フレンズな獣人を百人以上連れてきて。


 ……距離的にそう離れていないが、六日で百人以上連れてくるとか迅速すぎんだろう……。


「どうしたんだ、こんな大人数で?」


「たくさん収穫したいからたくさん連れてきたんです」


 満面な笑みを見せるレブにどう反応していいかわからず、ギギに助けを求めた。


「た、たくさん連れてきてくれたのはいいけど、無理矢理じゃないわよね?」


 ギギもオレと同じ考えだったようで、優しく問いかけた。


「いえ。我らがお願いを言ってついて参りました」


「そうか? まあ、きてくれたのは助かる。お前たちが収穫した分はお前たちが好きにしていい。あと、猪を生け捕りしてくれると助かる。家畜にしようと思っているんでな」


 ゴノの実を食うなら家畜化もできるはずだ。これだけあるならエサに困らないだろうからな。


「わかりました。男手も連れてきたのでやらせます」


 七割は女で三割は男か。それでよく住み家から出てきたものだ。反対されなかったのか?


 フレンズな獣人たちは休むことなく収穫や猪の生け捕りへと動き出した。


「レオガルド様。少しよろしいでしょうか?」


 オレも働くか──と思ったら、やることがないから手伝いにきていた呪霊師のザザに意味ありげに呼ばれた。


「わかった。あちらで話そうか」


 少し離れた場所へと移り、ザザを隠すように寝っ転がった。


「レオガルド様は機微でいらっしゃる」


「そう言うのはいい。なんなんだ? あいつらのことか?」


「はい。少し、レブ様に傾向しているように見えましたもので」


 まあ、獣神ししがみの巫女としてチェルシーを従えている。この大森林で過ごしていたら神格化しても無理はなかろう。


「なにか不安なことがあると?」


「下衆な言い方になりますが、お許しください」


「甘言はいらないが、進言ならいつでも聞くぞ」


 そのために人間を側に置いてある。善くも悪くも社会性を築こうとしたら人は欠かせないからな。


「理解ある上司がいると言うのは下の者に取って幸いです」


 それはよくわかる。オレも無能な上司に苦労させられたからな。


「ゴゴール族の方からすると、同族たるレブ様を丸め込もうとしていると感じます」


「……そうならないために各種族から巫女を集めたんだが、オレの考えが甘かったようだな……」


 他種族が仲良く暮らす国を、なんて夢想は持ってないが、それでも他種族が集まって暮らせるよう各種族から巫女を集めて平等を植えつけようとした。


 だが、レブの存在がゴゴール族たちに余計な考えを持たせてしまったようだ。


「ギギを丸め込もうとしてるヤツはいるか?」


「レオガルド様を知る者の中にはいないでしょう。セオル様から絶対にギギ様を政争の道具にするなと釘を差されておりますから」


 セオルのヤツ、本当にオレをわかっているぜ。


「ギギ様がいることで人間は慌てる必要はありません。ゼルム族も王がゼルム族なので慌てる必要もありません。ベイガー族はレオガルド様を信仰しているので問題はありません。ですが、ゴゴール族には……」


「レブがいる、か」


 まったく、面倒この上ないな。


「人の心を安定させるのは難しいものだ」


「それがわかるレオガルド様がいるからこの国は纏まってられるのでしょうな」


「逆を言えばオレがいなくなれば瓦解すると言うことだ。まったく、死ぬに死ねないな」


「レオガルド様は死ぬのですか?」


「そりゃ死ぬさ。言葉をしゃべり強大な力があろうとオレは生き物だ。寿命はあるさ」


 ただ、何年生きられるかわからないだけ。寿命がわかるんなら計画を立てられるんだがな。まあ、寿命なんて誰にもわからないことなんだけど。


「なにか手はあるか?」


「これと言った解決策があるならどの国も欲しがるでしょうな」


 だよな。オレだって欲しいもの。


「ただ、古今東西、宗教で国を纏めてきました。各町にレオガルド様を奉る神殿を造り、大巫女たるギギ様が認めた者を巫女頭として置いてはどうでしょう? 五十年も続けられれば形になるかと」


「つまり、システム作りか」


「システム、ですか?」


「まあ、形を作り、形に合わせて生きさせるってことだ」


 ほんと、言葉がないことを教えるの面倒だよ。


「ザザ。呪霊師も神殿に組み込む。霊司教として神殿の在り方を考えろ」


 こいつにはこいつの思惑があるだろうが、オレではシステムを作ることはできないし、ギギにも無理だ。なら、多少なりとも宗教を知っているザザに任せるのもいいだろう。ダメなときは力で修正してやるさ。


「畏まりました」


「巫女に手を出してもいいが、泣かせることはするなよ」


 ザザも男。女の中にいれば欲情もしよう。泣かせないのならハーレムを作っても文句は言わないさ。


「……心に刻んでおきましょう」


「ああ。努々忘れぬことだ」

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