第十三話
ぼちぼち身辺整理も終わりですかね。
宿でヤマトとシーナちゃんを迎えるために宿に向かいつつ今日明日の分の食材等の消耗品を購入した。料理はまずまずできるといった程度だが問題ないだろう、シーナちゃんは料理できるんだろうか。
ちなみに、ヤマトは人から出された料理なら漫画に出てくるような暗黒鍋でもなんでも完食して「おいしかったよ。」と我慢を貫き通す優しさを持った代償に中学入学と同時に舌がぶっ壊れたようで、まともな味のものはできない。だからシーナちゃんが料理できなかったら俺がやるしかないのだが…その時はゆっくり教えればいいか。
「ただいまー!」
元気な声のほうを向くと元気そうな声の主であるヤマトとケガこそないもののへとへとといった様子のシーナちゃんが歩いてきた。
「お疲れさん、…どうしたシーナちゃん。」
「トキタダ様…ご主人様っていったい…?」
「…あぁ、言いたいことは分かるが普通に人間だよ、今は。」
大方あのわけのわからんパワーを見せつけられてあっけにとられているんだろう、ということはやっぱりあのパワーは規格外ってことでよかったんだな。よかったよかった。
そして、宿をチェックアウトして俺の購入した家に着くと二人とも目を丸くしていた。まぁ、当然だろうこれで70000Gなんだし。
家に入ってひとしきり中を周るとちょうど夕食時だったので飯にしようということでシーナちゃんに料理の可不可を尋ねたところ
「すみません…一度も台所に立ったことがないので何とも言えないです。」
と、申し訳なさそうに言うので今日から何日かは俺の料理を見て空いた時間で簡単なのから覚えていってもらうことにする。ちなみに今日はコンソメスープとちょいと豪勢に昼間から仕込んでおいたビーフシチューにした。…簡単なものじゃねぇけど気にすんな、頑張れシーナちゃん。
「で、今日はどうだったよシーナちゃん。」
「え、えっと、今日はさっき持ってたショートブレードと装備一式を買ってもらって、フォレストウルフの討伐に行ったんですけど私が一匹倒すのに時間をかけすぎて群れに襲われてしまったんですがご主人様が私が一匹倒すのなんかよりずっと早いスピードで倒して守ってくれたんです。」
と、楽しそうに語る。
「よかったじゃないか。それに、お前さんも初依頼で一匹は討伐できたんだし何よりの戦果だ。」
「そんな、恐縮です…。」
「まぁ、今後俺はあいつほど活発には活動しないと思うからさ、俺の代わりにあいつを支えてやってくれ、強いけどいろいろと抜けているからね。」
「…!はいっ!」
「さぁ、そろそろ煮込み終わっただろう。高めの肉を使ったから期待してくれよ、新居祝いと冒険者デビューのお祝いで豪勢に行こうじゃないか。」
そのあとリビングで三人一緒にリビングで今日あったことなどを楽しく談笑しながら飯を食べた。ヤマトにはもちろんシーナちゃんにも好評だったようでなかなかうれしかった。
(…元の世界への手がかりを探るのはもっと後でもいいかもな。)
そんな風に思える素晴らしい日だった。