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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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61 猪

 季節は夏になり、暑さが増していた。


「今年は特に暑いな」


 この体は汗はかかないので体温調整は舌でするしかないが、体温を下げる方法はある。暑い日は湖に入り、暑い日を乗り切っています。


「レオガルド様、投げて!」


 ゼルム族の子が泳いできて投げてとせがんできた。


「はいはい」


 下半身の胴体に謎触手を絡ませて深いところへ投げてやった。


 オレが湖に入り、泳ぐのを見てからゼルム族の子も真似て泳ぐようになり、夏の風物詩となっていた。


 昔は人の子も泳いでいたが、今ではすっかり大人になり、暑い日も仕事をしている。


 ……早いものだな。あの頃の子も今や立派な大人で子を産んでいるんだから……。


 未だに一人身のギギが可哀想に思うが、本人はこれと言って気にしてない。子供の面倒を見てるから子供好きなんだと思うんだがな……。


「レオガルド様、おれも~!」


 一人をやると次々とせがんでくる。


 オレも子供は嫌いじゃないし、遊んでやるのも嫌じゃない。せがまれるままに子供たちを放り投げてやった。


「レオ様! チェルシーに入るよう言って!」


 岸からレブが叫んでいる。


「水が苦手なんだから無理言うな」


 元の世界では虎は水に入ったりしてたが、この世界のモンスターは水に入ったりしない。そもそもとして川は狭くて浅い。他にも湖はあるが、水棲のモンスターがいたりする。


 ちなみにこの湖──ミシャナ湖(いつの間にか名前がついてました)にも水棲モンスターはいる。だが、オレに食われると学んでからはどこかにいってしまったよ。赤身の魚で美味かったのに残念だよ。


「だって!」


 すっかり感情を取り戻したレブがプンプン怒っている。


「無茶言ってやるな」


 しょうがないのでオレの背に乗せてやる。


 チェルシーがキュウ~ンと悲しく鳴いているが、可愛いと思えないので放置。レブも混ぜて水遊びをした。


 夏の間はマイノカに留まり、レブとチェルシーの存在を町の者に周知させた。


 まあ、元々受け入れてはいまいが、チェルシーは所詮獣だ。なにかの拍子に獣が出るかもしれない。DNAまで刻まれた野生はそう簡単に消えたりしない。


 オレだって血に飢えそうなときもある。それなのに知性も理性も低いチェルシーに守れるはずもない。と思ってたんだが、レブの力か、理性が賢者タイムが如しになっていた。


 ……モンスターとしてなくしてはいけないものをなくしてしまったのではなかろうか……?


 季節は少しずつ秋に向かい、農業村へと向かう準備を進める。


「収穫祭、楽しみ!」


 今年から農業村で収穫祭をやることにした。


 ゼルム族やゴゴール族のところで宴的なものはあったみたいだが、村をあげての祭りはしたことはない。なので、まずは取っつきやすい収穫を祝う祭りから始めることにしたのだ。


 祭りとは? と言うヤツがほとんどなのでオレを長として実行委員会を組織した。


 まあ、時間がないので大したことはできないが、最初なんだからそう派手にすることもない。歌って飲んで騒ぐだけでいいだろう。


 ゼルたち家族、配下、古くからいる人間、巫女たちを連れて農業村へと向かう。


 収穫祭のことは去年からベイガー族に伝えてどう言うものかを説き、ゼルが滞在できる家を造らせていた。


「話には聞いていたが、変われば変わるものだな」


 ゼルが見違えた農業村を見て驚いている。


 やはり人間の職人がいると発展が早い。半年で家が倍に増えているよ。


「ゼル王。よくお出でくださいました」


 なにか一回りデカくなったリドリルが正座し、ゼルに頭を下げた。


 あ、挨拶の仕方、教えてなかったっけ。ここにいる間に教えんといかんな。


「ああ。冬まで世話になる。お前たちの働きを見せてもらう」


 ゴゴールのところで王としての態度をがんばったからか、なかなか様になっている。やらせておいてなんだが、ご苦労様だよな。


 歓迎会をやるわけでもないので、ゼルたちに農業村を視察させた。


「ギギたちは滞在するところを整えてくれ。レブ。周辺にモンスターはいるか?」


「モンスターはいませんが、あっちに大きな獣がいます」


 レブのセンサーは優秀だが、大きなサイズでないと感知できないみたいで、狼とかは五十メートル内に入らないとわからないのだ。


 その方向に駆けると、バカデカい猪がいた。


「乙事主、久しぶりだな」


 いや、こいつとは初対面だが、乙事主サイズの猪は数年振りである。


「レオ様、子がいます!」


 デカくて気がつかなかったが、周りにゼルム族サイズの猪が数匹いた。


「レブ。親は狩れ。子は捕まえるぞ」


「わかりました! チェルシー、狩るよ!」


 チェルシーに跨がったまま乙事主と戦いを開始した。器用なヤツらだよ。


 ビービー鳴く子猪を放電で気絶させた。


「家畜になるといいな」


 鎧竜は育つのに時間がかかり、収穫はまだ先だ。ここで猪を家畜化できたら食料自給率が上がるってものだ。


 謎触手で子猪を絡め、農業村へと運んだ。


 子猪は八匹もいて、なかなか苦労させられたぜ。


「レオ様は食べないの?」


「オレはまだ大丈夫だ。残ったものは農業村に運んで皆に食わせてやれ。オレは周辺を探りながら獲物を狩るよ」


 増やすなら他の猪から産まれた子もいる。乙事主がいたなら他の猪もいるはずだ。


「わかりました! あっちに微かに気配があります」


 レブが指差す方向に駆けると、乙事主の半分のサイズの猪、そして四匹の子がいた。


「モンスターがいないから住み着いたかな?」


 母猪を狩り、美味しくいただいてからメスの子だけを捕まえて農業村へと戻った。

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