表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
黎明期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/225

51 慈悲はなし

 どうもオレが考えていた戦争とは違ってきている。


 まあ、それはレオノール国の兵士たちの働きがよかったから死者は出ず、逆らう者は容赦なく殺しているからスムーズにいってるんだけどな。


 ただやることは多い。移民団は上陸した者だけでも二百人以上はいる。そいつらの面倒を見るだけで通常の仕事ができてない。こう言うときに人手不足を痛感させられるぜ。


「海はどうだ?」


「静かなものです」


 二日過ぎても残りの戦艦や船団に動きはない。距離があるので望遠鏡でも様子はわからないのだ。


「食料もないだろうに、よく堪えるものだ」


 もしかして背水の陣でも狙っているのか? 犠牲を承知で? そうなったらちょっと厄介だな。


「将来を考えると、崖の上にも大砲を置いたほうがいいのかもしれんな」


 まだ飛行機なんて生み出されてもいないだろうし、あと数百年は船でしかこられないだろうからな。


「やはり、ミドットリー島もレオノール国領にするので?」


 オレの考えはセオルにも伝えているが、実行するにはいろいろと問題を解決しなくちゃならないから、構想段階でしかないのだ。


「そうだな。マイアナの連中を使えるようになったら本格的にやりたいな」


 移民団がレオノール国の民と自覚しないとミドットリー島にはやれないだろうし、レオノール国で船を造れるようにならないと長きに渡って統治はできない。何度でも国作りの大変さに苦しめられるぜ。


「マイアナの者がレオノール国の民になれますかね?」


 長い間、マイアナと戦ってきたセオルには懐疑的なようだ。


「それは教育次第だな。お前だってマイアナは悪だとか邪教だと聞かされて育ったのだろう? だからマイアナの連中を受け入れられないでいる」


 教育と洗脳は違うが、三つ子の魂百までだ。一度染みついた考えを変えることは容易ではない。


「……確かに、そうですな……」


「たが、お前はゼルム族を受け入れた。ベイガー族も受け入れた。ゴゴールも受け入れようとしている。それは、人間のいいところだとオレは思っている」


 ゼルム族も他種族に寛容に見えるが、それはオレがいるから。絶対的な力で他種族を抑えつけているからできることだ。


 だが、人間は必要なら受け入れる。上手くやろうとするのだ。


 もちろん、そんなヤツばかりじゃないのも理解する。だが、人間は教育すれば他の種族よりは思考は柔軟だ。従えさせるには楽、とは言えないものの、他の種族よりはマシなのだ。


 ……まあ、前世が人だったことも関係しているだろうがな……。


「レオガルド様が人間だったらさぞかしよい王になったでしょうな」


「考えも暮らしも違う種族を従える王などなりたくないよ。やりたいならセオルがやってもいいぞ」


「ご冗談を。わたしは身を削る人生などごめんですよ。今の地位で満足です」


 そう思えるセオルは人として優秀な証拠で賢い生き方をしていると思うよ。


 それから二日。船が一隻、こちらに向かってきた。


 すぐに戦闘態勢になり、一つだけ崖に上げた大砲を撃った。


 だが、船は止まらず、船首になにか旗を上げた。なんだ?


「船首に掲げる旗は降伏の旗です」


 この世界では白じゃないんだ。面倒だからレオノール国では白にしようっと。


「二人、乗り込ませるか」


 移民船は甲板まで荷物が積んでいるのでオレは飛び移れないので、謎触手に兵士を絡ませて海を駆け、二人を船に乗り込ませた。


 しばらくして船が止まり、旗信号でなにかを伝えている。


「交渉がしたいそうですな」


「今さらか」


 降伏ならまだしも勝敗が見えた頃に交渉とかあり得んだろう。まあ、相手側からしたらそんなこと言ってられないだろうがな。


「二人の命が心配だし、受け入れるのは受け入れるか」


 最終的に乗り込まれるなら一隻でも減らしておいたほうがいいだろう。乗り込ませた兵士の命を大事にしていると知らしめておきたいしな。


 こちらから旗信号で伝え、湾に入れさせる。


 湾の中頃に停めさせ、数人の兵士たちを乗り込ませる。爆破させられたらたまったもんじゃないからな。


 なんて思っていたら、本当に爆破させられてしまった。


「クソ! 外道が!」


 せっかく無血で勝てると思ったのに、死者が出てしまったじゃねーかよ!


「四番艦がきます!」


 だろうな!


「ゼル王! 戦艦は沈める! いいか?」


 戦艦を得られないのならゼルが王であることを示す形を見せつける場にしてやる。  


「ああ、構わない。沈めろ!」


 オレの考えを見抜いてか、王らしい口調で命令を飛ばしてきた。


「任せろ!」


 空に向かって吠え、戦艦を沈めるべく駆け出した。


 崖から飛び出し、風を使って空を走り、戦艦へと飛び乗った。


「死ね」


 短く言い放ち、爪で戦艦を斬り裂いてやる。


 これは見せしめなので可能な限り、他の船団に見せつけてやるのだ。


 人を斬り裂く感触になんら感慨はない。こいつらは獣だ。外道と言う名のな!


 もちろん、上司の命令でやっていることは理解している。だが、その組織に属しているなら同罪だ。慈悲はなし!


 命乞いが響き渡るが、これはお前たちがやった結果であり、オレがいなければゼルたちにやっていたことだ。容赦なく斬り裂いてやった。


 そろそろ浮いているのもやっとになってきたので、戦艦から飛び降り、最大の雷を放ってやる。


 さすがに戦艦は燃え出したが、五分もしないで海の中へと消えていった。


「降伏するなら白い旗を掲げろ! 兵士が乗っているなら殺せ! お前たちもこうなりたくなければな!」


 そう言い放って陸へと戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ