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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
成長期編

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106 在り方

 一団のところにいくと、また槍を向けられた。


「お前ら、ミクニール氏族か?」


 行動がまんま同じだ。


「……お前は、なんだ……?」


 オレのことを知らないってことはミナレアにきたのは十年以上ない感じか。


「レオノール国の守護聖獣レオガルド。お前らにはゲルボアルと言えば理解できるか?」


 ゼルム族の長老たちが言うにはゲルボアルはたまに見るモンスターで、肉食系モンスターを主に狩るモンスターとしてありがたい存在らしい。


 ただ、長老の若い頃は、ってことだから五十年は昔のことらしいがな。


「ゲルボアルは、しゃべったりしないぞ」


「生憎、他のゲルボアルは知らんのでなんとも言えんが、母親はしゃべっていたぞ」


 そうでなければオレはしゃべれてないだろう。まあ、それでも獣がしゃべられてるのは謎でしかないがな。


「そんなことはどうでもいい。お前らはミクニール氏族なのか?」


「あ、ああ。ミクニールだ。ミナレアの民に助けを求めて逃げてきた」


「そうか。お前らの前に逃げてきたミクニール氏族がきている」


「到着できたのか! よかった……」


 ホッとする一団。氏族の中でも近い存在なのか?


「ミナレアはここから一日かかる。今のお前らでは二日はかかるだろうし、満足に食べてない様子だ。ここから少しいった場所にキャンプ地がある。そこにいくぞ」


「た、助けてくれるのか?」


「ゼル王──元レミナーの民から立った王の願いでゼルム族を助けるよう言われている。だが、獣に助けられるのが嫌ならオレは立ち去るぞ」


 まだレオノール国の民ではない。嫌だと言うならそれを尊重してやるさ。


「いや、助けてくれ! 子供たちはもう限界なんだ!」


 見れば子供が多かった。真っ先に逃がさなくちゃならない存在を逃さないとか、判断を誤ったな。


 いや、そこにいなかったオレがどうこう言う資格はないか。どういう状況かわからないんだからな。


 キャンプ地と定めたところへ向かい、地下に穴を掘って隠しておいた保存食をミクニールのヤツらに食わせた。


「この数ならあと二日は滞在できるな。しっかり休め」


 ミクニールの一団は三十三人。そのうち子供は十七人。騎士ワルキューレの一隊(十名)が五日は滞在できる量はある。二日は大丈夫だろう。


「塩を舐めて水をよく飲んでおけ」


 内陸部なのにどうやって塩分補給してるかわからないが、ゼルム族なら毎日塩を摂らないと貧血を起こす、らしい。


「貴重な塩をいいのか?」


 あ、やっぱり塩は希少なんだ。


「レオノール国は海で塩を作っているからな、このくらいいつでも補給できる」


 ゼルム族の塩の消費は年々右肩上がり。夏は港造りを中断して塩を作らせているよ。


「そこにあるものは使い切って構わない。そのために保存しているんだからな」


「……すまない……」


 その日はミクニールのヤツらの側についててやり、朝になったら草食系のモンスターを探しに出た。


 すぐに亀が見つけられたので、キャンプ地に戻ってからいただいた。


「レオ、戻った」


 昼前にミディアが帰ってきた。


「ご苦労様」


 謎触手で顔を撫でてやる。オレ、ギギしか舐めないので。


「先遣隊はいたか?」


「いたけど、逃げられた。鼻のいいのがいるみたい」


 ミディアも鼻がいいが、それ以上のがいるってことか。厄介な隊だな。


「食事はしたか?」


「うん。途中で大きい熊がいたからそれを食べた」


「熊か。オレも久しぶりに食いたいな」


 この大森林に住む熊は狩られる立場。準モンスター(体長四メートル)にもならなければ昼間に見つけるのは大変だろう。あいつら、泥を使って臭いを消す芸当ができるんだよ。


 ……冬は体臭がキツくなるから見つけやすくなるのにな……。


「美味しかった。また食べたいな~」


 そんなに美味かったのかよ。そう言われたら食いたくなるじゃないか。


「レオは亀を食べたの?」


「ああ。こいつらどこにでもいるからな」


 亀は牛丼みたいなものだな。美味いは美味いが、毎日食いたいものではない。週に一回か二回食えればいいものだ。


「ミディア。休んだらミナレアに走ってこのことを伝えてくれ。オレはこいつらについててやりたいから」


「わかった。疲れてないからいくよ」


「体力がついたな」


 第三次防衛線予定地までミディアなら二時間くらいで到達できるが、往復で四時間。ミナレアならそれで息切れしていたのにな。


「もうレオにだって負けないよ」


「ふふ。オレに勝とうなんてまだ早いぞ。一日中走れるようになってオレと並べるだろうな」


 オレの体力もSSSランク。体調が万全なら二日は走り続けられるだろう。まあ、エネルギー補給にミゴル(マンモス)二頭は食わなくちゃならんけどな。


 ミディアがミナレアへと向かい、オレは体力温存のために寝そべる。亀は消化がよくてすぐ腹減るんだよ。


「あ、あの、レオガルド様。先ほどの白いバリュードはいったい?」


「お前らを襲ったバリュードの群れから追い出されたはぐれだな。今はレオノール国の見習い守護聖獣だ。ちなみに、もう一匹いる」


 もう数ヶ月会ってない。レブとチェルシーにあったら甘えさせてやらんとな。


「レオノール国の民となるならオレらを敬うようにしろ。レオノール国でオレらは神と同じ存在だからな」


 それがオレらの生きる術。今からオレらの在り方を築いていかなくちゃ未来はないのだ。 

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