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第15話 「ごめん。私は人間には興味ないの。だから、このおっさん誰?」



 アイリーンが指をさす方向に1人の女性生徒がいた。

 背は低い。140センチぐらいだろうか。メガネをしている。服装はよく見えないが白衣を上から着ていることは分かった。

 彼女がルルーラなのだろうか。


 「ルルーラ!」


 アイリーンが名前を呼ぶ。


 「……」


 「おい、返事をしないようだが」


 「え? そ、そんなことはないはずですが……。ねえ、ルルーラ!」


 「……」


 やはり返事がしない。


 「ルルーラ!」


 「……」


 それでも返事がしない。

 アイリーンも限界になったのか呼ぶだけじゃ飽き足らず本人の横に立ち思いっきり耳元で叫ぶ。


 「ルルーーーーーーーーーーーーーラ!」


 「~~~」


 ルルーラは、耳元で叫ばれたせいなのか何とも言えないような悲鳴を上げた。

 ああ、やっぱり人間というものは耳元で叫ばれれば反応するのか。そんなことがよく分かった。うん、実にすばらしい体験をさせてもらった。と、自分の中で勝手に自己完結をする。


「ア、アイリーン?」

 

 「ようやく気付いてくれたの? まったく、何回あなたのことを呼んだと思っているの?」


 「まあ、完全に気が付かなかったのよ。あなたももっといいように呼んでくれないかしら。耳元で叫ぶなんて卑怯だわ」


 「耳元で叫ばなきゃ絶対に反応しないくせに」


 アイリーンは頬をふくらませて怒っているのかあざといのかどっちなのか分からない表情をしていた。あれ、絶対に若い男にやったら恋しちゃうよな。


 「で、何か私に用があるの? 私、忙しいんだけど」


 「あっ。そうだった。実はあなたに用があるという人がいるの。それで私が橋渡しで来たの」


 「私に用がある人? その後ろにいる冴えなさそうなおっさん?」


 「うっ」


 冴えないおっさんと若い女性に言われるとなんか来るな。特に、高校生から大学生にあたる年齢の女性に言われるととても悲しい。これでも36歳だからおっさんじゃない──とは言い切れないか。36はもう立派なおっさんか。


 「おっさんって言い方はひどいよ。この人のことルルーラは知らないの?」


 「ごめん。私は人間には興味ないの。だから、このおっさん誰?」


 おっさん。おっさん。おっさん。

 ずっとそのように言われて本当に悲しい。


 「この人は宰相様だよ。この国で偉い人だよ」


 「宰相? ああ、そう。で、その偉い人が私に何か用があるの?」


 ルルーラは堂々としていた。

 私が宰相だと知っても態度を改めようとしていなかった。なかなか肝っ玉をもった奴だと私は評価した。


 「実は、君にいろいろと話を聞きたくて来たんだ」


 「いいですけど。私忙しいのでさっさと話し終わらせてくださいね」


 「……わかった」


 態度が相変らず改まらないのは腹立ってきた。

 というか、さっきから向こうのペースだ。こっちのペースに話を持っていきたいのにうまくいってない。

 だが、本題に入らないといけない。

 私は、ルルーラに話始めるのだった。


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