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41 正々堂々≠舐めプ


その斧は両刃の上、地面に迷宮から知識を与えられていて、知能も高いみたいだしモモみたいにサポート役としてついてきてくれないのかね?モモよりしっかりしてそうなんだが。


「大地さん失礼なこと考えてません?」


「別に」


ミノタウロスとモモを見比べていたら怪しまれた。

はぁ。戦うのか。気が削がれたんだが…仕方ないか。正々堂々が好きらしいからとりあえず俺も斧で戦ってみるかね…。


「モモ。とりあえず手は出さなくていい。俺が危なくなったら頼む」


「二人がかりで構わないぞ」


「正々堂々、正面からの戦いをご所望なんだろ?少しは付き合ってやる」


「ブモモモモモォォ」


俺も斧を構えるとミノタウロスは咆哮した。


「って!ブモーって鳴くのかよ!なら初めから喋んじゃねぇ!」


「征くぞっ!」


そういうとミノタウロスは斧を振り上げ攻撃してきた。俺も斧を振り打ち合うがすぐさま跳んで後ろに下がる。【身体強化魔法】をしているのに押し負けた。

膂力が強い上に知能があると面倒だな。オークやオーガみたいに武器を振り回すだけじゃない相手なんて初めてだ。【斧術】持っているとはいえ俺は武器を持った戦闘なんて素人だ。【格闘術】もあるとはいえ、対人相手に形稽古と組み手をやっていただけだからこんな筋肉の塊みたいな三メートル級の魔物を相手に出来るほど熟達していない。魔法の方が上手く使えるだろう。だがこの間合いじゃあ有効打になる魔法はまだ発動できない。

正面から打ち合っても力負けするだけなので横から当て軌道をずらしたり弾いたりする。たまに槍の部分で突きを放ってくるがほとんどは斧の部分での攻撃だし、突きは避けれている。こんなことができるのは速度と瞬発力は俺の方が上だからだ。だがミノタウロスの攻撃をすり抜け攻撃できるほどの速度差はない。


どれくらい打ち合っただろうか。腕が痺れ重くなったと思ったら再生してまた戦える。それはいいが集中力がもたない。ミノタウロスはさすがボスだ。疲労しているようには見えない。

一度距離を取って魔法で攻撃するか?モモにサポートしてもらうか?

いや…。なんかそれだと負けた気がするから却下だな。負けそうってわけでもないし。勝てそうでもないけども。


「それだと我を倒すことはできないぞっ!」


倒されたいのかよ。なら普通に通してくれりゃいいのに…。とりあえずこのままでは千日手のようにいつまでもこのままだろうから何かしなければ。もちろんミノタウロスの体力がなくなるまでやるのも一つの手だがいつ尽きるかわからない。その前に俺の気力や体力がなくなることもある。


仕方ない、か…。


「魔法を使わせてもらうぞ」


俺はミノタウロスの斧を正面から受けその勢いを使い後ろに跳ぶ。そしてオーガの角を一本を残し投擲する。投擲した瞬間から魔力を練り一番使い慣れている木の矢を作成。ミノタウロスに近づかないよう回り込むように走りながら木の矢に魔力を込めていく。できれば側面に回り込み肩あたりを攻撃したい。可能ならこの一発を頭や心臓に撃って倒すか手や足に撃って武器を落とさせるか、膝を着かせたいところだが、頭や心臓を狙っても槍斧で弾かれるところしか想像出来ない。なら手足を狙うべきなのだろうがいくら筋骨隆々で太いとは言っても動き続ける手足を上手く狙えるかわからない。なので肩だ。多少狙いがずれても足を狙うよりは当たりやすい。


ミノタウロスも走ってくるが俺は全力で走りミノタウロスのそくめから攻撃できる位置を狙う。反射神経や腕を振るう速度は速いがやはり身体が大きく重たいのだろう。走る速度は圧倒的に俺の方が上だ。


そしてタイミングを見計らい矢を放つ。


「ブモモモモォォ!」


普通に喋んのになんでブモーって鳴くんだよ…。なんて感想は後回しだを肩ではなく腕に当たったが当たったのだから問題はない。両手で持って槍斧を落とした。正確には片手はまだ柄を握っているが片手では振り回せないのだろう。刃は地面に付いている。

俺は走っていた勢いをそのままに突っ込み斧を振るいミノタウロスの腕を切り飛ばす。そのまま刃を返し下から上へ振り上げ攻撃をしていく。


「はぁはぁ…」


無意識に呼吸を止めていたようだ。息が切れる。ミノタウロスは槍斧を落とし、仰向けに倒れている。


「大地さんお疲れ様です!」


「倒したか…?」


「えーっと、まだ息はありますが時間の問題かと」


「…見事」


ミノタウロスに近寄ると目だけを動かしこちらを見てそう言ってきた。


「我は時間が経てば蘇る。また戦いたいものだな」


「俺は嫌だわ」


「ふはは。楽しかったぞ」


ミノタウロスはそう言うと消えていった。死んだか。まあまた蘇るなら死んだといっていいかはわからないが、終わったのは確かだ。ミノタウロスが消えると宝箱が現れる。


「なんか濃い人でしたね…」


「人ではないが…変なやつだったな。というかこの迷宮が変だわ。なんでミノタウロスに自我や知能、知識を与えてんだよ」


「うーん…与えられた知識にはやっぱりありませんね」


「知能があってもいいけど、戦い難いから会話してこないでほしいよな。


「いえ、ミノタウロスも言ってたじゃないですか。大地さんが攻撃せずに正面から堂々と、目の前までやってこなければ会話せずに戦ってた、みたいなことを」


「俺のせいか…?いや、でもあんなあからさまに、待ってるぞ。って雰囲気出されたら先制し難いじゃないか」


「そういうものですか?」


「そういうものだ。さて宝箱を確認しようか」


「はい!」


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