第五話
はい、五話です。
最近やたらと腹が減るのはなんででしょうかね?
…朝か。
これが夢だったらそれはそれでよかったんだが、これはこれで楽しいから良しとしよう。
「おう、おはようトキ。」
「おはようヤマト、ずいぶん早いんだな。」
「あはは…よく寝れなくてね。」
「まぁそうだよな、よし、朝飯にしようぜ。」
昨日食べた夕食はとてもうまかった。
ステーキとサラダとパンだったのだが、ステーキもサラダもとてもジューシーで
パンが米だったらなぁ…と何度も思った。
今朝の朝食も期待していいだろう。
「あ、おはよう!いい朝だねぇ」
宿の奥さんがいい挨拶をしてくれる。
…なかなかいいもんだな、現代日本には少なくなってきていた古き良き挨拶の伝統だ。
「おはようございます!」
「おはようございます、朝食いただきますね。」
「はいよー!たくさん食べてくんね!」
今日の朝食はパンにローストされた肉とレタスらしき野菜の挟まったサンドウィッチとコンソメスープだった。
「「いただきます。」」
やはり絶品だ、このローストされた肉は牛肉に近く、ローストビーフかと思いきやそれよりもさっぱりしていてとても食べやすかった。コンソメスープも豪華な具こそ入っていないものの、朝の眠っている体を優しく起こしてくれるような、
そう、いわばおふくろの味である。
紹介してくれたライラさんに感謝しなきゃいけないな。
「「ごちそうさまでした。」」
さて、リフレッシュしたところで今日の予定の確認だ。
まず、金銭面だが宿の値段や飯の値段から考えるにこの世界では
100円=1Gくらいだと考えるのが妥当だろう。
そう考えると俺たちの所持金はそれぞれおよそ100,000Gつまり一千万円相当の金額を所持していることになる、バカじゃねえの?
よほど大きな買い物をしない限り生活に困る事にはならないだろうと考えた。
と、なると俺たちに足りないものは何か、『常識』だろう。
金や力を持っていてもそれをうまく使えないのでは宝の持ち腐れだ、
幸いここまで俺たちが出会った人たちは皆騙すようなそぶりもなく接してくれているが、いつ詐欺やぼったくりにあってもおかしくないのだ。
そこで俺たちは常識を学ぶために、(ヤマトにも思うところがあったのか乗り気だった)奴隷を買うことにした。幸い俺たちはライラさんと交流を持っており、彼も安くしてくれると言っていたし奴隷ならこちら側
…とくにヤマトのやつが元の世界についてぼろを出したとしても口止めが楽にできるので面倒事も起きにくいだろう。
変人になんか、なりとうないわ。
と、いうわけで俺たちは昨日ぶりにベル商店を訪れることになった。
「おや、これはこれはヤマト様にトキタダ様ではありませんか、どうなさったのですか?」
「いえ、ちょっと奴隷を見せてほしいなーと…」
「ああ!奴隷ですか!少々お待ちください、サービスさせていただきますよ。
なんせ私の命の恩人なんですから。」
「!ありがとうございます!」
そうして俺たちは商会の応接間のようなところに通された。
「それで、今回はどちらがお求めなのでしょうか?」
「ああ、僕が買いに来たんです。このセk…」
そのセリフを聞いて俺はとっさにヤマトの口を塞ぐ。
「そうなんですよー!まったくこいつは自分がうまく読み書きできないからっていろいろ気兼ねなく聞ける奴隷がほしいって言いだしましてー、アハハ…」
(おい、トキなにすんだ!)
(馬鹿かお前は!何も知らない相手に向かって「この世界の常識を学びたい」なんて変人以外の何でもないぞ!!)
「えっと…それではヤマトさんの購入ということでよろしいでしょうか?」
「え?ああ、すみませんお願いします。」
俺たちのやり取りを見て苦笑いを浮かべるライラさんに向き直ると、ライラさんの説明が始まった。
「それでは、奴隷について説明させていただきます。」
五話でした。
サンドウィッチが食べたくなったので買ってきます。