34 力比べ
先制、とは言っても木の矢を魔力を多めに使って放てば一発で終わらせられるだろうが、今回は斧でどれくらい戦えるか試してみたいのでそれはしない。
ただ斧を使っての初戦だ。大丈夫だと思うが念のためオーガの片手か片足でも封じてからやりたい。
てな訳で先程と同じように俺は木の矢。モモは火の…矢？
「球じゃなくて矢でやるのか？当てられるか？」
「大丈夫です！多分！それとファイヤーアローです！」
「いや火の矢でいいだろ」
「だめです！ファイヤーアローの方が格好いいです！」
「どっちでも一緒だろう。技名を声に出すこともないんだし…」
「ファイヤーアロー！！」
うわっ。こいつ名前を叫びながらまだ遠くにいるオーガ目掛けて撃ちやがった。
「なにしてるんだよ」
「当たりましたから！いいのです！ファイヤーアローを馬鹿にする大地さんに格好良さを伝えてあげようと思ったのです！」
確かに当たったが…格好良さはわからん。火の矢じゃねーか。それに遠すぎてほとんどダメージないだろ。
「わかったから無駄撃ちはほどほどにな。それに怒って走ってきたじゃないか」
オーガは雄叫びをあげながら走って来ていた。
「遅いからいいじゃないですかー」
確かに速くはない。ドスドスと走っているが別に遅くはないだろう。恐らく普通の人間と同じくらい。だがレベルの上がって、【脚力上昇】もあり、全力だとかなりの速度と瞬発力の出る俺からすれば凄く遅く感じる。
段々と近づいてくるオーガ目掛けモモが火の球を撃ったので俺も木の矢を放つ。走っているせいで上手く足に当たるかわからなかったがちゃんと足に当たって転んでくれた。
追撃はせず起き上がるのを待つ。
「放っておいていいのですか？」
「ああ。斧を使った戦闘をしたいからな。ただ斧を使った初戦だしオーガが万全の状態だと不安があったから怪我させただけだ」
オーガは立ち上がりこちらを睨見つけ、斧を振り上げながら走ってきた。
とりあえず力比べしてみるか。
タイミングを合わせ振り下ろされた斧にこちらも同様に振り当てる。
ガキンッ！
「ぐっ…！おまっ！俺より膂力あんのかよっ！」
相手の方が高いところから振り上げたとはいえ押し負けそうになったのですぐさま横に転がり斧を避ける。
二十階層代の魔物なのにレベル50…いや、ガーゴイル狩った辺りから確認していないので60近くにはなっている俺よりも膂力があるとか、おかしいだろ！五十階層の魔物はどれだけ強いんだっ！
俺のレベルが100になったとしても…あれ？レベルの上限っていくつだ？聞いたことないな？
なんて考えつつもオーガの斧を避け続ける。避けるのは簡単だ。素早さとかは俺の方が上だ。
オーガが斧を振り下ろし地面に叩きつけた瞬間肉薄し斧を振り抜く。
「グガァァァ！」
いてぇぇぇって感じか？
叫び無防備なオーガへもう一度斧を叩きつけると深々と刃が刺さり沈黙した。
「大地さんお疲れ様です！」
離れていたところからいつでも魔法が撃てるように待機していたモモが戻ってきた。
「ああ。次からは力比べなんてしないで普通に戦おう」
「それがいいですね。でも身体強化魔法を使えば力比べも勝てるのでは？」
「あー…忘れてた」
身体強化魔法か。出来るだけ毎回身体強化を使って戦闘するか…。スキルのレベル上げにもなるし。
「んでドロップは角と…」
「これは【腕力上昇】です」
「まあオーガだしな。納得のスキルペーパーだ」
さて、ステータスの確認とレベル上限についてモモに聞くか。
