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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
黎明期編

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39 バルバ退治、再び

「……あいつらは……」


 朝、清々しい思いで目覚めたらゴアが死んでいた。


 ツンツンすると死後硬直が起こっており、新鮮さがなくなっていた。完全に死肉だぜ……。


 それでも命はいただくものと、ボロボロにされたゴアを朝飯にした。うん。いまいち。


 腹は膨れたので食後の毛繕い。獣なんだからしょうがないじゃない。


「師匠。もう食べたのか」


 村からヤトアたちがやってきた。


「お前らな、食べ物は大事にしろよな」


 ちゃんと「いただきます」を教えてんだから食べ物を大切にしろや。


「いや、師匠の目線で言われてもおれたちにはモンスターとしか見れないからな」


 ……まあ、そりゃそうか。こいつら、モンスター食わないしな……。


「朝飯を済ませたなら出発するぞ」


「ゴゴールのヤツらが同行してもいいかと尋ねてきたんだが、どうする?」


「好きにしたらいい」


 向かうところは同じなのだから断る理由はないさ。


 出発の準備をしてると、ケサで編んだ籠を背負ったゴゴールたちが現れた。


「お前、ゴノを食うんだ」


 レオノールの民がゴノパンを食うようになってからミナレアの民も食べるようになった聞いたが、まさかゴゴールまで食べてるとは思わなかった。肉食じゃなかったんだな。


「我らは基本、なんでも食べますので」


 そりゃそうか。なんでも食べれないとこの大森林では生きていけないんだからな。


「お前らもなにか畑を耕して食えるものを増やしたほうがいいぞ。せっかく平原があるんだからよ」


 まあ、バルバが出る今の状況では難しいだろうけどよ。


 四日の旅路でゴゴールの集落へと着いたが、やはりモンスターは出なかった。遠征も大変になっていくな~。


「よくお出でくださいました」


 ゴゴールの長老たちに迎い入れられ、ミドール(コモドオオトカゲ)を一匹出してくれた。


 ……お茶的な感じかな……?


 出されたものは食べるのが礼儀と頭から丸噛り。血を出さないのがレオガルド流である。ゲフ。


「冬の間、バルバの被害は出たか?」


「いえ、平原に雪が積もりましたのでバルバはやってきませんでした」


 平原にも雪が降ったんだ。やはり今年は大雪の季節だったんだな。


「レオガルド様。我らもレオノールの民に入れてもらえませんでしょうか?」


 さあ、バルバ狩りにと思ったら長老がそんなことを言ってきた。 


「……それは他種族と一緒に生きていくことを意味するのをわかってのことか?」


 縄張り意識が高いなら種族意識も高いはず。それは、他種族を受け入れられないって言ってるようなもの。こいつらに共存とかできるとは思わないんだがな。


「はい。わかっております」


「他は納得しているのか? そちらの問題をこちらに押しつけるなら受け入れることはできないぞ」


 これ以上の問題はノーサンキュー。オレの胃に穴が開くわ。


「そちらにも事情もあるだろうが、もっと同族で話し合え。そして、交流を重ねろ。お前らをレオノール国に入ることを許すから」


 こいつらはもっと他種族との交流レベルを上げるべきだ。


「で、なにがあった?」


 問題はノーサンキューだが、なにが起こってるか把握しておかんとな。


「……若い者がミナレアの民の影響を受けております」


 あーなるほど。なんか女の身なりが明るくなったな~とは思っていたが、ミナレアの民から文化の影響を受けたのか。


「どんな種族でも若い者は柔軟だな」


「…………」


 渋い表情をする長老たち。


 文句の一つでも言いたいのだろうが、絶対的強者に物申すなんてことはできない。弱肉強食な世界で生きてたらそれはひとしおだろうよ。


「とんだ時代に長老になったな」


 数年前までならよかっただろう。だが、時代の変わり目に長老なんてやるのはため息の出る毎日だろうよ。


「お前らの苦労は理解するし、昔のままでありたいと願うのもわかる。だが、人間はお前らのことを無視してここに押し寄せてくるぞ。獣のオレが言うのもなんだが、お前たちなど獣としか思わない。殺すのも厭わない。労働力となればお前らの首に縄をかけて海の向こうに連れていく」


 なんて言っても想像はできないだろうな、老いた頭では。


「これから問題はどんどん出てくるし、苦労も増える。安らぎなどないと思え」


 わかっているだけに嫌になるぜ。


「嫌ならさっさと若いヤツにでも任せればいいさ」


 これまで同胞を守り、導いてきた自負を捨てられないのなら死ぬまで苦労したらいいさ。それもお前らの人生。オレはどうでもいいことだ。


「……それもいいかもしれませんな」


「ああ。若い者に苦労させるのも年長者の役目であり優しさだぞ」


 残り少ない人生、孫の世話でもして穏やかに暮らしていればいいさ。


「ゼル。ヤトア。いくぞ」


 ゴゴールのことはゴゴールたちに任せ、平原へと向かった。


 大森林と平原の境に着くと、ドーガたちが待っていた。


「随分と大人数だな?」


 二百人くらいいないか?


「はい。各村から集めました」


 各村か。二百人いるとしたらその十倍はいると見ていいだろう。結構いる種族なんだな。


「バルバは現れてないようだが、一匹もきてないのか?」


「二日歩いた先には現れています」


 ゴゴールが歩いてとなると五十キロ先くらいか? バルバの脚ならすぐそこまできている感じだな。


「秋までには追い払い、平原をゴゴールの土地にするぞ」


 いつまでもここに構っていられない。さっさと終わらしてやる。

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