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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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57 耐性特化

 フレンズの獣人たちの村を回っていると、ブランボル村以外貧しい村ばかりだった。


 それに、ブランボル村から遠くなればなるほど貧しくなっていき、子どもも少なく獣やモンスターの被害が多かった。


 これはおそらく、家族単位での種族で、縄張り意識が高いから起こっているからだろう。


 種族特性とは言え、これは効率が悪すぎる。まあ、これはこれでメリットもあるだろうが、国としてはデメリットでしかない。もうちょっと纏まって欲しいぜ。


 ゼルたちから外れ、獣やモンスターを狩りながらどうするかを考えていると、虎っぽいモンスターに村が襲われていた。


「親戚かな?」


 虎っぽいモンスターは何度か遭遇したことがあるが、今回のはオレと同サイズ。なかなか猛者っぽい迫力があった。


「お前、しゃべるか?」


「ガルルルル!」


 威嚇で返された。はぁ~。今回もしゃべれないヤツのようだ。やっぱりオレや母上様は特別な種なんだね。


「謎触手もなしか。こりゃ、親戚でもないようだ」


 母上様にも謎触手はあった。ケルボアル種の独特な進化ってことなんだろうよ。


「ガルル」


 どうやら完全に敵認定されたようで、体を低くして牙を剥いている。


「獣剥き出しだな」


 いや、獣なんだから当たり前なんだが、知能はそんなに高くない行動である。


 威嚇を軽く流していると、虎っぽいモンスターが飛びかかってきた。


 それをひょいっと躱け、後ろ足で蹴り飛ばしてやる。


 獣の体からは非常識な動きではあるが、ヤトアに付き合って格闘していたら動けるようになったのだ。


 ……そのうち二足歩行できたりしてな……。


 虎っぽいモンスターも機敏なんだろう。だが、オレはその上をいっているので、攻撃を難なく回避する。


「う~ん。Aランクってところかな?」


 ニワトリの化け物より弱い感じだし、霊呪も持ってない。Aランクがちょうどいいところだろう。


 モンスターに効くくらいの雷を食らわすと、一瞬怯んだだけでこれと言ったヒットポイントは削られていなかった。


「耐性特化型か。いろいろいるもんだ」


 さらに強い雷を放つもやはりヒットポイントは削られている感じはしなかった。


 なら風はどうだと放つが、毛を撫でただけ。真空刃も効果がナッシング。霊呪による攻撃には絶対の防御のようだ。


 お前の攻撃は効かん! とばかりに調子づく虎っぽいモンスター。やはり獣脳は獣脳でしかないか。


 だが、効かないのならいい練習相手になる。雷も風も直接効果がないのなら二次的効果を発生させるだけ。 


 虎っぽいモンスターの近くに雷を落とし、石を弾かせたり、風で砂を舞い上がらせたりと、小技で体勢を崩すことはできるのだよ。


 何度もやっていると、遊ばれていると感じたのか、苛立ちが見えてきた。


「感情はあるんだな」


 まあ、獣だって喜怒哀楽はあるか。それを表現する方法が少ないだけで。


 虎っぽいモンスターの怒りなど構わず練習を続けていると、体力が落ちてきたのか動きが鈍くなってきた。


「持久力も低いな」


 昔のオレも全力で戦えるのは三十分が精々だったが、今では二時間でも戦ってられる持久力を身につけている。


 適度な食事、適度な運動、適度な睡眠は人だけじゃなく獣も強くするのである。


 勝てないと判断して逃げに入った虎っぽいモンスターだが、少しばかり機を逃している。すぐに追いついて体当たり。太い樹を薙ぎ飛ばしながら吹き飛んでいった。


「サイズは同じなのに体重は軽いんだな?」


 見た目から十トンはありそうだが、吹き飛ばした感じからして七トンくらい。冬で痩せてるのかな?


 雷なりや風の防御は絶対なのに、衝撃までは防いでくれないようで、ヨロヨロしていた。


「ゲームならイエローゾーンに入った感じだな」


 必死に逃げようとする虎っぽいモンスターを前足で殴り飛ばす。裏拳っぽいパンチだけど。


 手加減したつもりだが、今のでレッドゾーンに入ってしまったようだ。


「ん? お前、メスか」


 あるべき場所にあるべきものがなかった。


 これまでメスとかオスとか気にもしなかったが、僅かに残るゲルボアルとしてのオスの本能が意識を向けさせた。かどうかはわかりませんが、メスであることに意識がいってしまったのだ。


「もうこの辺にくるなよ」


 獣に男女差別はないし、襲われたらオスメス関係なく反撃する。しかし、どうも同じ姿をしているものを食うのは抵抗があるのだ。


 もちろん、ゴゴール族たちのことを考えたらここで仕留めておくほうがいいのはわかっている。だが、ここはオレの我が儘を通させてもらう。


「次は容赦しないからな」


 虎っぽいモンスターの顔を踏みながらそう言い、襲われた村へと戻った。


 ここの村は、ブランボル村からかなり離れており、村の規模も小さい。感じからして三十人といないんじゃなかろうか?


「生き残っている者はいるか!」


 三匹の子ぶたに出てくる狼でも壊せる強度の小屋とも呼べない家はすべて壊されており、あちらこちらに血溜まりができている。それでも生き残りがいないかと呼びかけた。


 壊され家の残骸を避け、誰か隠れていないかを確認していると、穴があった。


「中に誰かいるのか? オレはレオガルド。村を襲ったモンスターは追い払ったから出てきても大丈夫だぞ」


 優しく呼びかけるが、穴の中から出てくる気配はない。まあ、無理もないか。


「しょうがない。気長に待つとするか」


 この村にくる前にいい感じの熊を食っているので今日は食わなくとも大丈夫。家の残骸を集めて雷で火をつけ、穴の中のヤツが出てくるのを待つことにした。

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