第10夜
「てんちょうさん、たいへんです!」
おや、いらっしゃい。
今日は、ずいぶんあわてていますね。
「ぼくがまっくらドラゴンにのって、そらをとんでいたら、あかるいまちのいえがぜんぶ、くさモンスターでいっぱいになっていたのです!」
……おお。それは、一大事だ。
「そうでしょう。くさモンスターをたいじしなければ!」
手伝いましょうか?
「いえ、まっくらドラゴンがいるからだいじょうぶです! いってきます!」
……いってらっしゃい。
……では、まっくらお茶でも用意して、まちましょうか。
★★★
「ふぅ、ただいまもどりましたよ」
おかえりなさい。くさモンスターは、どうなりましたか?
「ぼくはまっくらドラゴンにいいました。『まっくらドラゴン、ほのおのブレス!』」
……カッコいいですね。
「あたりまえです! ほのおのブレスをずばばばばばば! と、くさモンスターにふきつけたら、くさモンスターは、ぶぉおおっばばばぁっばしばしばしばし!」
つまり、やっつけられたんですか?
「そうです! らくしょうでした」
それは、おつかれさまでした。
なかなかすごい戦いで、つかれたでしょう。
まっくらお茶とまっくらクッキーを用意していますよ。
「ありがとうございます。じつはぼくも、おみやげがあるんですよ」
ほう。なんでしょう。
「じゃあん! ちきゅうよりおおきい、まっくらケーキですよ!」
おお。これはすごい大きさですね。
「おもたくてヨレヨレします! ああっ、つぶされた! たすけてぇ!」
ひっぱりますよ。
よいしょ、よいしょ……
あ、やっと、ぬけました。
「ふう。ありがとうございます」
じゃあ、お皿にのせましょう。
はい。
「よし、のりました」
それにしても大きなケーキですね。
だれをよびますか?
「それはもう、ちきゅうの人たちぜんいん、ですよ! みんなでばくばくばくばく! おなかいっぱい、たべます」
あ、皆、おいしい、っていってますね。
「おなかがすごくいっぱいになって、すてきなゆめをみてねられますよ」
そうみたいですね……ちきゅうからはみでた部分は、どうしますか?
「つきのうさぎさんと、うちゅうじんをたくさんよびましょう! みんなおいで! ケーキがあるよー」
あ、きましたね。
「みんなよろこんでたべてくれてますね。ふふふ」
よかったですね。じゃあ、そろそろ……
「まだオーストラリアのへんに、たくさんのこってますよ!」
じゃあ、わたしたちはそちらをいただきましょう。
まっくらお茶を水筒にいれて、フォークとお皿ももっていきましょう。
「やった! ピクニックですね」
そうそう。ピクニックですよ。
「はい、つきました! いただきます!」
いきなり……
「ばくばくばくばく! ああおいしい。いるかさんとくじらさんも、どうぞ。ばくばくばくばく!」
さぁ、そろそろお茶も、ほしいでしょう。
まっくらお茶、いれましたよ……おや、もう寝てしまったようですね。
それでは、今夜はオーストラリアの辺りで、おやすみなさい。
おやすみなさい、良い夢を。