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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
黎明期編

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31 保護区

 秋は静かに去り過ぎて冬となる。


「……雪か……」


 今年は雪が降るのが早く、量も多い。そういや、オレが産まれたときも雪が多かった記憶がある。何十年に一回は大雪になるんだな。


 雪が多いせいで村の連中も外に出れない日が多い。雪かきしてもまた降るの繰り返し。煉瓦の家にしておいてよかったよ。


 深い雪をかき分けながら森を歩いていると、白い熊だが猪だかを発見。推定百八十キロと見た。


 オレは一日二百キロの肉を食わないと腹は満たされない。逆を言えば一日二百キロの獲物を一回食えば一日は生きられる。


 なのでモンスターを一匹狩るだけでいいのだが、今年はやけに獲物を探すのに苦労している。


 ……やはり、オレが一ヶ所にいるとモンスターは近寄らなくなるんだな……。


 薄々は感じていたが、今年は特に顕著だ。半日走ってやっと白い熊だが猪だかを発見できたのだ。


 白熊(仮名)を狩り、美味しくいただいた。


「このままだとギギと離れて暮らすようになるかもな」


 年々人は増えていく。そうなれば食料の消費も増えていく。農業や畜産を増やしていってるが、オレが食う量を考えたら追いつかないだろうな~。


「なにか大人しくてすぐ増える草食獣がいると助かるんだがな」


 考えながら明日の分を探していたら、マンモスがいた。


「は? マンモス!?」


 いや、マンモスらしき毛の生えた象が群れでいたのだ。


「……マジか……」


 この大森林で二十年近く生きてるが、未だに謎が多いところである。


 遠くからマンモス(仮名)を観察していると、雪をかいて埋もれている草木を食っていた。


「わざわざ移動してくるほど草木がなかったのか?」


 ここではなくフレンズな獣人がいる原野にいけば草はあると思うんだがな? なにかいけない事情があるのか?


 その場から離れ、他にいないかを探すと、白狼の群れがいた。


 この白狼はよく見るヤツだ。オレの三分の一くらいのサイズだが、爪が異様に鋭く、オレの毛すら切ってしまうほど。人なら簡単に真っ二つにされるだろうよ。


 ……マンモス、こいつらに追われてきたのかな……?


 白狼の群れは五十匹近くいて、マンモスを狙っていた。


 こいつらの爪と毛皮は利用できるので、風を起こして雪を舞い上がらせ、視界を奪ったら風下から襲いかかり、デカいのを一匹、小さいのを二匹狩った。


「ファンタジーな世界ならアイテムボックスとかあって欲しいぜ」


 器用に動いてくれる触手があるのは助かるが、触手は最大百キロくらいしか持つことができない。獲物を運ぶには不向きなんだよな。


 白狼を村へと運び、解体してもらい、肉は美味しくいただいた。


「毛の生えた鼻の長い生き物を知っているか?」


 主要人物を緊急召集して会議を開き、マンモスを知ってるかを尋ねた。


「ミゴルかもしれません」


 と答えたのはフレンズな獣人のモドーだ。


「冬になると渡ってくるモンスターです。数年前までは原野に現れてましたが、バルバに追われてやってきたのだろうと思います」


「またバルバか。厄介な鳥だ」


 食ったら旨いが、厄介なことしかしない鳥である。


「ミゴルは害になるのか?」


「いえ、草を食うだけのモンスターなので害はありません。狩るのはバルバ以上に大変ですが」


 アフリカ象の二倍はあり、毛は硬く、鼻は器用に動く。牙も厄介とかで、フレンズな獣人は手を出さんそうだ。


「レオガルド様、なにか心配事ですか?」


 考え込んでいたらギギに心配されてしまった。


「いや、ちょっと先のことを考えていただけだ」


 モンスターが近寄らなくなっていることや、オレの食料事情などを皆に話した。問題共有は大切だからな。


「レオガルド様と離れるのは嫌です!」


 鼻先に抱きついてくるギギを触手で宥めてやる。


「離れたりはしないよ。オレはお前の側にいる。安心しろ」


 それは決定事項。離れるなど論外である。離れろと言ったヤツは八つ裂きにしてやるさ。


「そこでだ。大森林に保護区的なものを作ろうと思う」


 保護区? と皆が首を傾げた。


「簡単に言えば住み分けだ」


 このままいけば大森林は伐り倒されていき、モンスターは追いやられるか絶滅するかのどちらかだ。


 それが自然の摂理と言ってしまえばそれまでだが、オレが生きてる間はエサには生きていてもらわないと困る。


 だから今のうちにモンスター保護区の概念を教えて、住み分けをしておくことが将来のためになるはずだ。


「モンスターもバカではない。自分の安全圏はわかるものだ。数年、ミゴルを守ればあそこに住みつくだろう。そうなればオレの食料事情は解決する」


 絶対とは言い切れないが、十年も続けたらわかるだろう。ダメならまた考えたらいいさ。


「レオガルド様がそう言うなら了解した。食料問題を回避できるならそれに越したことはないからな」


 すっかり王としての立場から物事を見れるようになったゼル。こいつもこいつで成長が著しいよ。


「コルモアの町にも伝えておくか」


 セオルにも保護区のことは教えておきたいし、初夏辺りからコルモアにいってない。どうなってるか知っておきたい。ベイガー族もあれから放置だからな。


「ギギ。コルモアの町へいくが、なにか問題はあるか?」


 王はゼルだが、ギギは調和の象徴。不可侵な存在として知らしめておかなくちゃならないのだ。


 ……一生独身にさせそうで心が痛いがな……。


「数日待ってください。用事を済ませますので」


「わかった。あと、橇の用意を頼むな」


 マンモスを一頭狩ってきて持ってってやろう。冬は肉が貴重だからな。

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