第18話 「おい、待てや!」
無事、1人目の大臣が誕生した。
科学技術担当大臣ルルーラだ。
この国の将来の発展のためにも科学技術は何としても開発しなくてはならない。だから、ルルーラに無事大臣に就任してもらってありがたかった。
同時にもっと大臣を増やさなくてはいけない。そう思った。最終的には内閣みたいなものにしたいと思っていた。
「次に誰かいい人いないか?」
私は、アイリーンに尋ねる。
大臣になってくれるような人材がいないかと。
「まだ、3人いますよ」
そうだ。
アイリーンの言葉で私は思い出した。この学年には4人の天才がいる。その4人のことを王立学園天賦の才能四選というらしい。何だ、その名前はというツッコミを入れることはしない。子供が頑張って考えたであろうキラキラネームなのだろう。日本にも若者の文化でそんなものがあったから分からんでもないが、相当残念な名前だということだけは分かった。
「他の3人にも会っておくか」
私は、アイリーンに他の3人にも会いたいので案内してもらう。
「では、一番近くにいるであろうユウタロに会いましょうか」
「ユウタロ……その子はどんな天才なんだ?」
私は、その人について聞く。
「うーん。筋肉バカ?」
筋肉バカか。
……。
…………。
ん? 筋肉バカ?
それって完全にダメな奴じゃないか。
「そいつ頭はいいのか?」
私はおそるおそる聞く。
「……た、たぶん?」
それは、かなり心配な一言であった。
ユウタロ。彼? についてはもう会うだけで期待しない方がいいのかもしれない。いや、まだ会ったこともない人物についてあれやこれや文句を言うのはさすがに失礼だ。私は政治家。人についてきちんとして判断をしなければならない。今までもしてきた。だからこそ、魑魅魍魎の永田町の中で総務大臣まで上り詰めることができた。
大丈夫だ。私にはできるはずだ。
「さあ、彼に会うことにしよう」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお、筋肉だあああああああああああああ」
……。
…………。
いや、大丈夫じゃないな。やっぱり彼には会わなくても全然いいな。
私の中ではもう解決していた。
アイリーンが私を見てくる。
「いいよな?」
「ええ、いいですね」
私とアイリーンはユウタロに会うのを辞めて別の人物に会うため別の場所に向かうのだ──
「おい、待てや!」
向かえなかった。
「今、俺に会おうとしていただろ! 何で、会おうとしないんだ!」
どうも、面倒くさいことになってきた。
私と彼の面倒くさい話し合い? が始まるのだった。




