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8 三度目の苦戦

 

 棍棒を肩に担ぎ移動する。

 先程オークが来た方へ行くとやはり曲がり角があった。曲がり角を曲がるとまた通路が続いていたが…。


「なあ。奥の方になんかいないか?少し薄暗くてわかりづらいが」


「どこですー?あ、なんかいますね?動いてますし」


「よし、なら進もう。オークは魔法系のスキル持ってなさそうだし、他の敵がいいな。魔力操作がほしい」


「時空間魔法諦めてなかったんですね」


「当たり前だ。瞬間移動とか転移とかしてみたいだろう」


「そうなんですか」


「ああ。てことで行こう」


 この一本道じゃあ、あまり意味はないだろうが足音を極力立てずに進む。

 姿がハッキリ見えてきた。オークだ。しかも2匹。


 え?二匹?二匹はキツくないか?多分レベル20以上だろ?いや、仮にレベルが低くてもキングエイプより苦労してさっき倒したんだぞ?いくら俺のレベルが上がって15になっていてもまたボコボコになる未来しか見えない。

 よし、逃げるか。

 ふよふよ浮いているモモを手招きで呼び小声で話しかける。


「二匹はきつい。逃げよう」


「え?今更ですか?無理ですよー。もうあちらさん気付いてますよ?」


「あ?マジ?」


「マジです」


『『グオォォォ』』


 マジのようだ。くそ。すごい勢いで走ってくる。

 まあこちらが目で確認できる距離まで来たんだ。あちらからも見えるだろうし。なにより人間より嗅覚は鋭いだろうから匂いでバレるのは当たり前か。


「なんとか一匹の注意を引けたりしないか?」


「キングエイプの時みたいな感じですね!お任せください!」


「頼む」


「わかりました!」


 モモがオークの頭上へ飛んで行き、頭上まで行くと水を放ち、パシャっとオークの顔が濡れる。本当にただの水だな。というかあの水…飲めないのだろうか。


 とりあえず今はオークだ。一匹は動きを止め辺りを見回している。

 その間にもう一匹の突撃を避け、すれ違い様に胴体へ棍棒を打ち付ける。

 おお。オークの方がまだ速いが動きについていける。これならいけるか?


「ガッ!?」


 オークが後ろ向きの状態で棍棒を振り抜いてきた。


 ぐ…。脇に思い切り当たったせいで呼吸が…。


『グオォォ』


 くそっ。


「ぐっ」


 コイツ蹴飛ばしてきやがった…。いてぇなおい。


「ゴホッゴホッ」


 なんとか立ち上がる。もう1匹は…。まだこちらに向かってきていない。モモが注意を引いてくれているようだな。

 さっさと倒さねーと。

 棍棒で殴られ蹴り飛ばされても棍棒を離さなかった自分を褒めてやりたい。

 棍棒を杖のようにして立ち上がる。

 追撃してこないのは何故だ。そう思いオークを見るとニヤニヤとこちらを見ていた。コイツら…人のこと小馬鹿にするのが好きらしいな…。


 俺が立ち上がっている間も立ち上がった後もニヤニヤとこちらを見ているだけなので超速再生で回復出来ている。


 よし。

 油断しているようなので、このままふらふらと距離を少し縮めある程度近づいて一気に駆け出し不意をつく。オークは驚いたようで棍棒を振りかぶるのが遅く俺の一撃を受けよろける。

 そのまま連続して棍棒で叩きまくる。


「オラァ!」


 オークがついに棍棒を手放し倒れる。

 死んではいない。そのまま何度も頭や身体を叩き続けると動かなくなった。


『ガァァァァ!』


 相方が倒されたのがわかったのかモモに注意を向けていたやつがこちらへ突っ込んできた。

 先程より身体が軽い。レベルアップしたのだろう。

 今し方倒したオークの棍棒を持ち二本の棍棒で突撃をしてきたオークの棍棒を受け止め、そのまま身体を二本の棍棒で滅多打ちにする。


「はあはあ…ゲホッ」


 ひたすら手を止めずに殴り続けていたらオークが消えた。とっくに死んでいたのか…。


「大地さん流石です!すっごく怖かったです!大地さんが!」


「ゲホッ。どういうことだ」


「鬼の形相ってああいうことを言うんですね!」


「お前が失礼なことは…今更か。はぁあ。何とかなったな。モモありがとうな。お前が注意を引いていてくれたから助かった」


「助けになったのならよかったです。でも怖かったんですよー。水かけても反応しなくなったから透明化を解いて目の前で挑発してみたり、薄ら生えてる産毛を生活魔法の着火を使って燃やしてみたり。何度捕まりそうになったか…!」


「アレだな。キングエイプへの攻撃方法を提案して来た時も思ったがモモには嫌がらせっていうスキルがありそうだな」


「ないですよ!何ですかそのスキルは!そんなこと言うともう手助けしてあげませんよ!」


「冗談だ」


「冗談に聞こえないです!」


 ぷりぷり怒っているモモは放置。それよりドロップがなに出たか。


 お。先に倒したやつはスキルの紙と…ブロック肉かこれ?こんな地面に直に生肉置かれても困るのだが…。


 あ?突いてみたら肉の感触じゃあなかった。ビニール?なんか膜のようなものが肉を覆っている。


「あ、それは魔素で出来た膜です。魔力を通した刃物とか、手に魔力を集めて破ろうとすればすぐ破れますよ」


「へー?すごいな。ラップいらないじゃないか。節約になるな」


「発光花見た時にも節約になるとか言ってましたがそんな貧乏なんです?」


「いや?貧乏ってわけではないが節約できるところは節約して好きなことに金を使いたいだろ?」


「貧乏ではないけど貧乏性ってことですね!」


「ちょっと違うが…まあいいや。それよりこの肉はさっきのオークの肉なのか?」


「そりゃあそうですよ。オークからオークの肉以外が出たら怖くないですか?」


「…いや、殺したらブロック肉が出てくる時点で割と怖いが」


「なんでです?」


「なんとなく」


「えー。なんですかそれ。それよりその肉どうします?」


「焼いてみてくれるか?」


「生活魔法の着火で、ってことですよね?着火の魔法は火種を作るだけなので何か燃やすものがないと大きな火は作れないのですよ」


「ならこの紙燃やして…」


「スキルペーパーを燃やすとか馬鹿ですか!」


「冗談に決まっているだろう」


「大地さんの冗談はわかりにくいです…」


「てかこの紙消えないんだが。なんでだ」


「なら腕力上昇のスキルなんだと思いますよ。ちょっと見せてください」


 見せてやる。こいつこのミミズの這ったような字が読めるのか?


「やっぱり腕力上昇です。もう持っているスキルなので取り込まれないんです」


「このミミズ文字読めるのか?」


「読めますよ?」


「そうか。んじゃこれどうするかな。かさばらないから持っててもいいんだが」


「腕力上昇持ってないなら大地さん以外の人が使ってもスキルを覚えられますから、地上で売れたりしませんかね?」


「あー。どうかな。だがその可能性もなくはないか」


 地上でスキルペーパーが売れれば儲け物だしな。ポケットに突っ込んでおく。


「というかお前がこれでスキルを覚えたりはできないのか?そしたらレベル上げがしやすくなるだろう?」


「それは完全に人間用ですね。私には使えません」


「そうか…」


「あ!大地さん大地さん!こっちはスキルペーパー二枚ありますよ!すごいです!」


「二匹倒して三枚のスキルペーパーって…スキルペーパーの出る確率高過ぎないか?」


「ドロップ率上昇と大地さんの運です!そんなポンポンでるものじゃあないはずです!」


 本当かよ。まあそう思っていた方が気分はいいな。

 もう一匹がドロップしたスキルペーパーを拾う。

 すると二枚とも消えてなくなった。


「お。消えたぞ。なに覚えたかね。ステータス表示っと。


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 個体名【泉 大地】

 種族【日本人】

 性別【男】

 Lv【19】4UP


 ・戦闘スキル

【格闘術2】【受身3】【腕力上昇1】

【肉質向上1】new【聴覚上昇1】new


 ・耐性スキル

【苦痛耐性2】【物理耐性2】

【毒耐性3】【精神耐性3】


 ・固有スキル

【再生】【種】【ドロップ率上昇】

【時空間魔法】【超速再生】

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