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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
安定期編

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208 絵描き

 使節団には行動の自由を与え、マイノカを見てもらうことにした。


「よいのか? 人間にマイノカのことが筒抜けになるのではないか?」


 ゼルのヤツ、そんなことを考えられるようになったか。成長しててなによりだ。


「筒抜けになったところで人間たちが攻めてくるには何十もの問題を解決しなくてはならない。それより人間たちにレオノール国を知らしめるほうが重要だ」


 なにより歴史に残す必要がある。


 こちらがいくら歴史を書に残そうが、それを他所に証明する方法にはならない。人間たちに記録させたらそれはレオノール国の歴史になる。


「人間たちにはこと細かく記録し、広く伝えてもらいたいものだ」


 万が一、レオノール国の歴史書が途絶えても外にあるなら復元できるからな。


「レオガルド様は、歴史を重要視するのだな?」


「国の歴史が国格となる。数百年後、世界と渡り合うためにも歴史は記録し、未来の子のために国を残すんだ」


 多種多様な種族が暮らす国は纏めるのは大変だ。種族の壁を超えるためにもバックグラウンドを築いておきたいのだ。


「多種多様な種族を統治するには歴史も大切だが、法も大切だ。人間からどんな法で統治しているかを学ぶんだ」


 体格差による暮らしの違いは価値観も違ってくる。それを超えるためには法を整備しなくちゃならない。人間はその法を作るのが得意な種族だ。今から学んでおくべきだろう。


「もうちょっと交流が進んだら留学に出すのもいいかもな」


 まあ、そのためには領事館的なものを創らなくちゃならない。五年くらい先を見ておくか。


 ゼルたちにも使節団との交流もさせるが、オレも人間の世界に興味がある。積極的に話を交わした。


 そんな中、一人の男が絵を描いているところに遭遇した。


 名前はわからないが、兵士の一人だったと思う。今はラフな格好をしているが。


「上手いものだな」


 音もなく近づいてしまったので、物凄く驚かせてしまった。あ、ごめんね。


「し、失礼しました!」


 なんとか我を取り戻すと、勢いよく謝ってきた。


「いや、こちらこそ失礼した。音を立てないのは習性でな。それより、絵描きなのか?」


「いえ、趣味ていどのものです」


「そうか。見せてもらえるか?」


 炭の欠片で描いたものだが、なかなかどうして上手かった。趣味ていどを超えているぞ。


「オレを描いてくれるか? ここには鏡がなくて自分の姿がよくわからんのだ。絵にして自分の姿を見たいのだ」


 写真がない時代。せめて絵にして自分の姿を見ることにしよう。


「お、おれでよろしいので?」


「構わない。オレのほうからミロウド殿に話しておこう」


 そう安心させてオレを描いてもらった。


「おー。オレってこんな姿してたんだなー!」


 猫科だから体の隅々まで見れるが、立ち姿を見るのはこれが初めて。オレ、なかなかカッコイイじゃないか。謎触手が異様だけど。


「もっと描いてくれ」


 いや、マイノカを描いてもらおう。


「お前、名前は?」


「モゼスです」


 ミロウドを捜してモゼスにマイノカを描いてもらえないかをお願いした。


「モゼスがよろしいのでしたらわたしどもは構いません」


「この礼はさせてもらう」


「でしたら、レオノール国の姿を描き残す許可をいただけますか?」


「それは願ったり叶ったりだ。他に絵を描ける者がいたら描いてくれ。紙はあるか? ないのなら大至急作らせるぞ」


 こちらには発明家で技術局局長のマルジェムがいる。紙作りは前々からさせているので、和紙みたいなものはできているのだ。


「ではお願いします。紙はあまり持ってこなかったので」


 マルジェムと副局長だるドーマ(ゴゴール族)を呼び、至急紙を作るよう命じた。


 紙ができるまでマイノカにある紙を集めさせ、モゼスと絵心のあるヤツらに描けるだけ描かせ、レオノール国の者にも絵心を持つヤツがいないかを探させた。


 意外かどうかはわからんが、ゼルム族から絵心があるヤツが結構でてきた。


「ゼルム族、結構器用だったんだな」


 そういや、針仕事も優れていたな。手先が器用な種族なんだろうか?


「そう細かく描く必要はない。描くことを楽しめ。好きこそ物の上手なれ、だ」


 急ぐことはない。モゼスにたくさん描かせてあとで模写させればいいんだからな。


 ゼルの肖像画も描いてもらったら肖像画ブームが発生。モゼスがげっそりするくい我も我もと集まってしまった。


「ミロウド。モゼスを一年ばかりレオノール国に留まらさせてもらえないか? そちらが希望するなら諸島連合体の者を何人か面倒見よう」


「それこそ願ったりです。諸島連合体とレオノール国との友好を続けるためにもお願いします」


 それはゼルを交えて話し合い、十三人がマイノカに残ることになった。


「住むといいところですな。なんだか体が強くなった気がします」


「そう言えば、病気らしい病気にならなかったな? 環境が違えば体を壊しても不思議ではないのに?」


「確かに言われてみれば。この大陸にきてから下痢の一つもしませんでした」


 なんか秘密があるのか? レオノール国の民も病気になった者はいなし。まあ、怪我は毎日のように続出してるがな。


「まあ、元気ならそれでいい。病気になられたらこれからの友好にも支障が出るからな」


 病気一つなく帰ってもらいたいしな。そのままでいてくれることを切に願うよ。

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