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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
開拓期編

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55 生命の宝箱

 ゴゴール族を正式にレオノール国の民とした。


 と言うか、今はまだ傘下に入れた、って状況でしかない。


 まだ貨幣もなく、今日食べるのが精一杯な日々を送っている連中に、今日から税金(食料)を払えなんて言ったら不平が返ってくるだけだ。


 だからこちら側からはゴゴール族の技術と食料の提供、そして、オレの庇護を与え、フレンズな獣人側からは人材の提供とゼル王への忠誠を求めた。


 この時代では誓紙ではなく口約束だが、そこは獣神ししがみで守護聖獣たるオレが見届けることで絶対的なものなるのだ。


「この素晴らしきこの日を祝おうではないか!」


 こちらが持参したミゴルを丸焼きにしてゴゴール族たちに与えてやる。


 ……年老いたヤツだが、ゴゴール族のアゴなら問題なかろう。塩で味つけもしてるしな……。


「レオガルド様。コノスリの酒です。お飲みください」


 デカい桶いっぱいにコノスリの酒を注いで運んできた。


 未だに酒を美味しいとは感じてないが、飲めることは飲めるので、差し出された酒をいただいた。


「やはり、樽で熟成させるほうが濃くなるな」


 味の良し悪しはわからないが薄いか濃いかはわかるし、舌触りがどうかもわかる。


「樽、ですか?」


「マイノカから酒は流れてないのか?」


「レオガルド様。他に流す前に皆が飲んじゃうんです。ゼルム族はお酒好きなので」


 ギギに尋ねたらそんな答えが返ってきた。


 言われてみれば確かに酒を飲んでる姿が思い浮かんでくるな。ってか、酒が好きすぎて樽を作るようになったんだっけ。


「酒の飲みすぎは体を壊すからな、注意させておけよ」


 娯楽の少ない時代では酒は必要なものだが、体を壊すほど飲むのはいただけない。そう言う教育もしていかないとダメかもな。


「レオガルド様。我々にも樽作りを教えてもらえませんでしょうか?」


「なら、器用なヤツをマイノカに送れ。ゼル王。そのように話を通しててくれ」


「酒がもっと飲めるようになるなら大歓迎だ。何人でも寄越すといい」


 ゼルも例に漏れず飲兵衛かよ。お前にはレオノール国が安定するまでは長生きしてもらわないとならないんだから飲みすぎるなよ。


「樽を寝かせる倉が必要だ。今のうちに煉瓦を大量に作っておけ」


 平原にいけば泥があるし、燃やす樹にも困らないはず。大量に作らせてマイノカに運ばせよう。


「わかりました!」


 ゴゴール族も酒好きなようで、何十人と雪が積もる中平原へと飛び出していった。どんだけだよ……。


「ゼル王。何人か護衛に出してやれ」


 食料も持たずに飛び出しやがって。酒を寝かせる前にお前らが永遠に眠りにつくぞ。


「ふふ。わかった。誰か食料を持ってってやれ」


 ゼルム族も酒のことになると行動力がローからハイに切り替わる。連れてきた半分がフレンズな獣人たちを追いかけていってしまった。


「ゼル王。オレは狩りにいってくる」


 最近、小物ばかりで胃が寂しがっていたんだよな。冬はモンスターを狩って肥えるとしよう。


「レオガルド様なら大丈夫でしょうが、冬はモンバドレが出るので気をつけてくだされ」


「モンバドレ?」


「何百もの巨大な殻を被った蟲です。雪に隠れ、たくさんの触手で獲物を絡めて血を吸うのです」


 巨大な殻? カタツムリか?


 どんなもんだと考えながら走ること数分。あっさりとモンバドレなるものに遭遇できた。


「……うん。思った通りにカタツムリだったか……」


 まあ、三割ほどファンタジー感が出てるが、遠目で見ればカタツムリとしか見えないだろうよ……。


「ほんと、この大陸は生命の宝箱だぜ」


 とりあえず軽い雷を一発食らわしてやると、雷が表面を流れて空中に放り出されてしまった。


「……雷が効かないヤツはいるだろうとは思ってたが、まさかそれがカタツムリだったとは想像にもしなかったよ……」


 カタツムリ──モンバドレは、たくさんの触手を向けてきた。


 慌てず騒がず風で切り落として──やれなかった。


「風でもダメか。ってことは、霊力的なものを纏っているってことか」


 なら、モンバドレはモンスターと認定だ。


「霊力が効かないとなると、火もダメな感じだな」


 特殊能力持ちのモンスターには天敵だな、こりゃ。


 モンバドレに知能があるかわからんが、オレが敵だと認識できるくらいの判断能力はあるようだ。


 動きはそれほど速くもなく、触手の長さも十メートルもない。普通ならモンスターは立ち去るものだが、モンバドレの警戒はマックスになっている。


 ……モンバドレは、モンスターからよく狙われているのか……?


 オレは、ここにくるのは初めてであり、二、三十キロ離れると生態系が違っていたりするので、見たこともないモンスターなどざらにいる。だから、モンバドレを餌にしているモンスターがいても不思議ではない。


「天敵はなんなんだ?」


 まあ、今はどうでもいいか。モンバドレを狩るヤツがいるならオレも食えるってことだ。


 謎触手で持てるくらいの木を爪で切り裂き、枝葉を風で切り落とし、槍とする。


「装甲はどんなもんだろうな!」


 謎触手で木の槍を投げ放ってやる。


 木の槍は触手をものともせずに体へと突き刺さった。


「紙装甲だな」


 所詮、デカいだけのカタツムリか。


 新たな槍を作り、投げ放つ。それを四回もすればモンバドレはふにゃっと萎れてしまった。


「ってか、塩をかければよかったのかもな」


 今度、フレンズな獣人たちにやらせてみるか。


 死ぬと霊力がなくなることは確かめてあるので、爪でモンバドレを切り裂き、触手を味見する。


 クチャクチャとなんかグミっぽい食感だな。でも、味は悪くない。いや、クリーミーで美味い。懐かしいピーナッツの味だ。


 本体へと噛みつくと、これまた美味いときたもんだ!


「こんだけ美味けりゃ狙われるわけだ」


 まあ、これからはオレが一人占めするんだけどな! ビバ、弱肉強食! 

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