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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
成長期編

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105 先遣隊

 騎士団ワルキューレズに水浴び場を、と言われたが、騎士団ワルキューレズ基地の近くに水浴び場を造るほどの川はなかった。


 まあ、飲み水に困らない小川はあるが、騎士ワルキューレ四十人と世話役十七人が使用できる規模ではない。


 井戸、なんてものを掘る技術はない。いや、人間の中にいたが、こちらまで連れてくるほどの数はいない。コルモアで精一杯だ。


 なら、どうする?


 考えた結果、サウナを造ることにした。


 騎士ワルキューレは男なので、綺麗になると言うよりはさっぱりするほうがいいだろうと思ってな。


 なので、試作を一つ造ってみた。


 造ると言うより煉瓦小屋を一つ改造か。暖炉を増設し、手頃な石をサウナストーンとする。


 元の世界でサウナに入ったのは数度しかないので、構造は曖昧なものだが、一酸化炭素中毒にならないよう空気穴を開けておき、あとは試行錯誤していけばいいだろう。


 出たあとの水風呂──は、樽に水を溜めて桶で掬ってかけてもらおう。


「誰か試してみろ。気分が悪くなる前に出ろよ」


 煉瓦サウナは改造により三人しか入れなくなったので、余裕をもって二人を入らせた。


 二人が入って二十分くらいして二人が大量の汗を流して出てきて、樽に溜めた水を一心不乱にかけた。


 火照った体がやっと冷めて、ハァーと長いため息を吐く二人。種族が違えどサウナ上がりは似たような行動をとるんだな……。


「どうだった?」


「気持ちいいです!」


「最高です!」


 晴れやかに笑う二人。そんなにか?


 前世でもサウナに嵌まるヤツは多くいたが、オレはそこまでではなかったから二人の気持ちはよく理解できなかった。


 だかまあ、騎士ワルキューレたちは興味を持ったようで、次々とサウナをして気持ちよい顔を見せていた。


「もっといいのを造りましょう!」


 なんかサウナに取り憑かれたヤツが数人出て、一から本格的に造り始めてしまった。


「そんなによかったか?」


「はい。サウナ、最高です!」


 ミゼルに尋ねたたら太陽のような笑顔を見せて肯定してきた。お、おう……。


 いつの間にか町から人を調達してきて、あーだこーだと話し合い、試作四号でゼルム族にあったサウナを完成させてしまった。


 ……お前ら、見回りに出ろよ……。


 とか、出そうになる突っ込みを飲み込んだ。


 文化は生まれたときに伸ばしたほうがいい。か、どうかはわからんが、興奮する男たちを止める術なし。もう好きにしろ、だ。


 見回りはオレとミディアでする。どうせ、エサを探しにいかなくちゃならないのだからな。


 第二次防衛線辺りで狩りをしていると、綺麗な泉を発見した。


「オレらも水浴びするか」


 オレらからしたら子供用のビニールプールサイズだが、水浴びするには充分。ミディア、シャワーやって。


「レオも水浴び好きだよね」


「気持ちいいからな」


 オレ、毛繕いとか嫌なんだよ。特に毛が口の中でジャリジャリするのが嫌。気持ち悪くて吐きそうになる。


 だから、水浴びはかかせないのだ。


「ミディアも浴びるか?」


「わたしはいい」


 プイとそっぽを向き、毛繕いを始めた。


 水の呪霊があるのに水浴びが嫌いとか、なんの因果かと思うよ。


 でもまあ、ミディアも綺麗好きだ。暇があると毛繕いして白い毛を輝かせている。どうも、周りから白い毛を褒められて自慢になったようだ。


 謎触手で隅々まで毛を洗い、汚れを落とした。


 綺麗になったらブルブルと体を揺らして水を飛ばし、陽当たりのいい場所で乾かした。


「レオ。バリュードだよ」


 せっかく綺麗にしたのにバリュードの群れが現れた。


「ったく。くるなら水浴びする前に現れろよな」


 水浴びのあとの狩りほど嫌なことはないぜ。


「なにかあったか?」


 ミディアが鼻を高くしているときは臭いを嗅ぎ分けているときだ。


「ゼルム族の臭いがする。追われてるのかも?」


 ミクニールからの事情聴取で、バリュードと戦っている村がいくつかあり、住み処から逃げずに踏ん張っているとか言っていた。


 おそらくそいつらが逃げてきたのだろう。ミナレアとは交流があったそうだから道を知っているヤツくらいいても不思議ではないだろう。


「ミディアは迂回して背後から襲え」


 オレの鼻ではバリュードの位置を確認しながら背後に回るなんて芸当はオレにはできない。ミディアに任せることにする。


「わかった」


 オレが嗅ぎ取れるまでミディアに誘導してもらい、風下に移ってから別れた。


 五分ほどで小型の群れに追われている一団と遭遇した。


「そのまま走れ!」


 そう叫んで一団を飛び越えた。


 小型はオレの出現に驚き、すぐに一目散に逃げ出した。


「索敵組か」


 これまでの行動から小型だけの隊は敵の位置を探るためのものだと判断し、索敵組と呼称したのだ。


 ちなみに、準モンスターに率いられた隊は先遣隊と呼称しました。


 索敵組は五から六匹しかいないので、バラバラに逃げようが追いつくのは簡単。あっという間に狩り尽くしてやった。


「また、新たな先遣隊がやってきたか」


 これまで二十近い先遣隊を狩ったと言うのに、懲りずにまた先遣隊を送り込んでくる。


「これだけ狩れば下がるか手を変えてくるんだがな」


 愚直に同じことを繰り返してくる。


「……もしかして、バリュードは別のなにかと戦っているのか……?」


 そう考えると納得できる。


 いや、そう決めつけるのは早いか。そう言う状況もあるとして警戒していくこう。


「レオ。索敵組を狩ったよ」


 索敵組の様子を伺う索敵組か。今回の先遣隊は知恵が回るようだな。


「ご苦労さん。先遣隊の臭いはするか?」


「微かにするけど、場所まではわからない」


 やはり知恵の回るヤツのようだ。


「第三次防衛線予定のところまで見回りしてきてくれ。オレはあいつらを送り届けるから」


「わかった」


 ミディアを見送ってから逃げてきた一団へと向かった。

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