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守衛さんは見た~語り継がれる彷徨える霊~

作者: クラキミチユキ

怪談話は初めてですので表現とかはすこし否かなり稚拙かもしれませんが温かい目で読んでいただければ幸いです。

これは私が仕事をしている際に聞いた話だ。


◇◆◇◆◇


この百貨店の警備にあたってようやっと1年目となる警備員…。

外は静かに雨が降る中、彼はこの歴史ある趣の百貨店の中を巡回している。

今回は地下1階、食品売り場の巡回の担当だ。

赤外線カメラやら、色々防犯設備は整えてはいるものの建物自体が古いためセンサーはつけられないんだとか…。

そろそろ巡回を始めて1時間になろうとしている。待ち合わせ場所にて交代要員を待たねば…。

そう思って踵を返したところで視界の端で何か動くのを捉えた。

人だ。

閉店してもう数時間も経っているのに…。だがこういうときのための彼らである。

白い服を来たその人は店内のエレベーターに乗ってしまった。

閉まるドアに間に合わず、舌打ちすると無線機で本部に要請を出す。


「本部、B1巡回担当ホノキ(仮名)。B1にて7番。エレベーターにて上階に移動中。エレベーターの緊急停止を要請します」


――ザザ…ザザザ…ザ…


返ってくるのは不快なノイズのみ。普段はこんなことはないのに。

彼の違和感を拭い去るように小さくため息を吐き、普段から鍛えた体力で隣の屋内非常階段を駆け上がる。

1階…2階…3階…まだ上を行く。

4階…5階…6階…7階…

6階の段階で確認したら7階でエレベーターは止まっていた。


「この時間の7階巡回担当はシズノ(仮名)だったな…シズノ、そっちに不審者1名白い服で背は150後半から160。」


――ザザザ…ザザ…


今度もまた不快なノイズしか返ってこなかった。

そんなことにかまってられず彼は1つ上の階に上がる。

上がってみると周囲を確認するとすこし離れたところで音がする。


――カツーン…カツーン…


杖をつく音だ。私は音のする方に走り、白い背の低い背中の人影をついに視界に捉えた。

廊下を幾つもの曲がり、まるで目的地があるかのよう、迷うこと無く進んでいく。

だがおかしい。杖をついているはずなのに音の間隔も動きもゆっくりとした動作なのに何故か距離が縮まらない。

違和感に感じ始めた頃、人影は閉店済みのレストランの中に入っていった。

レストランの中に入ったらもう袋のネズミだ。

その人はカウンター席に腰掛け背を向けたままメニュー表を見ていた。

後ろ向きの姿を見るに白髪の老人のようだ。


「おじいさん、どこからどうやって入ったかは知らないけど、もう閉店済みだよ」


彼は声をかけつつ手をの方に置く。

じっとりとした冷たさが手袋を伝う。

老人がゆっくりと振り向いた。

だが、老人の眼は窪んで真っ黒な眼窩が除き、表情らしい表情はなかった。


「っひ!」


彼は短い悲鳴とともに思わず飛び退いて尻餅をついてしまった。

しかし老人はそんな私を無視するかのように前を向いた後、彼の前から姿を消した。

あまりの出来事に彼の視界は真っ白になった。


◇◆◇◆◇◆◇


この怪現象は何十年も前に、ある日の15時頃に家族連れでここで買い物をして楽しそうにレストランで食事をしていたら、その家族のご老人が喉に料理をつまらせ、緊急7番(救急搬送)されたそうだ。

しかし残念なことにそのご老人は帰らぬ人となったらしい。

以降その日の27時、どこかの階で白い服の老人がどこからともなく現れ、店内を徘徊し、消えるそうだ。

尚その時に限って目撃者の無線と携帯が使えなくなり、そのご老人は店内の設備を開店しているかのように扱うらしい。


私は実際に経験したわけじゃありません。

ただ、とあるベテランの守衛さんはその霊が誰であるかわかり、注文まで取って成仏してもらおうと考えてウェイターの真似事までしたらしいです。(成仏したとは言ってない)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ちょっと怖かったです。 突然亡くなられたご老人の霊だったのですね。
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