第十六話
まったり行きます。
今日も今日とて研究と名の新刊ラノベ漁りをしていたところ、我が家のドアベルが初めて音を鳴らしたので内心驚きながらワープゲートを使用してお出迎えに上がることにする。
「はいはいどちら様でしょうか~?」
ドアを開けると清楚が服を着て歩いているかのような身なりの女性がいた。
「初めまして、私はラジーナ教会でシスターをさせていただいております、アインと申します。」
「…宗教勧誘なら間に合ってますが。」
「ああっ!そういうわけでは無いんです!…コホン、実は昨日危ないところを助けていただいたヤマトさんがこちらにお住いとお聞きしたのでお礼にと思ったのですが…もしかして、家違いでしょうか?」
あっ(察し)、ヤマト関連でしたか。そうですかそうですか。
「あー…いえ、合ってますよ。ただ、ヤマトはまだ帰ってないので良かったら中にどうぞ。」
「よろしいのですか?」
「どうぞどうぞ。」
ということでアインさんを客間に通して、お茶を入れてお出しすることにする。正直こっちの世界のマナーとか知ったこっちゃないので俺なりにもてなしをさせていただくとしよう。
「すみません、お茶しかありませんが。」
「いえいえ、お気遣いありがとうございます。」
お互いに一口。この世界のお茶は紅茶に近い味だが色が若干黄ばんでいるので最初は抵抗があったのだが、まぁ郷に入れば郷に従えともいうし、今なんかはがぶがぶ飲んでいる。
閑話休題
「あの…お名前をうかがってもよろしいでしょうか?」
「ああ、失礼しました。トキタダ、といいます。親しい友人なんかは『トキ』って呼んでるので良かったらトキで呼んでください。」
「ありがとうございますトキさん、あの、トキさんとヤマトさんはどういった関係で…?」
「そうですね…同郷の親友です。」
「なぜ一緒にお住まいに?」
「一緒に旅をする仲間だからっていうのもありますけど…まぁ、いろいろありましてヤマトが俺の買った家に居候する形になってます。」
「…本当にそれだけですか?」
あるぇー…?この人もしかして俺とヤマトでアレな仲なんじゃないかって疑ってるんか?いや、間違いないなくそれだ、前の世界でいやというほど受けた視線だ。
あいつの主人公っぷりを見るのは楽しかったが、あまりに鈍感すぎて『ヤマトはホモなのでは?』という疑惑が持ち上がる事案が頻繁に発生していたんだがその時やり玉にあがるのは当然親友枠の俺だったので…あとはお察し、コミケで俺とヤマトに似たホモ本が見つかったなんてことはなかった、いいね?
「はぁ…アインさんが心配するようなことはございませんのであしからず。まぁ、ライバルを把握したいって気持ちはわからんでもないですがね。」
「えっ、えっと!失礼しました!…って、ライバルって…?」
「やだなぁ恋のライバルですよ、アインさんヤマトのことが好きなんでしょう?」
というとアインさんの顔が真っ赤になって「えっ、いや、しょんにゃととは…」とかみかみでいうのでとても愉快なことになっていた。
…初心な人って見てて心が満たされるよね。もっと赤くさせたくなっちゃう(ゲス顔)。
「まぁまぁ、ヤマトが帰ってくるまでゆっくりと話をしましょうよ。ああ、こんなのはどうです…?」
「もうやめてください―!!」
がんばれ、アインさん。