39 木のウロ
その後階段を探しつつ、森を移動する。
木を倒したせいか、戦闘音のせいか、血の匂いのせいかはわからないが移動してすぐにウェアウルフに襲われた。合計七匹に襲われたが先程の様に一度に襲ってきたわけでも連携をして来たわけではないので、楽ではあった。一匹だけなら襲って来て、カウンターで倒せなくてもすぐに追い縋って攻撃すれば攻撃は当てられるし、タイミング次第では一撃で斬り伏せられる。
そしてドロップしたスキルペーパーに目新しい物はなかった。
その後はぽつぽつと襲われるだけでやはり大きな音や血の匂いをさせなければ群がってこないのは楽だった。ダゴンみたいに群れ単位で行動する魔物だったら物凄く面倒だっただろうしな。
まあ面倒ではあるが、ウェアウルフ単体なら【身体強化魔法】をかけていれば対処はできるからいいのだが、階段を探すのに時間がかかっている。かなりの時間森を歩き回っているが未だに階段が見つからない。
「大部屋系の階層は階段が見つけにくい様にできているのか…?迷路系よりも楽だと思うんだが…掛かる時間はあんま変わらないな」
「………」
返事がないのでモモを見ると少し後ろで横の方を見ていた。
「モモ?」
「ちょっと待ってください」
そう言ってモモがふわふわと飛んでいく。何か見つけたのだろうか?
「やっぱり!大地さん階段です!」
「おっ。やっと見つかったか!んでどこだ?」
「ここです!ここ!この木のウロの中!」
モモの前にある木のウロを覗いて見ると確かに階段が見えた。
「これは…外から見たらほぼわからないぞ?全部の木ではないけどウロなんて他の木にもあるし、外から見ると暗くて何も見えないし」
「今木々の隙間から漏れた光でなにか光った気がしたんですよ」
ウロにある階段に光が反射したのか。そんなのウロを気にしていなきゃわからないぞ…。
「普通に通り過ぎるところだったな…」
「ふふんっ。どうです!ウロの中に階段が隠されていることもあるって知識にもありますし、出来るだけウロは注意深く見ていたのです!」
「おい…。それを先に言えよ。そしたら俺もウロも見て回ったし、お前が注意深く見ていても今光が反射しなかったら素通りしていただろ」
「あ…い、いいじゃないですか!見つかったんですから!」
「よくないわ。これ素通りしてたらまたここを通るのは何時間後になるかもわからないし、ウロに階段が隠されていることを俺は知らないから次に通っても素通りしてたぞ」
「私がチェックしてたので大丈夫ですよ!」
「…………頼むから次から思い出したこととか重要そうなことは教えてくれよ?」
「善処します!」
はあ。
とりあえず階段が見つかったし良しとしよう。
「次は三十階層か…。ボスだよな?」
「はい!ミノタウロスのはずです!」
「特徴は?」
「オーガと同じ近接戦闘タイプですね。ただボスですのでオーガよりも能力は高いはずです。あとは斧を持ってると思います」
「オーガの強化版ね」
「はい!」
「ついでに三十一〜四十階層のことも聞いておきたいんだが」
「えーっと、やっぱりどの階層にどの魔物がいるかは知識にはありませんね」
「出てくる魔物…十種類はわかるのか?」
「あ、いえ、三十一階層からは一階層一種類ってわけではないみたいです」
「そうなのか?まあ色んな魔物がいた方がドロップするスキルペーパーの種類も多いだろうし、飽きないから助かるが…オーガやウェアウルフより強い初見の魔物がたくさん出るのはきついな…」
「でも…どうでしょう」
「ん?」
「いえ、レベルとかどれくらい強いかはわからないんですが、そんなに強そうじゃないというか…」
強そうじゃない?とりあえず続きを促す。
「出てくる魔物は多いので言うの大変なんですけど…」
「ならどんな系統の魔物か、後はお前が強そうだと思う魔物を教えてくれ」
「えーっと、一から十階層。それと十一から二十階層の魔物の上位種が出てくるみたいです」
「上位種なら強いんじゃないのか?」
「以前も言いましたけど、一から十階層は虫型の魔物。十一から二十階層は小型のゴブリンとか人型系の魔物です。なので上位種と言ってもそんなに強いとは思わないんですけど…」
「ホブゴブリンとかハイゴブリンとかか?それに二十階層は小型じゃなかっただろう。確かに広義的には人型だったが…」
キングエイプはオークより少し小さいくらいだったか?それでも立ち上がったら俺の上背くらいはあっただろう。
「ボスはまた別ですからね。下の階層より魔物より強いのは当たり前ですし、次の階層に行く試練みたいなものですから。
それとホブゴブリンとかハイゴブリンはいません。武器を持ち、戦闘スキルを持っているゴブリンアームド。ゴブリン達を統率する上位種のゴブリンコマンダーとかはいますね」
「待て待て。ゴブリンの上位種って何種類もいるのか?」
「他の魔物も進化先とかはたくさんあるみたいですよ?迷宮内の環境とかで違う進化したり、迷宮自身が生み出す魔物に武器スキルを与えてその魔物が強くなっていけばアームドとかソードとかの名を持つ魔物になりますし、上位個体を迷宮が生み出すこともあるみたいです」
「なんだそりゃ。でもここまでの階層で上位種なんて見なかったよな?」
「まあ迷宮自体できたばかりですしね。多分魔法スキルをドロップした個体なんかは時間が経って魔素を吸収したり、人間と戦って経験を積めばメイジ系とかに進化するんじゃないですかね?」
ですかね?ってお前がはっきりとわからないなら俺もわからんわ。




