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第19話 「そこにいるおっさんは誰だ!」



 「俺と話をしないんだ!」


 ああ、面倒くさい。

 

 「ユウタロ出てきたのね」


 「おお、アイリーン!」


 どうやらアイリーンと面識があるようだ。

 アイリーンの方はいかにも面倒くさそうな表情をしている。


 「おいおい、何だよ、その表情。俺が面倒くさい奴だと思っているのかよ」


 ユウタロの方も自分がそのように思われているということを理解しているようだ。


 「ええ、そうとしか言ってないわよ」


 「えええええええええ。そんなああああああああああああ」


 いや、違った。

 自分のことを理解していなかった。

 自分が本当に面倒くさい奴だとは思ってもいなかったみたいだ。


 「……バカだね」


 アイリーンは、ぼそっと言う。

 私は何も言わないが、心の中では思っていた。アイリーンと同様にこいつはバカだなと。


 「それで、俺に何の用だ!」


 「いや、あんたには何の用もないから」


 「ガーン!」


 大げさな男だ。

 私は思った。

 この男を大臣にするメリットは何一つとしてない。話すだけで無駄だということが分かった。


 「そこにいるおっさんは誰だ!」


 ユウタロは、話の相手を俺に変えてきた。

 お、おっさんか。

 まあ、36歳はおっさんと言われてもおかしくはないか。

 自分の年がおっさんと言われてしまうとかなりショックだが、子供が相手だと俺はおっさんなのだろう。

 それでも、やっぱりおっさん呼ばわりは無性に腹立つな。


 「おっさんって、ユウタロあなたこの人が誰だかわかっているの?」


 アイリーンは、私が宰相だということを知っている。国の偉い人に対して失礼な態度を取るユウタロに叱責しようとしていた。


 「知らん!」


 ユウタロは堂々と言い放った。


 「……」


 アイリーンは、その堂々とした態度に開いた口が塞がらなかった。あきれ果てているように見えた。


 「そんなにすごい人物なのか?」


 ユウタロは、さらに無知をさらけ出してくる。

 アイリーンは、顔に手を当てている。本格的にもうダメだ。そう、思っているようだった。


 「私は、シューイチ・ヤマイ。この国で宰相を務めているものだ」


 「ほおほお、宰相か……って、宰相おおおおおおおおおおおおおおおおお」


 反応がいちいち大きかった。

 私は耳をふさぐ。健康に悪い。


 「まったく、うるさい奴だ」


 私は愚痴をこぼす。

 私が宰相という立場の人間だと知り、この男はどんな態度を取るか。ちょっと、見ものだが。


 「はっはは。宰相か。そうかそうか」


 堂々としていた。

 こいつはかなりのバカだ。

 私はそう思った。だが、これぐらいの男は政治家のかばん持ちとしてやっていける。そんな人種だと思った。政治家の私設秘書は精神が強くないとやっていけない。もちろん、頭もよくないといけないが体力だけが取り柄の奴でもやっていける仕事だ。

 だが、私のかばん持ちとして採用することはしたくない。

 やはり、この男については完全に無視でいいな。

 私の中で1つの答えが出ていた。


 「私は、次の用があるから行くぞ」


 話をする必要もないと思い、踵を返す。

 方向転換だ。

 次なる人物に会うべく移動しようとした。

 しかし、妨害される。


 「待てーーーーーーーーい」


 なぜ、私の行動を止めるのだろうか。

 何がしたいのかよくわからない。


 「何か私に用があるのか?」


 「ぜひ、俺をあなたの弟子にして下さい!」


 「へ?」


 「え?」


 私とアイリーンは変な声を出してしまった。声を荒げることはしなかったが、変なことを出してしまった。アイリーンとシンクロした。それだけ、この男の提案に驚いたのだった──。


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