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58 再び



そして階段を降り、三十八階層。


「森、か。なんか大部屋階層増えてきたか?」


「浅いところよりは増えますよ!多分十階層くらいまではそういう階層ないんじゃないですかね?」


「そうね。まあ迷宮の構造はたまに変えるみたいよ?」


「それは迷宮自身が?」


迷宮自身ってなんか変だな?


「そうね。迷宮自身とも言えるしこの迷宮を管理している迷宮核がとも言えるわね」


ふーん?


「ウェアウルフのとこよりは見通しがいいな。ユキ階段見つけるの頼んだ」


さて、ここはなにがでるかね?魔法スキルは欲しいがこの階層では出てこないでほしい。連続で何百匹も倒して回るのはさすがに嫌になる。


「魔物いたわよ」


「何処だ?」


「もう少し先。動いてないわね」


先制できるならそのほうが良いから少しゆっくり進むと魔物が見えた。


「金色のカブトムシと銀色のカブトムシ…?」


正面の木に一メートル大の金と銀のカブトムシがいた。


「ゴールドビートルとシルバービートルですね!」


「ちなみにクワガタもいるはずよ」


「捕まえて地上に持っていけるか…?」


「えーっと…わかりません」


「ワタシの知識にもないわ」


地上に持っていったら高く売れそうだな。この姿じゃあ自分より大きいカブトムシを箱…アイテムボックスに入れることもできないが。


カブトムシはとりあえず火魔法で焼いてみたが燃えなかったので大きめの木の矢で貫いた。ドロップアイテムは飴サイズの金塊だった。


「なんで金塊。こいつ金で出来てるにしては簡単に貫通したぞ?」


「それは大地さんのスキルレベルとか進化して魔力量が馬鹿みたいにあがったからでは?」


「馬鹿に馬鹿とは言われたくないが…そんなもんか」


モモが馬鹿ってことに関して反発してくるが聞いてやらない。

そしてゴールドビートルとシルバービートルからは金塊と銀塊がドロップした。というかそれしかドロップしない。その後も金と銀のカブトとクワガタを倒しまくった。地上に出たら売れると良いなーと考えて。


そして数は少ないが金色のカマキリがいた。クィーンマンティスらしい。金色の巨大カマキリの周りにある卵から銀色の小さい(普通よりは大きい)カマキリがたくさん出てきた。

そして今の俺なら木の矢を十、二十同時に出すことなど雑作もない。…とは言っても初めは焦ったが。だがたくさんの矢を以前よりも断然楽に、しかも同時に出せるので苦労はしなかった。


「にしても…この階層はなんだ?スキルペーパー一度も落ちないんだが。金策目的の階層か?」


「「さあ?」」


さあ?って言われた…。わからないのかよ。

それなりに長居をして金と銀を集める。この姿だから身体がアイテムボックスに金塊を入れるのが少し手間だったが。


そして三十九階層。

イエティウィザードとエンペラーエイプ。そしてキングエイプだ。

イエティウィザードは【氷魔法】を使ってきたが持っているスキルなので執拗に狩ることはない。

そしてエンペラーエイプはキングエイプより大きく、真っ赤な毛だった。強さは…わからん。キングエイプと同様に魔法で一方的に倒せたし。スキルペーパーは【怪力】と【腕力上昇】、【身体強化魔法】だ。まあ持っているからこれまた執拗に狩ることなく階段を優先し移動を続けた。


四十階層。


「ボスか。やっとここまできたな。後十階層か」


「はい!パパっと倒しちゃいましょう!」


「そういえば…ユキ」


「なにかしら?」


「迷宮妖精以外で迷宮に知識を与えられている魔物や知能があって会話ができる魔物がいるのは知識にあるか?」


「うーん…。ないわね。そんな魔物がいたの?」


「三十階層のボス。ミノタウロスが話してきたんだ」


「そんなこともあるのね…」


ユキも知らないか。なんだろうな?


「まあいい。この階層のボスは何か知っているか?」


「いえ、知らないわ。というより三十一から四十階層は二十階層までの魔物が出てくるから…ボスは二十一〜三十階層の魔物の上位種とかじゃないかしら?」


ミノタウロスの上位種とかの可能性もあるのだろうか?


「まあまあ大地さん!もう少し行けば見えてくるんですし、どんな魔物でも大地さんの敵じゃないですよ!」


「俺の敵じゃないかはわからんが…まあ確かにもうすぐ見えてくる、か」


あいも変わらず石柱が立っている無骨な空間を歩きながらボスの姿を探す。


「あれ…か?」


「なにかいますね!ボスですね!」


「人型ね。まあ二十階層以降はどれも人型だし当たり前ね」


こいつら見えてないのか?いや、進化して俺の視力も上がったのだろう。

俺の視界に映っているのは、まだ距離があるが確実にミノタウロスだ。キングミノタウロスとかエンペラーミノタウロスとかだろうか?

そして既視感が半端ない。視線の先にいるミノタウロスは三十階層のボスのように仁王立ちしており、おそらく槍斧を地面に刺しこちらを伺っている。


「え?またミノタウロスですか?」


「そんなことあるのかしら?」


モモとユキも見えたようだ。なんとなく以前と同じように近づいていく。動く素振りもないのでそのまま真正面まで行き立ち止まる。


ニヤリ。


何。ミノタウロスってこういう行動を取らないと気がすまねぇの?


「壮健そうで何より!と言いたいがその姿は予想外だったな。だが一度戦った相手を忘れることはない!また会ったな!」


!?!?


「はあ!?」


「迷宮が我のことを強化してくれ、更にまたお前さんと戦いたいという願いを叶えてくれたのだ」


迷宮…融通きかせすぎやしないか…?


「いや…え…つまり本気で三十階層にいたミノタウロスか?つかなんでこの姿を見て俺だと認識できてんだ」


「そうだ。三十階層には新たにボスを生み出したようでな。だからこれから我はここのボスだ!」


「はあ」


左様ですか。まーたこいつと戦うの?


「以前会った方なのですか?」


「らしいぞ」


「迷宮が気を利かせてくれたのかしらね?」


「どんな気の利かせ方だ」


「今ミノタウロスは強化してもらったって言ってたじゃない?実際どれほどかはわからないけど…元々ここにいた魔物じゃ今の大地相手じゃ満足に戦うこともできなかったんじゃないかしら?」


「うむ。以前はエンペラーエイプが居たぞ。我に負けて降格し、三十九階層に居るはずだが?」


エンペラー数匹いたぞ。降格して量産型魔物になったのか…。


「悪いが…この姿だし正々堂々武器で撃ち合い、ってのはむりだぞ?」


「ふむ…。お前さんと戦いたくて迷宮に頼んだのにな…。ちょっと待ってくれ」


ミノタウロスは後ろを向いてぶつぶつ呟き始めた。


「おい。この迷宮大丈夫か?会話可能なやつにまともなやつが少なすぎる気がするんだが。今のとこ2/3でポンコツだぞ」


「あら。ワタシはまともってことかしら?嬉しいわね」


「え!?私とミノタウロスさんがポンコツですか!?」


「そうだが?それよりこいつ何してんだ。背後から魔法撃って終わりにされたいのか?」


「大地さんのこと信じてるんですね!」


そんな信頼なんていらん。


「待たせたな」



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