第13夜
おや、いらっしゃい。
こんばんは。
「あれ、てんちょうさん。カゴをもって、どこへ?」
まっくら森のおくへ、きのこをとりにいきますよ。
「じゃあ、ぼくがとってきてあげますよ! いってきます」
あれ、まっくらドラゴンは?
おるすばんさせるの?
「森なら、まっくらねこのほうがいいのです。ちょうのうりょくがありますからね」
なるほど。
「じゃあ、まっくらねこちゃん、れりごー!」
いってらっしゃい。
……では、まっくらお茶とまっくらケーキをよういしておきましょうかね。
………………
………………
………………
「ただいま! たくさん、きのこをとってきましたよ」
おや、ずいぶんとめずらしいきのこですね。
「そうでしょう。なにしろ、まじょのいえのちかくまで、いきましたからね」
……それは……ぶじでよかったです。
「だって、まっくらねこちゃんといっしょでしたからね! ぜんぜん、へいきなのです」
そうでしたか。
では、ねこちゃんには、まっくらミルクをあげましょう。
はちみついりです。
「よしよし。ねこちゃん、がんばったね」
まっくらねこちゃん、おいしそうにのんでますね。
だいかつやくだったんですか?
「はい。まじょのいえのちかくだったので、ねこちゃんがしっぽをぴん! とたてたら、いっしょに、かくれますよ! まじょがくるんです。
で、まじょがいったら、しっぽがだらん、となるので、またきのこをとります」
まじょをやっつけなかったんですか?
「まっくらねこちゃんをあぶないめには、あわせられませんから!
こんど、まっくらドラゴンといっしょに、たいけつしにいきますよ!」
なるほど。
それで、こっちの、まるいきのこはなんですか?
「じゃあん! なんと! それは、たべると大きくなれるきのこなのです」
……へえ……じゃあ、こっちの小さいのは?
「もちろん、たべると小さくなっちゃうきのこです」
ほう、なるほど。
「ぼくは大きくなるほうをたべて、おとなより大きくなりますよ!
それから、おとうとには、小さくなるきのこをたべさせます」
え? どうして?
ふたりで大きくなるのたべたら?
「それはだめです!
ぼくは大きくなって、小さくなったおとうとをこらしめるのです」
おとうとくん、なにかわるいことしたの?
「ぼくがあそんであげてるのに、とちゅうでかってにないて、お母さんをさがすからです!」
なるほど。それはイヤですね。
「そうでしょう。だけど、大きくなるきのこはどくがあるのです。
そのままたべれば、ぼくは2ねんせいになるまえに、しんでしまうのです」
おや、たいへん。
それなら、げどくざいがいりますね。
「しんぱいいりません。おなべに水といっしょにいれて、ひをつけて、おりょうりすればいいのです」
なるほど。
そうすると、どくがきえるのですね。
「はい。けれど、あとの水がもんだいです。どくがとけているので、とくべつなきかいで、どくと水をわけてから、水をながすんです」
へぇ。すごくかんがえましたね。
「そうでしょう。さいのうのかたまり、でしょう」
うんうん、天才ですね。
「ふふふふ。で、のこったどくはどうするとおもいますか?」
さあ……? すてる?
「ちがいます! これで、まっくらゴ○ブリとまっくらムカデをやっつけるのです!」
えさにねりこむのですか?
「それもいいですけど、すぷれーに入れたら、いっぱつですよ」
なるほど。
「ほんとうは5000えんするきちょうひんですが、みんなのために、1こひゃくえんでうりましょう」
おお。みんな、たすかりそうですね。
「もちろんです。やっぱりぼく、さいのうのかたまりですよね」
そうですね。
さぁ、お茶がはいりましたよ。
いったんおかたづけして……おや、もう眠ってしまったようですね。
それではこんやはもう、おやすみなさい。
おやすみなさい。よい夢を。