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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
黎明期編

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33 ミドットリー島

「やはり、冬の海は荒れてるな~」


 戦艦の甲板に立ち、冬の海の風を感じる。


 今、オレは戦艦プレアシア号に乗っている。


 なぜかと言えば、船に乗ってみたかったのと、せっかくある操船技術を廃らせたくなかったからだ。


 いつの日か人間たちが艦隊で攻めてきたときに備えておかなければならない。


 もちろん、一隻だけで戦おうとは思わない。プレアシア号は操船の訓練を主目的とし、きたのが開拓船だった場合、油断させて、無血開城させるための訓練でもある。


 まだ構想の段階だが、早め早めに動くことは大事。意識を持たせておくほうが後々大事になるはずだ。


 プレアシア号は冬の荒波をものともいわず大海を進み、オレが住むパラゲア大陸への指標となる島が見えてきた。


 体内距離感として五十キロだろうか? オレの風を使っても半日はかかってしまった。


「レオガルド様! あれがミドットリー島です!」


 マストの上から見張りが叫んだ。オレの視力、やっぱりいいんだな。


 指標となるミドットリー島。これが示すことは、人間はパラゲア大陸までの航路を確立していると言うこと。


 何百年も前から開拓団を送り込んでいるのだから当たり前と言えば当たり前だが、それがどう意味かを理解している者がどれほどいようか。わかっているのは人間くらいだろうな。


「ミドットリー島に難破船!」


 ん? 難破船?


 よく見ると確かにミドットリー島周辺の岩場に船が座礁していた。


「艦長。よくあるのか?」


 戦艦プレアシア号の艦長、ゴルティアに尋ねた。


 ゴルティアは四十半ばの男で、叩き上げの船乗りと言う。パラゲア大陸にも過去二度きたことあるそうだ。開拓船の護衛として。


 ……家族がいるらしいが、死んだほうにしてると国から年金が出るそうだ……。


「あくまでも指標島なので近づいたりはしません。おそらく潮の流れを読み違えたのでしょう」


「島に上陸したことは?」


「昔はあったそうですが、上陸するより進んだほうがいいので今はしておりません」


 島自体は人が住めそうなくらいありそうだが、暮らすとなると大変だろう。山もそんなに高くない。わざわざ苦労してまで港なんて造らんだろうよ。


「上陸できる場所はあるか?」


「あるとは聞いたことありますが、どこかまでは……」


 海図はあるが、ミドットリー島周辺のはないそうだ。


「よし。オレが見てくる。プレアシア号は周辺を走っていろ」


 風を使えば二キロくらいは走れるし、泳ぎはマスターした。五キロくらいあるが問題はないさ。


「わかりました。なにもなければすぐに戻ってきてください。あなたになにかあれば我々は生きていけませんからな」


 ゴルティアの心の内はわからないが、計算はできる男なのはこの数日で理解した。


 ここで裏切っても元の国に帰るほどの食料は積んでないし、置き去りにしたらゼルたちに殺されるとわかっている。才能はあるのに上司に恵まれなかった典型の男である。


「わかっているよ、提督」


「ふふ。獣にしておくのは惜しい方です」


 オレの言いたいことを理解し、すぐに返してくる。帝国も惜しいことをしたものだ。


 甲板から海へと飛び込み、風を利用して座礁した船へと泳いだ。


 二キロくらいまで近づくと、水深が浅くなり、岩があちらこちらにあった。


 ……戦艦とかだったら確実に座礁してるな……。


 荒波に体を翻弄され、岩に体を打ちつけられるが、オレの防御力は難なく受け止め、衝撃を流している。ただ、さすがに冬の海は冷たいな。オレって風邪とか引くのかな?


 水深も浅くなり、岩を使ってジャンプし、風を使って残り数百メートルを駆けて座礁した船へと到着した。


 腐食具合からして数年は経っているな。もちろん、人の気配はない。荷物も流れたのか大したものはなし。と言うか、戦艦ではないな。開拓船か?


「……生き残りがミドットリー島にいってるかもしれんな……」


 船の外観は残っており、ミドットリー島まで三百メートルもない。仮にこの船が開拓船とすれば春から夏にかけての航海となるとセオルが言っていた。なら、泳いでもいけるはずだ。


 生きてるかどうかわからんが、いたら放置もできんだろう。無人島で一人とか、他人事ながら胸が締めつけられるわ。


 ただまあ、オレが向かったところで出てくるはずもなし。プレアシア号で向かったほうがいいだろう。


 一旦、プレアシア号へと戻り、ゴルティアたちと相談し、ミドットリー島を周回させる。生きているヤツがいるなら、なにかしらの反応を見せるはずだ。


 食料はそれほど積んではいないが、魚は取り放題。船員たちは辟易していたが、食えないよりはマシと魚を食っていたよ。


 二日ほど過ぎた頃、見張りが叫んだ。狼煙が上がっていると。


「やはりいたか」


 こちらも返信用の狼煙を上げた。


「レオガルド様。波が静かなときに我々が上陸します」


 すべてはゴルティアに任せる。海のことは海のプロに任せるのが一番だからな。


 一日待ち、波が穏やかになったら小舟を出してミドットリー島へ向かった。


 数時間後、黒い狼煙が上がった。上陸OKと言う意味だ。


「ゴルティア。いってくる」


「大丈夫でしょうが、お気をつけて」


 一つ頷いて甲板から飛び出した。

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