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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
成長期編

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103 モド(茄子)

 と言うか、バリュードの数、多くないか?


 今さら? と言われたらまったく反論もできないのだが、これまで三十頭(小型のは匹にしてます)は狩っている。


 準クラスに小型が五、六匹。五匹としても三十をかけたら百五十匹もいることになる。


 百五十匹って、群れとして多すぎどころか破綻してるだろう。肉食だぞ。百五十匹の胃を支えるだけの獲物がいるって、草食獣が何万匹といないと生態系が保てんだろうが。


 しかも、まだボス的なバリュードは見ていない。群れとして動いているなら、ボスの周りにはまたAクラスのバリュード(おそらくメス)がいて、子がいて、小型のが群れているはずだ。


 それだけの数の肉食獣を支えられるとか、どんな生態系が形成されてんだよ? 想像もつかんわ。


「ミディアは群れのボスを見たことあるのか?」


 これも今さらな問いですみません。


「見たとは思うけど、記憶にない。ただ、金色に輝いてたのは記憶にあるかな?」


 金色? どう言う記憶だ?


 よくわからないが、バリュードの群れは狩った数の十倍はいると見ておけなう。これだけ狩ってもボスが出てこないってのはまだ脅威と見てないからだと思う。


「ミディア。第二次防衛線一から四まで見回ったらミナレアに戻れ。オレは八から十二まで見回ってくる」


 オレらの臭いを残してバリュードを警戒させるためだ。ここからはオレらの縄張りだってな。


「わかった」


 オレから離れるのを嫌がるミディアだが、目的があるならちゃんと素直に言うことを聞いてくれるようになった。成長著しくてちょっと親の気分である。


 防衛線に振り分けした区間に向かい、オレの臭いを振り撒いてからミナレアへと戻った。


 騎士団ワルキューレズの基地(と言うには烏滸がましいけどな)に戻ると、レブとチェルシーが戻っていた。


「ただいま、レオ様!」


「ぐるる!」


「巡回、ご苦労様な」


 一冬いなかった分を労ってやる。


「わたしもー!」


 タイミングよく戻ってきたミディアも加わり、くんずほぐれずなコミュニケーションをする。


 納得するまで付き合ってやり、終われば待機している騎士ワルキューレと銃士隊を集めて作戦会議をする。


 まずは情報を共有から始め、各隊からの報告を聞く。


 地面に簡易な地図を描き、バリュードと遭遇した場合を枝を刺す。もちろん、オレも謎触手を使って枝を刺す。


 日付も添えたいが、ゼルム族にはまだ日付、と言うか、時間が馴染んでない。朝昼晩夕方朝方くらいで判断しているのだ。


「第二次防衛線の六から八の間から侵入してくる感じだな」


 そこは木々が深く、視界が狭い。蟲系モンスターも少ないので侵入し易いのだろう。


「長老たち。昔、バリュードに襲われたとき、どこまで数が増えたか伝わっているか?」


 騎士ワルキューレや銃士隊だけでなく、長老たちも呼んである。言い伝えでもまったく情報がないよりはいいからな。


「村を取り囲むほどいたと聞いております」


 村の規模はわからないし、誇張かもしれないが、今回のことを思えばまるときりウソとも思えない。囲むだけの数はいたのだろう。


「これまで数百もの群れを形成したモンスターの話は伝わっているか? お伽噺でも構わない」


 お伽噺も教訓みたいなものも混ざっていることもあったりする。脈々と伝わっているものは蔑ろにできんだろう。


「蟲が溢れたことなら度々ありますな。ただ、蟲を好むモンスターもいるのですぐに消えてしまいます」


 蟲も増えたりするのかよ。いや、一番考えられることだったな。大量に見たら雷で潰してたから意識の外にあったぜ。


「昔もあったならバリュードは増える種族なのかもな」


 この星が何億年続いているかわからんが、大陸が移動しているなら数万年は大森林としてあるはず。その長い時間の間、そう言うふうに進化ししたのだろう。


「まあ、増えすぎてエサが足りなくなって自滅するもの。オレらも教訓として子に伝えていけ」


 大体の種は食料不足になって滅びるものだ。オレだってこのまま発展していけば無駄飯食らいと排除されかねない。森を壊しすぎず、草食系モンスターが死滅しないよう気をつけていかないとな。


「第二次防衛線内の植物分布の調べは進んでいるか?」


 ゼルム族は基本、菜食。大森林が枯れでもしない限りは食料調達は楽なのだ。


「あまり進んではいません。ただ、どこにでも育つモドの種はばら蒔いてます」


「モド? それはどんなのだ?」


「これです」


 と、なんか茄子っぽいものを見せてくれた。


「冬以外は生っているものなんですが、味が薄いのが残念なところです」


 まあ、素材そのままで食うからな、ゼルム族って。


「塩漬けにしたら美味いかもな」


 この獣の舌では味わうことはでかないが、前世の記憶はまだ茄子の漬物の味は覚えている。想像の中で味わっておこう。


「塩漬けですか?」


「ゼルム族はよく塩を舐めるからな。モドを塩漬けにしたものを好むかもしれんぞ」


 野菜を塩で茹でたものを美味いと言っている。なら、漬物も受け入れられるだろうよ。


「やってみましょう!」


 と、一人の男が声を上げ、モドを瓶に入れ、持っていた塩を放り込んだ。


「切ったり揉んだり一日漬け込むとかするとよく染みると思うが、まあ、試しだ。食ってみろ」


 塩を振りかけただけのものだが、非常食的なもの。塩をかけて食うのだから漬け込まなくてもしょうがないだろうよ。


「美味いですな!」


「これはいい!」


「塩をかけただけでこれほど美味くなるとは思いませんでした!」


 なにやら大好評。騎士ワルキューレや銃士たちだけではなく、長老たちも美味い美味いと言っていた。


 いろんな味を楽しめない獣に産まれたことを今日ほど後悔した日はなかった。

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