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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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58 マイルール

 ぼんやりと火を眺めていたら、穴に入れていた謎触手に反応があった。


 この謎触手、センサーみたいな機能があるのか、熱や感触、振動を感じ取れたりするのだ。


 穴に隠れていた者が上がってきている。


 謎触手を伸ばし、そいつの腰に絡ませてひっぱり出した。


「子供か」


 現れたのは八歳くらいの女の子。それも真っ白な髪をしたアルビノな女の子だった。


「この世界でもアルビノとか産まれるんだな」


 オレも謎触手がなければアルビノの虎かと思っただろうな。


「お前を食ったりしないから安心しろ」


 アルビノ少女を焚き火の前に降ろした。


「オレはレオガルド。守護聖獣だ。と言ってもわからないか」


 知性は持っている感じはするが、デカい獣に見られて平然としてはいられない。思考は完全に麻痺していることだろうよ。


 震えるアルビノ少女の胴に謎触手を絡め、オレの背へと乗せた。


 獣なオレではどうすることもしてやれない。ギギのところに連れてって任せるとしよう。


 近くの村に走り、ギギたちの臭いを探る。


 いくつか回るとギギたちの臭いを発見。朝にはギギたちと合流できた。


「……呪い子……」


 ギギたちがいた村の者がアルビノ少女を見てそんなことを言った。


「悪いほうになったパターンか」


 元の世界でもアルビノは悪魔の呪いと呼んだ地域もあれば神の使いとも呼んだ地域もある。まあ、大概は異質として悪い方向に流れているが、この世界でもそうだったとはな。やはり、生き物は異質を嫌う性質を持っているんだな。


「ギギ。こいつに食事を与えてやれ」


「わかりました」


 ゴゴール族たちは遠巻きにしているが、ギギたちはアルビノ少女を恐れたり嫌がったりはしない。オレが受け入れた者を弾くことは自分が弾かれると知っているからだ。


「この村の長は誰だ?」


 問いかけると、老婆がオレの前に現れた。へ~。女の長もいるんだ。


「オレの色違いのモンスターが村を襲っていたが、この辺にも現れているのか?」


 あの村からこの村までオレの脚力で二時間くらい離れているが、虎っぽいモンスターの脚力でもそのくらいで到達できるはずだ。


「はい。ビノードは去年から現れて村を襲っています」


「レオガルド様。その話は他の村でも聞いている」


 とはゼルの言葉。だからこの辺にギギたちの臭いが濃かったのか。


「ビノードと言うのか。あいつ」


「倒したのか?」


「いや、痛めつけて逃した。食う気になれなかったからな」


「不味そうだったのか?」


「いや、似たような姿のモンスターを食う気になれなかっただけだ」


 基本、食えないのは狩らない。ケンカをふっかけてきたら痛めつける。遊びでは殺さない。但し、敵はその限りではない。それがオレのマイルールである。


「気になるようなら銃士隊にでも狩らせろ。呪霊による攻撃は効かなかったが、レイギヌスなら簡単に殺せるはずだ」


 マイルールはマイルール。他に強要することではない。やると言うなら止めたりはしないさ。


「銃士隊。三人一組で周辺を警戒してこい」


「オレは狩りをしてくる」


 ここにくる途中、いい感じのモンバドレを見つけた。腹持ちはよくないが、味は格別。甘味を感じられる獲物をスルーする。断腸の思いとはああ言うことを言うんだな。


 すぐにモンバドレを発見。手頃な木を槍にして、頭上から串刺し。踊り食いとばかりに食らいついた。あーウメー!


「ん? 寄生虫がいんのかよ。スゲーな」


 糸のような寄生虫に雷を食らわすと、一瞬にして燃え尽きてしまった。


「寄生虫はただの虫なんだな」


 厄介なイメージしかないが、これまで見た寄生虫は雷であっさりと死ぬ。それはオレの中に入った寄生虫も同じで、胃の中で雷を発生させるとあっさりと死んでくれる。


 まあ、イメージ的なものかも知れないが、これまで寄生虫に苦しめられたことは一度もないので、きっと死んでいるんだろう。


「雷耐性マックスに産んでくれた母上様に感謝だな」


 寄生虫を心配しないでものを食べられる。ビバゲルボアル!


 腹を満たして帰ると、アルビノ少女が綺麗にされていた。


「レオガルド様。この子、食事をしてくれません」


「赤ん坊が食べるような柔らかいものを食わせろ。アルビノは胃腸が弱いこともあるし、あまり固いものを食って育った感じもしないだろうからな」


 オレもそんなにアルビノに詳しくないが、胃腸や紫外線に弱いってことは知っている。


「アルビノ、ですか?」


「たまに産まれる特異体だ。これは人間でもゼルム族でもあるはずだ。まあ、希な存在で体が弱いことがあるから生き残れているのは奇跡だろうよ」


「……そうなんですか……」


 あまり理解できてないのだろう。返答が無難なものになっている。


「ギギも他の者より力が強いだろう。それと同じだ。ベイガー族のように呪霊でどうにかされたわけじゃない」


 まあ、遺伝子も呪霊も意味わかんねー! な、もんだがな。


 謎触手でアルビノ少女の頭を撫でてやる。


「こいつはオレが預かる。ギギ、いいか?」


 可哀想と思う気持ちがあるが、この見た目は今後使えるかもしれないと言う打算のほうが大きい。たが、獣のオレでは細かい世話はできない。ギギの協力がないと上手くいかないだろう。


 だが、ギギが嫌と言うなら諦める。オレが大切にするのはギギだからな。


「では、この子はわたしの妹ですね」


 予想もしない返しに言葉が詰まってしまった。


「わたし、妹が欲しかったんです!」


「お、おう、そうか。妹か。なら、今日からこいつはオレらの家族だ」

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