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第4話 「わ、わわわ、私が宰相ですか?」



 「私のもとで宰相として手腕を発揮してくれないかね?」


 国王はこのようなことを言ってきた。


 「わ、わわわ、私が宰相ですか?」


 動揺する。

 宰相。すなわち現代日本で言うのであれば内閣総理大臣だ。

 修一は総務大臣。大臣を経験しているが総理大臣は別だ。


 「ああ、宰相の立場になってもらいたい。君にはできないのか?」


 「そ、それは……」


 宰相。その立場の重さゆえに私は躊躇した。

 ここできやすく宰相になる。そのようなことを口にしてもいいのだろうか。悩んでしまう。


 「どうした? ところでそなたのことについてくわしく聞いてはいなかったな」


 「私は、政治家をしていました」


 「政治家? それはつまり大臣ということかな?」


 「……まあ、大臣をしていました」


 「大臣ということは宰相ということではないのか?」


 国王が質問してくる。


 「ええ、私のいた国では20人の大臣がいます。内閣総理大臣すなわち宰相とそれ以外に各担当分野を持っている19人の大臣で内閣を組織しています。その中の1つである総務大臣という職に私は就いていました」


 「総務大臣?」


 国王は聞き覚えのない言葉に疑問を浮かべた。

 総務大臣なんて言葉日本ぐらいにしかないだろう。分からなくても当然だと思う。

 私は総務大臣について国王に説明した。


 「総務大臣とは、総務省という国の行政機関の長です。担当している分野は郵便……手紙、情報通信……電話いや通信うーん、まあそういうものがあります。自治すなわち地方行政これらを担当しています」


 その後も総務大臣とは何か。総務省とはなにか。そのことについて国王に詳しく説明する。

説明開始からどれぐらい経ったのだろうか。話せることすべて話終えた私は国王から再び同じ質問をされる。


 「もう一度言うが、どうか私のもとで宰相の職についてくれないか?」


 私の話を聞いたうえで国王は私に宰相になってもらいたい。

 そのように思っているようだ。

 悩む。

 私が、宰相?

 そんな重い職に耐えられるだろうか。

 総務大臣に就任した当初も私が大臣? そんな気持ちになった。

 私はこれでもかなり早く出世した。

 だから、遅かれ早かれ総理大臣になることができる。

 内心そんなことを思っていた。

 宰相。

 ここは日本ではない。

 だが、宰相という立場で私がやりたいことができるのならばやってもいいのではないか。

 うん。

 どうしたものか。

 いや、やるしかないか。

 やる。

 

 「わかりました。宰相の職。耐えられるかどうかわかりませんが、全力でやらせていただきます」


 「任せたぞ」


 こうして私は日本国の総務大臣から異世界で宰相になることとなった。



 次回は来週の火曜日以降を予定しています。

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