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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
発展期編

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185 バトルジャンキー

 結果から言えばロズルの妹はいた。いや、妹たちがいた、か。


 よくこんなところで十人以上生き抜いてたものである。あの白い大蛇に襲われたりしなかったのだろうか?


 ってまあ、白い大蛇を食いながら考えることではないんだけどな。


「動けるならここを移動するぞ」


 さすがに風を吹かせて花粉か毒かを吹き飛ばしてるが、のんびりしていられる場所ではないからな。


 花園から数キロくらい離れ、そこでロズルの妹たちの回復を図った。


「レオガルド様。ありがとうございます。妹たちを助けられました」


 妹たちとは言ったが、まさか全員が実の妹とは思わなかった。どんだけ子だくさんなんだよ! ゴゴール版大家族か!


「お前はレオノール国の民。オレが守護する対象だ。何度も礼はいらない。もし恩を返したいと言うならそれは民のために使ってくれ」


 オレはギギのためにやっていて、ギギが笑っていてくれるならそれで満たされる。見返りは充分もらっている。これ以上はいらないんだよ。


「はい。レオノール国のためにこの身を尽くします」


「尽くすのはいいが、犠牲にすることはない。嫁をもらい子を残せ。お前が幸せでなければレオノールと言う場所が悲しすぎる。産めよ増やせよ地に満ちよ、だ」


 人口増加で食料不足になるのは困るが、それは未来の問題。今はそれを目標にレオノール国を盛り上げろだ。


「そう言えば、お前の両親はどうした?」


「母は第五要塞にいます。父はバリュードから仲間を逃すために食われてしまいました」


「そうか。勇敢に戦い、仲間を守ったのだな。立派な父親だ」


 大の男の頭を撫でるのも侮辱してそうなので、妹たちの頭を撫でてやった。


 妹たちの体力が回復したら第五要塞へと向けて出発する。


 小さい子は背に乗せ、二十歳以下のヤツは交互に謎触手で抱えてやり、四日で到着できた。


「おれも連れてってください。レオガルド様の側でレオノール国のために働かせてください」


「わたしも巫女としてレオガルド様に仕えさてください」


 ロズルと見た目十五歳くらいの妹がブランボルへの同行を願ってきた。


「無理についてくることはないんだぞ。自分たちの幸せを求めろ」


 やっと会えた家族なんだ。すぐに別れる必要もあるまいて。


「いえ、レオガルド様の側でレオノール国のために働きたいのです」


「わたしもです」


 どうやら引く気はないようなのでブランボルに連れていくことにする。


「銃士隊、戻るぞ」


 放置していた銃士隊を連れてブランボルへと戻った。


「すまんな、レニーラ。不自由させて」


「構わないさ。ゴゴールの暮らしを学ばせてもらったし、よくしてもらったからな」


「そうか。カルオン、レニーラを預かってくれてありがとうな」


「いいえ。レニーラ様からたくさんのことを学べました。もうこのままブランボルにいて欲しいくらいです」


「わたしとしてはカルオンに海の向こうを見せてやりたいよ。きっとゴゴールのためになるだろう」


 随分とわかり合えているな。やはりカルオンは外の世界を見せたほうがいいんだろうか?


「カルオン。外を見たいなら後継を育てろ。ゴゴール族はまだ纏まりかない。お前が抜けた穴はそう簡単に塞げないんだからな」


 カルオンは長老からの支持が高い上に纏める能力がある。こいつの代わりになれるヤツはそうはいないはずだ。


「二年。二年いただければ後継を育ててみます」


 なにやらやる気満々なカルオン。よほどレニーラに感化されたんだな~。


「ああ。やってみろ。レニーラ。そのときはカルオンを頼むな。海の向こうを見せてやってくれ」


「任せてくれ。たくさん見せてやるさ」


 まだしばらくブランボルにいるのでレニーラとカルオンの親交を深め合ってもらい、その間に電撃兵ライカー猟兵イェーガーの仕上がりを見させてもらう。


「──前に、ヤトア。ちょっとロズルと手合わせしてみろ」


「師匠の新たな弟子か?」


 ヤトアにはわかるようだ。ロズルの強さが。


「そうだな。お前の弟弟子だ。肉体的強さはお前を凌駕するぞ」


 呪霊がないのに肉体的強さはAランクモンスターに匹敵する。おそらくロズルはゴゴール族の特異体なんだろう。強さが尋常じゃない。電撃兵ライカー猟兵イェーガーの中に入れても浮くだけだ。なら、オレの側に置いたほうが迫害されることもないだろう。


「おれはヤトア。王ノ巳人ヤトア。師匠──レオガルド様の一番弟子にしていつか師匠に勝つことを目標にしている」


「おれはロズル。バルバドラの民の勇士だ」


 ヤトアの霊力が増大し、ロズルの気配が鋭くなった。


 こりゃ不味いと見物人たちを遠ざける。被害が出たら困るからな。


 睨み合う二人。その間には見えない火花が散っている幻が見えるくらいだ。


 これは手合わせ。決闘ではない。落ちている石を謎触手でつかみ、二人へと投げてやった。


 オレの横槍にも二人は動じず、それが開始のゴングとなって二人がぶつかり合った。


「うん。やはり強いな、ロズルは」


 ヤトアの全力についていっているよ。


 電撃兵ライカー猟兵イェーガーたちも二人の戦いに唖然としている。それで訓練で本気を出してないことがよくわかる。


「お前ら、二人の戦いに気落ちするなよ。お前らにはお前らの戦い方がある。二人のようになる必要はないんだからな」


 そんなこと言われても気休めにもならないだろうが、あの二人は特別。別次元にいる。あれを目指すより自分たちの戦い方を目指すほうが建設的だろう。


 二人の戦いは五分続き、ヤトアの蹴りで勝負がついた。


「それまで。いい手合わせだったぞ」


 息を切らすヤトアは、ロズルの強さに思うことがあったんだろう。ニヤリと笑った。


 まったく、バトルジャンキーに育ったもんだよ……。

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