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牧場暮らし始めました。  作者: 何の変哲もない小泉
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第1話 ラティナとの出会い

心地よい風が草原の爽やかな香りを運び、やさしく頬を撫でる。背中には柔らかな芝生の感触を微かに感じた。日頃のストレスが削り取られ、心も軽くなっている気がする。

「ん…?芝生…?」

ふと疑問に思った俺は体をゆっくりと起こし、そっと目を開けるとそこには豊かな草原が広がっていた。やけに透き通った空を優雅に飛ぶ翼竜、見たこともない生物達が群れを成して闊歩している。

「えーっと…、ここどこですかねぇぇぇ!?」

この世に生まれて22年、悪夢なら覚めてくれと言わんばかりに大声を出した。

どうやら俺は異世界に来てしまったらしい。


とりあえず理解が追いつかないが、出来る限り今の状況を説明しよう。俺は冴えないサラリーマン人生を送っている[佐々木 照哉]。年齢は22歳、平凡な大学を出て特に思い入れもない会社に就職したごく普通の一般男性だ。昨日もいつもと変わらない生活を送りベッドに横になっていたはずだが、どういう訳か見知らぬ世界に来てしまった。だだっ広い草原に見たこともない生物たち。悪夢なら早く覚めてくれと願い、頬をつねるが痛みを感じた時点でこれが夢ではないと確信した。

「一体何がどうなってこんな所に…。」

呆然と座り込んでもう1時間は経っただろうか。

「とにかくここに居ても仕方がない。辺りを散策しよう…。」

そして俺はため息とともにゆっくりと立ち上がり歩み始めた。


見知らぬ世界なわけでどこを目指せばいいのかもわからず、ただ真っ直ぐに歩き始めて数時間が経った頃、ようやく民家のようなものが見えてきた。

「とりあえず人が居たら色々と聞かなきゃなぁ…。」

近づいてみるとその民家の横には木の柵で覆われた中にそれなりに大きな動物小屋のようなものが見受けられた。どうやらここは牧場らしい。

「へぇー。異世界にも牧場があるんだなぁ…。」

そう感心しつつ民家に近づくと突然黒い毛皮に覆われた狼のような動物がこちらに気づき、唸り声をあげ襲いかかってきた。

剥き出しの牙に滴る唾液、獲物を狙う鋭い目付きから明らかに殺しにかかっていると察した。

(あ、これ死ぬるやつやん…(ニッコリ))

恐怖で脚がすくみ、死を覚悟して目を閉じた瞬間ある女性の声が聞こえてきた。

「こらっ!!バーク!!駄目じゃない!!」

すると先程まで恐ろしい形相をしていた狼のような動物がみるみるうちに萎縮し、小型犬のような佇まいになっていった。

俺は呆然とした。全ての思考が遮断され、ただただ目の前の少女を無気力に眺めた。全てを見透かすように透き通ったコバルトブルーの瞳、女性らしい柔らかな顔立ち、細く真っ白な手足。極めつきは美しさを際立てるセミロングでシルバーの髪。22年間生きてきてこれ程までに美しい女性を見たのは初めてだった。

(神様ありがとう…。俺を異世界に運んでくれて…。)

「あのっ、お怪我はありませんか?」

ただ立ち尽くす俺を不思議そうな顔で見つつ、彼女は声をかけてくれた。

「あ、あぁ。お陰様で。」

身の安全を彼女に伝えると、彼女は優しくそっと微笑んだ。それはまるですべてを包み込むような優しい笑顔だった。

「あっ、申し遅れましたっ。私の名前はラティナ。ラティナ・オルティアですっ!」

オルティアと言えばギリシャ神話に登場する美しい女神を指す言葉だった気がする。まさしく彼女にぴったりな名前だろう。

「俺は照哉、佐々木照哉です。道に迷ってしまって…、よろしければ今晩泊めていただけませんか?」

何も無い草原を淡々と歩き続けてようやく見つけた民家だ。どうにかして宿と食事にありつきたいという願いを込めて提案した。

「冒険者の方ですか?家でよければ是非お使い下さいっ!」

彼女は快く承諾してくれた。容姿端麗で性格も良いときた。これは女神様に違いない。

そうして俺は何とか異世界生活1日目を生き延びることが出来た。

「牧場暮らし始めました。」を読んでいただきありがとうございます。

小説を執筆することは初めてですので誤った言葉の使い方や誤字脱字等がある可能性がございますがご了承ください。

のんびりと連載を続けていく予定ですので更新日時にはばらつきがあります。

ご指摘等ございましたら是非ご連絡ください( ˘ᵕ˘ )

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