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第3話 「私のもとで宰相として手腕を発揮してくれないかね?」


 すべて諦めた私は目をつぶった。


 ああ、死んだな。


 完全にそのような覚悟をしていた。

 長くもなく短くもない人生であった。政治家として総務大臣にまで慣れたが総理になることはできなかった。ああ、できれば総理になって自分の名前を残したかった。

 ああ、後悔しかない。未練しかない。何とかこの未練をどうにかできないだろうか。でも、もうそんなことを思っても遅い。

 残念だ。


 ああ、私はこの後天国に行くのか。それとも政治家だから地獄に行くのか。

 どうなんだろうか。


 ……。


 …………。


 おかしい。

 意識がなくならない。いや、死んだら意識がなくなるということは知らないから意識だけは残るのかもしれない。

 感覚もある。

 目はあけら、れた。

 目を開けてみる。


 「こ、ここは!」


 目を開けて周りをよく見渡した。

 目の前にあったのは華麗な装飾がなされたシャンデリアだ。

 このシャンデリアがあるのは鹿鳴館か? 迎賓館か?

 外国からの迎賓を迎えるかのようなすばらしい装飾がなされた部屋にいた。


 「私はいつの間にこの部屋に?」


 最後の記憶は車の中。

 テロがあったのは覚えている。

 だから、絶対に私は車の中にいたはずだ。それなのにどうしてこのような場所に私は今いるんだ。


 「おお、君が勇者かね?」


 「は?」


 いきなり声をかけられた。

 

 「おお、すまない。驚かせてしまって。私はこのウエーデン王国の第7代国王ムー3世だ。君の名前を教えてくれないか」


 「私は、山井修一……シューイチ・ヤマイと言います。それでここはどこでしょうか?」


 私は冷静を装う。

 内心は動揺している。

 国王? ウエーデン王国? 聞いたことのない国の名前、国王に私は状況が把握できない。


 「君を私は召喚したのだ。別の世界で命の危機にある人間を無事な状態で召還する魔法がわが国にはある。その魔法によって召喚された人物のことを勇者と呼んでいる」


 なるほど。

 それで私は勇者なのか。

 納得はしていないが、納得せざる得ないのだろう。


 「で、私は何をすればいいのだ」


 勇者というと、何かを倒す。昔話とかでそういうのを見た気がする。

 最近の若者の文化の中にもそのような話が多くあると聞くがいかんせん私は36歳だ。もう若者ではない。アニメなどのサブカルチャーにはもともと疎い。だから、そういう話を見ておけばよかったと思えてしまう。


 「ええ、あなたには1つお願いがあるのです」


 国王は一回域を大きく吸って貯める。

 そして、言う。


 「私のもとで宰相として手腕を発揮してくれないかね?」


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