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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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79 銀狼バリュード

 コルベトラは順調だった。


 港湾の完成は遥か先だが、暮らしは形作られ、塩作りも順調にいっている。


 コルモアとコルベトラを繋ぐ道も踏み固まれてきたので輸送も楽になり、漁をするようになったので暮らしはよくなっているそうだ。


 三日ほどではあるが、騎士ワルキューレたちにも手伝わせ、コルベトラの連中と関わりを持たせることもできた。


「ミドア。今度くるのは来年になるだろうが、なにかあればすぐにセオルに報告しろ」


「はい。待っております」


 コルベトラの連中に見送られ、コルモアへと戻った。


 コルベトラに戻ると、ヤトアたちの引っ越しは完了しており、荷車に積み込んだ。


 騎士ワルキューレらにも荷物を積ませ、終わり次第出発した。


 昼過ぎからの出発ですぐに夜になるが、夜間訓練としてマイノカとコルモアの真ん中くらいの夜営地まで駆けた。


 食事と五時間くらいの仮眠を取ってからまだ昼夜を問わず駆ける。


 さすがにマイノカに着いたときは疲労困憊。一日の休みを取ることにした。


「……き、厳しい訓練をするんだな……」


 ヤトアも同じく駆けたが、霊装術を極め続けていたようで、ゼルム族の走りにもついていけ、話せるだけの体力を残していた。凄いヤツだよ。


「それでもAランクモンスターと戦える力は得られないがな」


 どんなに鍛えようと生物としての限界はある。が、心の強さに限界はない。不屈の精神があるならSランクモンスターが現れても退くことはないだろうよ。


「ゼルム族も霊装術が使えるといいんだがな」


 まったくないこともないらしいが、霊装術を展開できる霊力を持つ者はいない。ないものを鍛えるよりあるものを鍛えたほうが建設的だ。


「狩りにいってくる」


 マイノカにくるまで小物しか食ってない。ミナレアまで強行するからガツンと食っておこう。


 前に大蛇が出たところへ向かうと、珍しくSランクなモンスターがいた。


「モンスターを狩るゲームに出てきそうな凶悪な狼だ」


 銀色の生地毛に黒毛の線が走り、頭には立派な二本の角が生えている。体はオレより一回り小さいが、オレにビビることはない。グルルと威嚇してるぜ。


「はぐれか、ボス戦に負けたか、なんにしろ運のないヤツだ」


 なんたってオレの前に現れるんだからな。


 腹が減っていて動きが鈍かったが、相手も同じようで、二分もしないで銀狼ぎんろう(仮)を倒した。


「いい毛皮だし、持って帰るか」


 腹が鳴っているのを我慢してマイノカへと戻った。


「バリュードか。珍しいな」


 銀狼はバリュードと言うようだ。


「おれの祖父の代にはいたらしいが、なにかのモンスターに狩られて逃げたと聞いている」


 戻ってきたらオレに狩られるとか、つくづく運のないヤツである。


「毛皮を剥いでなにかに使え」


「見栄えもいいし、玉座に敷くとするか」


 剥ぐのが得意なヤツらに任せ、丸裸にされたバリュードをいただいた。やはり、このくらいのサイズでないと食い応えがないな。


 さすがに全部は食えないので、明日の朝飯とする。人間やフレンズな獣人に与えたが、バリュードの肉は固くて不味いらしい。オレには噛み応えがあってよかったんだがな。


 次の日、陽が昇る前に起き、しっかり食べて胃が落ち着いたら出発する。


 マイノカからミナレアまでの道はあまりよくなく、沼地が多いところを通るので進みはがくんと落ちる。


「この沼地を通るのが近いとは言え、汚れるのが困ったものだな」


 とは言え、迂回すると二日くらい遅くなり、蟲が多くいたりする。特に人の腕くらいあるヒルやら吸血系の蟲はオレでも厄介。ここを通るしかないのだ。


 最近雨が降ったようでぬかるみができている。羽虫も出ているので気分も落ち込んでくるぜ。


 謎触手に雷を纏わせて羽虫を撃退しながら進む。


「レオナルド様! バリュードの群れです!」


 羽虫撃退に意識を持っていかれて、視界に入る距離まで近づいているのに気がつかなかったわ。


「小さいな」


 前に狩ったバリュードの半分以下。ゼルム族の二倍くらいだ。


「ミゼル。騎士ワルキューレで相手しろ」


 数は八。体格は二倍でもこちらは三十人。連携すれば問題はないはずだ。


「お任せください。ミズルは左。サットは右。おれが中央だ」


 いつの間にか隊を作っていたようで、すぐに三隊に分かれた。


「バラけず、連携して相手しろ。怪我などしたら騎士ワルキューレの恥だと思え」


 ミズルの命令と激励でバリュードとの戦いが始まった。


「ヤトアは嫁を守っていろ。背後から襲ってくるかもしれんからな」


 群れで狩りをするなら迂回してくるかもしれないし、ヤトアが混ざって連携が崩れるのも不味い。今は背後を守れ、だ。


 オレを相手に訓練してきただけにバリュードを恐れる者はおらず、冷静に戦い、声を出し合って一匹一匹確実に仕留めていった。


「師匠。背後からきた。あれはおれが相手してもいいよな?」


「首を斬ってもいいが、体には傷を残すなよ。毛皮を持ち帰るんでな」


「相変わらず倒し方の注文が厳しいことだ」


「ただ狩るだけでは成長しないからな。やれないなら脚一本くらいは斬ってもいいぞ」


「傷を残さず狩ってやるさ」


 へ~。そんなことできるんだ。


 腰を低くして構えを取り、襲ってくるバリュードに抜刀。傷一つつけることなく倒した。


「奥義、霊波突きだ」


 と言うらしい。中二病みたいな気質は嫁をもらっても消えないようだ。


「カッコいい名前だとは思うが、技を見抜くヤツもいる。技のイメージを名前にしたほうがいいぞ」


「なるほど。なにがいいだろうか?」


「そうだな。牙狼突きでいいんじゃないか?」


 オレは中二病ではない。ありきたりな名前しか思いつかんよ。


「牙狼突きか。よし! それに決めた!」


 どうやらヤトアの琴線に触れたようだ。


「陽が暮れる前に倒せよ」


 次の夜営地までまだ距離がある。さっさと終わらせて出発するぞ。

宣伝。『ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか』も読んでやってください。

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