03.天界について思うこと おかわり
昨夜、実家の祖父が亡くなった。
93歳という大往生だ。
生前は
「もう十分に生きて思い残す事は何もない」
と常々口にしていたので現世に満足して天界へと旅立って行かれました。
さて、これからは私が以前脳内連載で書いた「天界について思うこと」に沿ってこれからの祖父の事を考えてみようと思い筆を取りました。
まず、祖父は今頃天界の役所で神道国黒住教県の住民登録手続きを始めようとしています。
既に住民手続きを済ませて住民となっている祖母や大伯母も窓口で待ちわびているかも知れません。
特に祖母は生前、チャキチャキしていた性格だったから
「おとうちゃん、遅い!こっちこっち!」
など相変わらずまくし立てて祖父を呼んでいる事でしょう。
その前に、祖父は久々の祖母と大伯母との再会を喜んで色々と話をする事でしょう。
懐かしい話に花が咲き過ぎて
役所職員
「あのう、そろそろ手続きを進めてもよろしいでしょうか?」
など、呆れられているかも知れません。
そして住民登録手続きが終われば今度はうちの母方の親族などが集まって祖父の歓迎会が始まる。
開催場所は祖父の住まう予定の神道国黒住教県だ。
そうなってくると以前私が連載で書いたように、異なる宗派の国を行き来する際にはパスポートが必要になるとある。
母方の親戚一同は、各々が住まう仏教国浄土真州から神道国黒住教県への渡航手続きに追われている事でしょう。
特に母方の祖母は生前は結構抜けている性格だったから書類不備で返却されないように。
そして親戚一同が全員揃ったところで祖父の歓迎会が開催される。
歓迎会で出される食事や酒はイスラムでの天界よろしくいくら食べても満腹にならない美味い肴と決して悪酔いする事の無いお酒に舌鼓を打つことでしょう。
母方の伯父貴は、生前浴びるほど酒を飲むくらいの酒好きだったからここぞとばかりに酒をがぶ飲みするだろうな。
で、母方の祖母たちに
「飲み過ぎよるで。ちょっとは遠慮せないけんよ。」
なんて戒められる姿が目に浮かびます。
そんな感じで歓迎会は皆でわいわいと1週間くらい続くと思います。
何しろ皆さん懐かしいメンバー達が集まるわけで色々と募る話もあるでしょうし、1週間あっても足りないかも知れません。
でもまあ区切りを付けようってわけで別れを惜しみながら解散。
今度は私の国の仏教国浄土真州にもいらして下さいね、なんて社交辞令の言葉も飛び交う事でしょう。
実際、渡航手続きなどを考えるとそう気軽に訪ねる事もできずに二の足を踏んでいるだろうと思います。
こうした国を行き来する際の面倒な手続きを撤廃できるように各国の首脳さん、頑張って下さいね。
恐らくこの制度が撤廃されれば皆気軽に他国へも行き来できるので社交辞令はきっと無くなるでしょう。
と、まあ長々と天界について私の脳内で色々考えてみました。
余談だが、私は祖父の亡くなるちょうど前日に祖父の夢を見ました。
夢の中での祖父は病院のベッドで寝ており、私と母がお見舞いに来たという場面から始まった。
祖父は
「今までありがとう。後の事はよろしく頼んだぞ。」
と力強い口調で私達に言っていたのが印象的でした。
その翌日に祖父の訃報を聞かされた私は、きっと最後の挨拶に祖父が訪ねに来てくれたのだろうと解釈しています。
大人になり、変な知恵がついて心霊現象などを一切信じる事が無くなった私ではあるが、今回の件に関して言うと祖父の霊は存在していると信じたい。
全くもって身勝手な話ですがそうあって欲しいし、寂しくなった時は訪ねに来てくれていつでも会えるんだなんて素敵な事ではありませんか。
最後になりましたがじいさん、本当に本当に今までありがとう。
そしてお疲れ様でした。
向こうで皆とわいわい仲良くゆっくり過ごして下さい。