ずれる者
短編です。
とある夫婦のとある日常です。
「おはよう。」
俺は言った。
彼女もまた、おはようと返してくれた。
キッチンで朝食を作っている彼女の背中はとても小さい。
俺は机の上にあったテレビのリモコンを手に取り、電源を押した。
ピッ、という軽快な音を立てて、部屋にあったエアコンが起動した。
「…………。」
何が起きたのか理解するまでに少しかかる。
エアコンの電源を切ると、笑い声が聞こえたため、その方向に目をやる。
彼女が腹を抱えて笑っていた。
「……焦げるぞ。」
そう言うと、彼女は慌てて背を向けた。フライパンを確認している。
因みに彼女は、朝食にフライパンなんて使っていない。先程は、まな板で何かを切っていた。
彼女は怒って包丁を投げてくる。
「危なっ!?」
ひょいと避けると、包丁はカラカラと床を滑っていった。
さらに彼女はおたま、そしてフライパンをフリスビーの要領で投げてきた。
さすがに危機を感じた俺は、おたまを屈んで避け、フライパンを受け止めた。
「調理器具で遊ぶなって。」
一つ溜め息を吐いて、俺は彼女にフライパンを手渡すために歩み寄った。
しかし。
「……!?」
俺は立ち止まった。
足元をよく見てみると……そこには無数の画鋲が散らばっていた。足元がお留守だというように。
「……普通に危ないだろ。」
そう言うと彼女は、だってだってと口を尖らせた。
俺は落ちている包丁を取りに戻ると、画鋲が散らばった所まで歩く。
片膝を突いて、俺は居合いの構えをとった。
「はあっ!!!」
振り抜く。
画鋲の針の部分が綺麗に斬られていった。
「こうすれば危なくないな。今度は気を付けろよ。」
彼女も感心したようで、こちらに顔を向けていた。
すると彼女はまたもや画鋲を散らばした。
もう1回。そう彼女は言った。
「仕方無いな。もう1回だけな?」
俺は苦笑しながら、その後彼女の期待に応えた。
こんにちは。そしてはじめまして。
アフロ月です。
ずれる者を読んでいただき、大変恐縮です。
いかがでしたでしょうか?
稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、それは私の勉強不足です。申し訳ありません。
初めての短編です。この二人、どこかずれてますよね。
まあ……ただ、それだけなのですが。