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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
黎明期編

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50 戦争3

 状況が膠着して一日が過ぎた。


 無理矢理上陸したヤツらはゼルたちがあっさりと捕獲して、一ヶ所に纏めている。病気とか持ち込まれたら嫌だからな。しばらく経過観察だ。


 船は岩に乗り上げて使いものにはならなくなったが、使えるものはいただくので移民団の男に引き上げさせていると、報告があった。


 オレも確かめにいきたいが、戦艦はまだ一隻残っており、なにか察したのか、陸から少し離れてしまった。


「取り調べはどうなってる?」


 時間がもったいないので体に訊いてもらっている。罪人はなかなか口を開いてくれないからな。


「すみません。マイアナ訛りが激しくて、なかなか聞き取れてません」


 セオルたちがいた大陸では統一言語のようだが、土地土地で訛りがあるようで、酷いと別の言語かと思うくらいなんだそうだ。


「そうか。とりあえず、最後の戦艦の艦長がどんなヤツか聞き出せ」


 慎重なヤツなら交渉もできるかもしれんし、臆病なヤツならゴルティアに任せる。どちらにしろ厄介なタイプな感じがするのだ。


 一日過ぎても戦艦や大──ではなくなった船団に七隻は大きく旋回している。


「水も食料もないだろうにな」


 どんなに順調に航海しても食料も水もギリギリらしく、人の心は折れる直前なんだそうだ。


「そういや、壊血病とかあったな」


 大航海時代のことは教科書に載るくらいの知識しかないが、壊血病を克服したのは十八世紀になってからとか、ライム、ザワークラフトがいいってくらいことぐらいだ。


「壊血病とは?」


「長い航海してると体が悪くなる病気だよ」


「ああ、腐り病ですか」


 この世界では壊血病を腐り病と言い、長旅にはロゴルという柑橘系の果物を積むそうだ。ただ、この大陸までは長くても三十日くらいなので大して積んでないそうだ。


「この大陸にもロゴルがあるといいんだがな」


 なぜかこの大陸には酸っぱい果物がない。渋いのはたくさんあるんだがな。ってか、苦味にビタミンって含まれてたっけ? ゴーヤは夏バテ解消になるとか聞いたことはあるが?


「まあ、探せばあるかもしれませんが、暑い場所で育つものですからね、自生はしないと思います」


 それは残念。まあ、こちらから航海に出るのは何十年も先になるだろうし、なくても困らんか。


「あちらが動くまではこちらの問題を解決するか」


 やることはたくさんある。警戒ばかりに人を割いてられないんだよ。


 戦艦の掃除や修復、荷物を降ろしたりと、人手がいくらあっても足りやしない。しょうがないので罪人から選ぶことにした。


 収容所へ向かい、罪人どもに選ばせる。マイアナを捨て、信じる神を捨て、レオノール国の民となるなら罪を軽くし、働きによっては恩赦を与えると。


 五十人くらいが手を挙げたので、収容所から出してやった。


「信じてよろしいので? 簡単に裏切るヤツらですよ」


「すぐ裏切るヤツは信じられんが、頑なヤツも信じられん。働きを見て判断するしかない。謂わば仮釈放だ。その間に裏切るようなら極刑にしろ」


 面倒な裁判など誰にもできない。オレだってできんよ。なら、裏切りは極刑(どんなかは決めていない)としたほうが楽でいい。死にたくないのなら素直に従っておけ、である。


 仮釈放した者らも加わり、戦艦からの降ろしは速まり、夜までには大物以外は降ろすことができた。


 夜に上陸しようとは思わないが、一応、崖の上に見張りを立たせ、密かに上陸させないよう注意して、ゼルのところに向かった。


 夜にオレが現れたことに驚かれたが、ゼルたちは通常営業なので思いやってやる必要はなし。構わず状況を聞いた。


「やはり移民団の中にもいたか」


 いるとは思っていたが、本当にいるとはな。それだけはマイアナは本気と言うことか。


「まあ、大した道具もなしにそう長くは生きられんだろうよ」


 塩作りの村から逃げた者もフレンズな獣人が見つける前に獣に襲われて死んでいた。どんな訓練をしてようがそう簡単には生き残れないのが大森林なのだ。


「船に食料は?」


「ないに等しかった」


 ゼルの配下には人間も混ぜてある。体格的に船の中には入れないからな。


 朝になり、こいつらにも選ばせてやると、ほとんどの者がこちらに従うことを選んでしまった。どう言うことだ?


「我らは少数民族で、マイアナに無理矢理移民させられました」


 代表者らしき男がそんなことを口にした。


「お前らがどんな民族でも構わない。レオノール国の法に従うのなら受け入れる。ただし、お前らの神をレオノール国の民に強制することは許さない。した場合は極刑にする。オレに二言はないと肝に命じておけ」


「はい。あなた様に従います」


 なんともあっさりと従う連中である。逆に不安になってきたぜ。


「ゼル王。ここら辺を切り開いて村を作らせろ。食料はオレが運んでくる」


 マンモス──ミゴルを一頭狩ってきたら二、三日は持つはずだ。そのあとは海で漁でもさせよう。できなきゃ自分たちが死ぬだけだ。


「わかった」


 ゼルたちゼルム族には人間を使うことを学ばせなくちゃならない。人間が多くなる国になるんだからな。


 しばらくゼルたちを見守ってから保護区へと走った。

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