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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
成長期編

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107 熊は美味しい

 保存食がそろそろなくなりそうな頃、ミディアが騎士ワルキューレの一隊を連れてきた。


「早かったな」


 走れば二日の距離だが、食料やら保存食を用意してとなると四、五日はかかる。それを三日でやってくるとは練度を上げたものだ。


「ミクニールがきた頃からこんなことがあろうかと用意していました」


 へー。自分らでそこまで考えられるようになったか。練度ではなく成長したんだな。


 なら、ミクニールへの対応は騎士ワルキューレに任せた。もしかすると、これからも難民を受け入れるようなことがあるかもしれないからな。


「ミディア。狩りにいくか」


 三日とは言え、連続で亀は飽きた。こう、血の濃いヤツをかぶりつきたいぜ。


「熊を狩ろうよ! また食べたい!」


「熊か。それはいいな」


 ミディアの鼻ならそう難しくないだろう。前に狩ったと言う熊がいてくれると血が滾るぜ。


「オレらは狩りをしたら帰る。あとは頼むぞ」


「わかりました」


 しっかりと頷く騎士ワルキューレたち。もしかして、ゼルム族って人間より成長速度が早い種族なのかもしれんな。


 育て方を考え直す必要があるかもと思いながら狩りへと出かけた。


「熊の臭いだ!」


 駆け出して一時間もしないでミディアが熊の臭いを嗅ぎ取った。


 オレの鼻にはピクリとも感じない。やはり犬科のほうが嗅覚が鋭いようだ。


 嗅ぎ取ってから一分もしないで熊──親子連れを見つけた。


「穴熊か」


 大森林でよく見る熊で、成体ともなれば体長四メートルくらいになるものだ。味は赤熊よりやや落ちる。


 ミディアが親熊の首に噛みつき、ゴギッと首の骨を折って仕留めた。まさに瞬殺である。


 オレは謎触手で一メートルくらいの仔を五匹、捕まえた。


 ギーギーと騒ぐ仔を地面に叩きつけて黙らせる。酷いと言うヤツは獣に転生したらやっていけないぜ。


 ミディアが狩ったものはミディアが納得するまで手を出さず、オレは仔を一匹いただくことにした。


 うーん。仔は歯応えがなくてダメだな。味もなんか薄い。やはり五、六年は生きた熊が食べ頃だな。バリボリバリ、ゴックン。


 ミディアは内臓系を好み、腹回りの肉を食ったあとに一番好きな心臓を食らう。


 オレもチェルシーも内臓はあまり好みではないから、犬系と猫系では味覚も違うらしい。


「レオ。あとは食べていいよ!」


「そんなんでいいのか?」


 ミディアも一トンくらいは余裕で食えるし、他の部位も食える。まだ三百キロも食ってないと思うんだがな?


「仔のほうも食べたい」


 あ、こっちを狙ってたのね。


「お前、仔も好きなのか?」


 これまで仔を食っている姿なんてみなかったが。


「柔らかいのが好き」


 岩でも砕ける顎を持ちながら柔らかいのが好きなんだ。好みとはよくわからんな。


「そうか。じゃあ、交換な」


 気絶させた仔と食いかけの親熊を交換していただいた。


 この弾力と血の味がたまらんな。獣の本能が満たされる瞬間だぜ。


 二トン近いだろう親熊を食い尽くし、デザートとばかりに脚の骨の軟骨をいただいた。


「なかなかの味だったな」


 満腹ではないが、気持ち的には大満足。冬以外の熊、美味いんだな。


 いや、冬以外も熊は食ったことはあるが、おそらく若い熊だったのだろう。冬に食う熊くらいには美味かったぜ。


「仔、美味かった!」


 ミディアも大満足のようだ。


「もうちょっと食いたいな」


「うん! 探そう!」


 と言うことで探しに出て二時間くらいて体長五メーカーくらいの赤熊を見つけられた。


 親子ではなかったが、赤熊は美味いので仲良く食い分けて腹を満たした。


 しばし食休みしていると、懐かしい臭いを嗅ぎ取った。


「バルバとは珍しい」


 ゴゴールの平原に現れた巨大ニワトリ。それに似た臭いだ。


「ミディア」


「なんの臭い?」


 とっくに気がついており、初めての臭いに戸惑っていた。


「デカい鳥だ、火や毒を吐くから風下には立つなよ」


 臭いの数は複数。群れで行動するモンスターではあったが、大森林の中にまで入ってくるとはしらなんだ。


「狩る?」


「そうだな。明日の分に狩っていくか」


 一日二日放置して熟成させてから食うのも美味いものだ。


 ってことで風上からバルバの群れに突っ込み、各自狙ったバルバを仕留め、首を噛んでさっさと逃げ出した。


 そのままミナレアまで駆け抜け、夕方には到着した。って、ミクニールを連れた騎士ワルキューレたちを追い越してしまったわ。


「ミディア。ちょっと見てくるからお前は休んでいろ」


 肉食のモンスターはいないだろうが、女子供を連れている。なにがあるかわからんし、迎えにいくとするか。


「わかった」


 全力で駆け抜け、三十分もしないで騎士ワルキューレの臭いを嗅ぎ取れた。野営しているようだ。


「レオガルド様!?」


「警戒が疎かになってるぞ」


 いや、オレの接近を察知しろは無茶な要求だが、気配を殺して近づくモンスターはいる。現れたと同時に構えるくらいにはなれ、だ。


「す、すみません。もっと精進します」


「ああ、死にたくなければそうしろ。それで、進みは順調か?」


「はい。明日中にはつけるかと思います」


「そうか。まあ、無理はするな」


 もうミナレアに近いとは言え、肉食の獣や蟲はそれなりにいる。それなりに警戒しなければ騎士ワルキューレでも危険だろうよ。


 風の刃で周辺の木々を切り飛ばし、弱い雷で飛び交う蟲を追い払ってやった。


「ゆっくり休め」


 オレも寝そべり、ミクニールの連中を見守りながら休むことにした。

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