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117 ライザー

 農業村からレブ、チェルシー、そして、ミディアが帰ってきた。


 ただ、ミディアの背にはベイガー族の少女(見た目は十歳前後。ただ、身長は百七十センチはあるがか)が跨がっていた。誰や?


「友達のライザーだよ!」


「お、おう。そうか」


 で、どう言うことだとレブを見た。


「ミディア、ギギねえ様やわたしみたいな巫女が欲しかったみたいで、一人で遊んでいるライザーを自分の巫女にしたみたいだよ」


 なにもオレたちは巫女とセットってわけじゃないんだが、ミディアにはそう見えたみたいだな。


「ライザー。お前はミディアと一緒にいたいのか?」


 オレが言うのもなんだが、オレらと一緒にいるのは結構大変だ。同種との関係に馴染めなくなるも同然だぞ。


「……は、はい。ミディアと一緒にいたいです……」


 どう言う状況と心情でこうなったかはわからんが、ライザーが望むならミディアのためにも認めてやるしかあるまい。離れろと言うのも偲びないしな。


「ギギ。ライザーの身なりを整えてやってくれ」


 完全に原始人スタイル。きっとパンツすら穿いてないだろうよ。


「ミディア。農業村は楽しかったか?」


「うん。楽しかった!」


 やはり種族相性と言うのはあるんだな。ミディアには農業村を中心に、コルモア周辺を守らせるとしよう。


「そうだ、レオ様。農業村周辺にコミーが出たって村長が言ってた」


「そっちにも出たか。繁殖力、凄すぎだな」


 個体としては最弱なのに、繁殖力だけはSランクだぜ。


「マイノカ周辺にも出ている。手分けして狩るぞ」


 オレらがやれば絶滅、とまではいかないまでも熊が戻ってくるまでは減らせるだろうよ。


「コミー、あまり美味しくない」


「チェルシーもあまり好きじゃないみたい」


 不味いわけではないだろうが、オレらにはやはり薄い味なんだろう。でなければここまで増えてはいないだろうよ。


「まあ、人間やベイガー族には好評だし、その皮は利用できる。それに、あいつらが増えると熊が減る。冬の食い物がなくなるんだから」


「熊が減るのは嫌」


「ガウガウ!」


 ミディアもチェルシーも熊は好みなので、コミー狩りに異論はなさそうだ。


「とは言え、オレらだけでは捕獲する大変だからコミーを追い込んでゼルム族たちに狩らせる」


 コミーくらいならゼルム族の女や子供でも狩ることはできる。冬の運動にはちょうどいいだろう。


 ゼルに話を遠し、コミー狩りの作戦を話し合った。


 準備期間に五日くらいかけ、その間に広範囲に散っているコミーの群れを少しずつ纏めていく。


「……埋め尽くすほどになったな……」


 もう何匹いるかわからなくなっている。つーか、よくこれだけの数が集まったものである。大森林が枯れないのが不思議である。


 軽く見積もっても千はいそうなコミーを二百人以下、いや、百五十人以下で相手なんてできない。なので、数百匹を狩ることにした。


「レブ、チェルシーは突撃。オレとミディアは逃げ出すのを狩るぞ!」


 チェルシーに呪霊はないが、モンスターとしての威圧は高い。コミーをビビらして動きを鈍らせるくらいはできるのだ。


 とは言え、広範囲に威圧を飛ばせるわけでもないので逃げ出す者は出る。そこを機動力と風と水を操れるオレらがカバーするのだ。


「ミディア。ライザーを落とすなよ!」


 レブとチェルシーに憧れてか、ミディアもライザーを乗せているのだ。ライザー、ガンバレ。


「わかってる!」


「…………」


 本当にガンバレ、ライザー。


 オレはギギを乗せてないので気にせず全力疾走で散り散りに逃げようとするコミーを狩り、食っていく。


 一口サイズとは言え、六十匹も食うと腹が満ちてきた。なんだか、かっぱ巻きだけを六十皿食った気分である。


 まあ、オレらなら余裕で二百皿はいける感じだが、同じ味は飽きてくる。もっと濃いマグロが食いたいぜ。


 百匹近くまで食らうが、飽きてしまって食う気がなくなってしまい、放電で気絶させた。


 倒れたコミーをちまちまと一ヶ所に集め、雪をかけておく。あとで橇を引っ張ってきて積み込むとしよう。


「しかし、数が多いな。どこかで無限ポップしてんのか?」


 数が多いにもほどがあんだろう。もう災害だぞ。


 なんて愚痴りながらもコミーを囲い込んでいく。


「レオ、もう飽きた」


「それはオレもだ」


「チェルシーも飽きた、食べたくないって」


 贅沢と言うことなかれ。オレらだって飽きる生き物なんだよ。


「──レオ様! Aランクのモンスターの気配がする! コミーの親玉かも」


 コミーの親玉? そんなものがいるのか? 


「今さらか?」


 この四日、かなり移動したが、それらしい臭いもなかったのに。


「前から変な気配はあったんだけど、すぐに消えるから気のせいかと思ってたんだ、あ、また消えた!」


 レブのレーダーから逃れるか。そいつはかなりの存在かもな。


「ミディア。臭いはわかるか?」


「うっすらと臭うかな? でも、追えるほど濃くない」


 レブの察知とミディアの嗅覚でも追えないとなると、呪霊を持っているようだ。


「仕方がない。今回はコミーを狩ることを優先させよう」


 追えない者を追っても時間の無駄だ。なら、今いるコミーを狩ったほうが建設的だろうよ。


「そいつは気にするな。狩り場に追い込むぞ」


「わかった」


「うん!」


「ガウ!」


 まったく、草食系モンスターにも厄介なのがいるもんだぜ。

宣伝。わたしはタダの侍女ではありません もヨロシクです。

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