第3夜
こんばんは、お疲れ様です。
いらっしゃいませ。こんばんは。
きょうは、どのようなごようでしょうか?
「まっくらハチドリがきているときいたもので、いそいできました」
ええ。そのとおりです。
いま、ちょうど、まっくら花のみつをすっていますよ。
「まっくらハチドリは、ぼくのことをおぼえているでしょうか?」
もちろんです。ほら、会えてとてもよろこんでいるでしょう?
「よかった。ではきょうは、いっしょにお空をぼうけんします」
それはたのしそうですね。
では、このこなを、あたまと、てと、あしにつけてください。
「これはなんですか」
まっくらようせいのこなです。つけると、まっくらになって、空をとべるようになりますよ。
「わ。ほんとうに、まっくらになりますね。からだもかるくてふわふわします」
おててをハチドリみたいにパタパタしてみてください。
「とびました!では、いってきます」
いってらっしゃいませ。よい旅を。
「ただいまもどりました」
おかえりなさいませ。空は、いかがでしたか?
「くものなみにおつきさまのひかりがうつって、上も下もとてもあかるかったです」
それはさぞ、うつくしかったでしょうね。
「はい。ハチドリも、にじいろになってパタパタとんでいましたよ。とてもたのしそうでした」
ほんとうによかったですね。
「はい。それからハチドリのなかまがたくさんきて、おおきなにじをつくりました」
ハチドリたちが、にじを?
「はい。まあるくアーチになってとんで、みんなでずっとはやくとぶと、にじがうしろにどんどんできていくのです」
みているだけでも、たのしそうですね。
「はい、たのしかったです。ハチドリたちについてどんどんいくと、こんどはまっくら海につきました」
まっくら海はどうでしたか。
「みんなまっくらになってしまうので、ハチドリたちはみんな、みえなくなって、さいしょのまっくらハチドリだけがのこりました」
さいしょのこだけでものこってよかったですね。
「まったくです。ぼくたちは、ともだちですから。それから、海のそこにもぐりました」
海のそこはあぶなかったでしょう?
「いいえ。まっくらようせいのこなをつけていたので、海のなかでもまったくへいきなのです」
それはよかったですね。
「でも、まっくらシャークがやってきて、あぶなかったです」
まっくらシャークにつかまると、あたまから、まるのみにされてしまいますからね。
「そのとおりです。まっくらせんすいかんのかげにかくれんぼして、なんとかたすかりました」
はあ。それはよかったです。聞いているこちらもドキドキしました。
「それから、まっくらイルカにあいました」
まっくらイルカ?
「まっくらなイルカで、ぼくたちのおともだちです」
おともだちにあえて、うれしかったでしょう?
「はい。おにごっこをして、いっぱいあそびました」
たのしかったようで、なによりです。
「それから、まっくらイルカさんのせなかにのせてもらって、ここまでかえりました」
なるほど。空と海でたくさんぼうけんしたようですね。
「そのとおりです。すこしひえて、つかれました」
では、あったまってよくねむれるよう、まっくらスープをあげましょう。
どうぞ。
「ありがとう……ふう。いいおあじです」
それでは今夜はもうそろそろ、おやすみなさい。
お休みなさい、よい夢を