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71 獄門と四十七階層


「えーっと、もう一度初めから話すわね。殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語、邪見、犯持戒人、親殺し…親だけじゃなく親類も含むから尊属殺って言った方が良いわね。

まあその八つの罪を犯した者が【獄門】の対象よ」


「その罪を行ったってのはスキルが判断すんのか?」


「スキル…といえばスキルね。迷宮……ごめんなさい」


「なんだ?」


「大地さんあれですアレ。迷宮が下層へ行くように意識を少し誘導してるって話しましたよね?」


「それは聞いたが…ああ…俺自身が気がつかないと説明できないってことか」


「ごめんなさい」


「別にそれは良いが…」


禁止事項ねぇ。なんなんだろうな?


「えーっと、スキルが判断するっていうのは間違ってないわ。ステータスとかを作ったシステム…と言えば良いかしら?それで判断されるわ」


ふむ?それは話せて…さっき話せなかったのはなんだ?


「それぞれの罪に関してだけれど…」


わからないな。とりあえず今は放置でいいか。


「簡単に説明するわね。殺生は悪戯に殺生を繰り返した者が対象。盗みも悪戯に繰り返す…というよりは盗みの理由の善悪をシステムが判断するわ。どうしても自分が生きる為、人を生かすために必要で被害による影響が少なかった場合や盗んだ相手がこの八つの罪を複数繰り返すような者なら【獄門】に引っかからないわ」


「ふむ…?」


「『邪淫』は淫な事を繰り返して相手を傷つけたり、死に追いやった場合。『飲酒』はお酒を利用して毒殺や、お酒を飲ませて悪事を働いた場合。

『妄語』は嘘ね。対象になるのは人を陥れるたりするもの。

『邪見』は邪な見方や考え方ね。先入観から穿った見方をするくらいなら問題ないわ。道理に反しているのことを理解しようともしない考え方や心を持つこと。でもまあそれだけで対象にはならないわ。その考え方を広めて混乱を招いたり、他人を傷つけたりした場合ね。

『犯持戒人』は一言で言えば強姦ね。これは一発でアウトだわ。『尊属殺』は親などの血族を殺した場合。これも一発アウトね。こんなところかしら」


「つまり……他人を害する悪いことはしちゃいけないってことでオーケー?」


「ちゃんと理解してる?」


「してるしてる。ただその判定はよくわからんからな。とりあえず普通にやっちゃいけないことっていいな」


「ま、まあそうね」


「了解した。んで、このスキルを使うとどうなるんだ?」


「今言ったことを犯した者に向けてスキルを発動したら獄門に取り込まれて責苦をうけるわ。ただ死ぬことはないから心から反省して二度と罪を犯せないとシステムに判断されたら取り込んだ場所に勝手に出てくるわ」


「ん?出てくるのか?」


「ええ」


「??」


「A地点で【獄門】を使うとするでしょ?大地がその場を移動してどこにいたとしても、罪人が出てくるのはA地点になるわ」


「へぇ…」


凄く説明してもらったが…使うことはないと思う。そんな人と関わることないし。


「魔物には効かないのか?」


「人間のみね」


「幻獣人は?」


「人種だから対象ね」


「そうか…」


まあなんか凄いスキルだけど、使い道がないのは理解した。

魔物を狩るのは殺生に入るのか?と思ったが、悪戯に、無意味に殺しているわけじゃないから問題ないのだろう。


そして少し【雷魔法】の練習をしてから階層を降りる。紫電を飛ばしたり、雷を矢や球、槍の形状にすることは問題なくできたし、後は威力がどれくらいあるかだが…魔物にぶつけて試すことにする。


「大地さん、休まなくて大丈夫ですか?」


「うーん…疲れてはいるが…まだ平気だな。魔力も半分くらいあるし大丈夫だろ。次の階層の魔物次第では一旦戻って休むかな」


物理耐性持ちだと魔力が足りるかわからないからそうじゃないことを祈る。


四十七階層に降りるとすぐ遠目にだが、茶色の巨躯が見えた。


「アレはなんだ?」


「見えないです!妖精より目がいいとか…」


「……いいとか?」


「な、なんでもないです!」


どうせまたおかしいだとか化け物だとか言おうとしたのだろう。モモは睨んだら目を逸らした。


ユキもわからないようなので近づいて行く。

ケルベロス並みの体躯、茶色の毛で覆われ、顔はフクロウに近い。


「オウルベアね」


「ギャァァァア」


叫び声みたいな声を上げるオウルベア。翼のような腕

を広げているところからすると威嚇しているのだと思うが…。


「っ!こいつは積極的に攻撃してくるタイプか!」


そこまで近づいていないのに腕を羽ばたかせ、物凄い突風が吹き荒れた。


「これ魔法か!?腕を振るだけでこんな風でないだろ!?」


…………。


「モモ!ユキ!?」


二匹のいたところを見るとそこにおらずかなり後方に飛ばされていた。飛行してたら俺も飛ばされていたな…。


あいつらは…安全圏に行ったと思えばいいか。


この風じゃ魔法を放っても当たらなそうだから直接殴りかかりたいが…今の俺でもゆっくり前に進むくらいしかできない。

風の影響ご少ないところまで下がり大きく円を描くように駆ける。走りながら木の矢を放つがやはり軌道がズレ見当違いのところへ飛んでいく。


「めんどくせぇ!」


立ち止まり木の矢を作る。

毎回これだな…。


今回もバリスタ並みの矢を作るが、火ではなく雷を纏わせる。バチバチバチと音を立て木のが紫電に包まれる。


「これが当たらなきゃ撤退だな…」


半分以上にまで回復した魔力がどんどんなくなり頭痛がしてきたが…込められるだけ魔力を込めた巨大矢を放つ。


バチバチどころではなくバリバリという音になった矢は真っ直ぐ飛んで行ったかに思えたが少しズレ腕の付け根に辺り腕と胴体の一部を削るように飛んで行った。


ズドン!!


階層の壁に当たり物凄い光を放ち矢は消えた。


光が収まったが身体を削られたオウルベアは未だに片腕を振って風を起こしていた。


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