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120 中二病?

 レブを背に乗せ、コルベトラへと向かった。


「レオ様、道が違うよ?」


「マイノカからコルベトラへと続く道を作りたいからな、その下調べだ」


 いずれ人間が増えたとき、マイノカからコルモアのほうへ扇状の中に作らないと住めたものじゃないだろう。そのためにも道は必要だ。今からその下調べはしておくべきだろうよ。


「レオ様。あっちにそこそこ大きい力がいるよ。肉食獣かも」


 と言うので向かってみると、初めて見る獣がいた。


「竜と獣を足したようなのまでいるんだな」


 顔つきは西洋のドラゴン顔で、四肢には黒い毛で覆われ、尾は長く鞭のようだった。


「便宜、竜獣と呼んでおくか」


 あとで長老たちに尋ねてみるとしよう。


「レブ。しっかりつかまっていろよ」


 姿は凶悪だが、感じる力は獣の域。雑魚の域だ。レブを落とさないよう狩りはできるが、チェルシーに乗ってる感覚だと落ちるかもしれない。注意しておくに越したことはないだろう。


「わかった」


 狩る体勢になると同時に竜獣は逃げ出した。


「いいダッシュ力だ!」


 それに器用に雪の上を走る。走りに特化したタイプのようだ。


 様子を見るために加減して追うと、二回りほど小さい竜獣が三匹いた。


「ってことはメスか?」


「レオ様。小さいの、わたしが狩っていい?」


 と、レブが言ってきた。え? お前、狩りなんてできたの?


「無理はするなよ」


 やると言うなら止めることはしない。が、一応、注意はしておく。


「うん! わかった!」


 オレの背から飛び出し、樹に壁蹴りして竜獣のあとを追うレブ。ゴゴールの肉体があるとは言え、身軽なものだ。いつもチェルシーの背に乗ってる姿しか見てないからびっくりだよ。


 大丈夫だとは思うが、放っておくのも心配なので、竜獣をサクッと狩ってレブのあとを追った。


「器用なものだ」


 雪の上を走ったんでは追いつかないとは言え、壁蹴りだけで追うとか、レブの身体能力は通常のゴゴールより高いのか? やはり、この大陸では白い種はアルビノじゃなく特別種なのかもしれないな。


 一匹の竜獣に追いつき、腰に差していたナイフを抜いて竜獣へと飛びついて首にナイフを深々と突き刺した。お見事。


 とは言え、この大陸の獣の生命力は高い。刃渡り三十センチくらいのナイフを突き刺したくらいでは絶命しない。その生命力を全開にして暴れ狂った。


 どうする? と思ったら竜獣にパンチを一発。竜獣が糸が切れたように倒れた。ホワ~イ?


「……レ、レブ、今のはなんだ……?」


「霊震拳だよ! ヤトアに習ったの!」


 はぁ? 霊震拳? ヤトアに? ど、どう言うことだ?


「あ、もしかして発勁か?」


 前に空手や柔道、中国武術なんかを語ってやったっけ。


 元文系のオレに武術のことなんて理解不能だが、その関連の本なら読んだことはある。そんなにわか仕込みの知識で発勁みたいなことできるようになるとか、ヤトアはどれだけ天才なんだよ!? そして、それができるレブもどんだけだよ!!


 ……獣なオレもびっくりだよ……。


「レブがこんなに強いとは思わなかったよ」


 下手したらドーガより強いんじゃないか? いや、実践経験豊富なドーガには勝てないか。技だけじゃなく駆け引きも大切だからな。


「ギギねえ様にはまだ勝てないけどね」


 さらにギギも使えるみたいです!


 いやまあ、ヤトアがきてから霊装術を教わっていたから当たり前か。ただでさえ怪力を持っているんだからな……。


「他にも習ってるのか?」


「うん。体術も習った。今は守人ガーディたちと練習してるよ」


 将来、武装巫女とか生まれそうだな。いや、守人ガーディが武力集団なのだから生まれても不思議ではないのか?


「レブなら関節系より打撃系のほうがいいかもな。しなやかで俊敏だし、瞬発力もある。霊震拳なら一撃一殺だ」


 竜獣を倒せるのだから人間どころかゴゴールでも一殺だろうよ。

 

「一撃一殺、なんかカッコイイ!」


 ん? レブは中二病気があるのか? あったとしたら下手なこと教えられんな。右手が疼く、とか言われたら泣くぞ!


「そうだな。まあ、一撃一殺をしたいなら訓練訓練また訓練だな」


「うん! がんばる!」


 とりあえず、レブのやる気は横に置いて、狩った竜獣をいただくことにする。


「肉はトカゲよりだな」


 不味くはないが、そこまで美味しくはない。コミーを食うくらいなら竜獣を食ったほうがいいな、ってくらいだ。


「レオ様。小さいのはどうする?」


「コルベトラに運ぶ」


 まだ腹七分だから食ってもいいが、人間たちへの注意喚起とレブの強さを教えるためにコルベトラへと運ぶとするか。小さいのが二匹、逃げたしな。


 小さいのを咥え、コルベトラへと向かった。


「レオ様、またいたよ」


 しばらく走ると、竜獣の群れがいた。


「群れる獣なんだな」


 姿から単独かと思えば群れる獣とか、予想外れの獣だよ。


「狩る?」


「いや、また今度にしよう。レブのいい練習台になりそうだからな」


 まだ中間地点だし、そう脅威でもなさそうだ。銃を使えば人間たちでも倒せるだろうよ。


 逃げ出す竜獣を横目にコルベトラへと向けて駆けた。

さて。次はなにを書こうかな?

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