第八話
いやー、間が空いてしまいました八話です。
「それじゃあ何からにしようか…」
「まずは服を買うべきじゃあないか?俺たちもこんな格好だし。いい加減着替えたい。」
無事にシーナちゃんを仲間にした俺たちは、これから生活に必要なものをそろえる予定になっていた。
…ちなみにシーナちゃんはずっと下を向いて、目も死んでいるままだ。
とりあえず俺たちの分も含めて服を買おうということで、洋服量販店に来てみた。
「じゃあ俺は適当に買っておくからヤマトはシーナちゃんとゆっくり買い物してな~」
「え、ちょっと待ってくれトキ、俺女物の服とか全然わかんないんだけど…」
「んなもん俺だって知らんわ、お前の娘なんだからお前が面倒見ろよー」
「あ、おい、ちょっと…まぁいいか行こうかシーナ。」
「…はい。」
…この買い物を通してシーナちゃんには俺たちに対する、少なくともヤマトに対する警戒心は解いてもらいたいと思っている。このまま死んだ目の状態ってのも困るし、何よりヤマトがそれを許さないだろう。
と、いうわけでお邪魔虫は退散することにしたのだ。この辺の立ち回りはヤマトと長い間付き合ってれば慣れてくるだろう。
1時間後・・・
割と早く自分の買い物を終えた俺は店の前で二人を待っていた。ちなみに俺が買ったのはTシャツと適当なズボン、下着を何着かとモッズコートを一着で、この世界にもモッズコートがあったことには驚いたし、元の世界では愛用していたので個人的にはとてもうれしかった。
お、二人が帰ってきたみたいだな。
ヤマトはカジュアルなTシャツに上着、シーナちゃんは水色のワンピース、ヤマトにしてはいいセレクトじゃないか。
「悪いトキ、待たせちまったか?」
「いいや、ゆっくり買い物して来いといったのは俺だし特に問題ない。」
「そうか、じゃあ次は…飯かな?」
「ああ、そうしよう」
「シーナ、何かおすすめのお店とかある?」
「いえ、申し訳ありませんこの辺のお店は…」
「そっかー、よしじゃあ適当なとこ行って食べようか。」
そういってヤマトは近くのレストランへ向かって歩き出した。
「ほら、シーナちゃんもいかないと置いてかれちゃうよ。」
「っはい!」
「いらっしゃいませー!何名様ですか?」
「三人です。」
「それでは席のほうに案内しますね。」
店は昼時ということもありかなり込み合っていたが席は空いていたらしい。
「ご注文はお決まりですか?」
「この店のおすすめを三人分ください。」
「かしこまりました、少々お待ちください。」
「…シーナもこっち来て座りなよ、一緒に食べよう。」
「え…いいんですか?」
「もちろん、君の分の料理だって頼んだだろう?」
「…ご主人様はどうしてそんなに親切にしてくださるのですか…?私は異端者で、奴隷で、役立たずでっ…」
「シーナ、俺たちはとても遠いところから来たんだ。魔法も、ギルドも、奴隷だってなかった。だから俺は奴隷制度があまり好ましくないんだよ。でも俺にはどうすることもできない、だから俺のところに来た子だけでも幸せになってほしい。
君は仲間だ。異端者だろうが奴隷だろうが役立たずだろうが関係ない、俺の大切な仲間なんだよ。」
…さすがヤマトサン、こういうセリフを躊躇なく言うからもてるんだよなー…あー、シーナちゃん泣いちゃったし。
「あーあー、ヤマトシーナちゃん泣かしてるよ~」
「ちょっ、え、ごめんシーナ大丈夫か?」
「い、いえ、今まで私っ、いらないってお父さんもお母さんも、村のみんなも言って…そんなこと言ってもらえたの初めてでっ…」
「そうか…よかった。ちょうど飯もきたし食べながらこれからの話をしよう。」
ちなみに此処のおすすめは白身魚サンドだった。せっかくなら揚げればいいのに、と思ったが油とかがないのだろうか。
いつか料理もしてみたいな。
シーナの呼称は
トキタダ→シーナちゃん
ヤマト→シーナ
になってます。自分で書いててわからなくなることが多々ありますが。