お仕事をしている女の人とペット 3.きづく
「おじゃましま~す」
「どうぞどうぞ。狭いけど、くつろいで」
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三話「きづく」
私たちはコンビニで買ったビールとつまみたちをテーブルへ置いた。
キッチンの棚からグラスを出す。
玄関の扉を開けたときに風が入ったのか、
プランタの草たちはかすかに揺れていた。
私はコンビニで見つけた、植物用の栄養剤の蓋を取り
お酌するようにプランタへ差し込んだ。
「今日は特別ね」
ふと後輩を見ると
ゆらゆらと目線がたゆたんでいた。
「…ペット、どこすか?」
「?…、この子だけど?」
柔らかく揺れるプランタを
両手で抱え、後輩の目線の前へ差し出す。
「?」
「?」
「?え?…、この、草ですか???」
「え、うん、これ。…え、だって、ペットショップで買ったんだよ
売り文句も、ペットにどうぞ!って書いてあったし」
後輩はむにゃむにゃして、複雑な面持ちだ。
「…、んー、…ん、…コレ、猫草っていって、
猫が食べる草ですよ…」
「…?…はっ!!!!!」
ペットにどうぞって。
ペット(の猫に)どうぞってこと!?
ペットにする事が向いている草って意味じゃなかったんだ。
急に顔が熱くなるのを感じた。
「う、うわ、恥ずかしい。…。わ、わた、し、勘違いしてたわ」
「…、ままま、今日は飲みましょうか」
後輩は笑ってるような憐れんでるような、
複雑な面持ちのまま。
ビールの蓋を開けて私のグラスへお酌した。
三話。終わり。
うちのねこはかわいい。
ころんころん
くるんくるうん。
まわって、愛らしさを伝えてくる。
伝わる。