プロローグ
まず最初に。
ある国の話をしよう。
国といってもこの世界じゃあない。別の世界、つまり異世界ってやつの話だよ。
そんなのあるわけないか? 創作物の中にしかないものか? それともついに俺の頭がトチ狂ったと思うか?
全部違うしそうだな。ん? よく分からないってか。まーそれもそうだな。
……は? からかってるのかって? いんや、そういう訳じゃない。
創作を話すのが俺の仕事なんだよ。こういう語り口になるのもしゃーねーだろうが。
まあ、話を続けようか。
……あのな? その世界には、ある大きい国が三つあったんだ。
その国のそれぞれには、人間、エルフとかの亜人種、魔人……その三勢力が分かれててな?
その三つの国は戦争してたんだ。魔法とかも使ってな。
だけど、その戦争は終わらなくってな? いわゆる膠着状態っていうやつになってたんだ。
だから、三つの国はそれぞれで、自分の国が勝つようにってこっちの世界から勇者を呼んだんだ。
そうだ、勇者だ。かっこいいだろう?
それぞれの国で一人ずつ呼ばれた勇者は、人間の国の「勇者」、魔人の国の「魔王」、エルフの国の「大魔導士」なんて呼ばれていた。
全部がおんなじ勇者だと分かりにくいからな。
だがなあ、国に呼ばれた勇者が凄かったんだ。
みんなかっこいい活躍をしたのか? いいや。三つの国の勇者は、戦争も、国もめちゃくちゃにしたんだよ。
人間の国の「勇者」も。魔人の国の「魔王」も。エルフの国の「大魔導士」も。三人で結託して暴れまわったんだ。
そのあとの世界は随分ぶっ壊れたんだが──その三人を呼んだ王様、森の魔法使い、祈祷師はのちに賢者と呼ばれるようになったんだ。
何故だか分かるか? 解らないだろうが。
まあこの続きを聞きたいんなら、ちゃんとここに座るこったね。
今度はちゃんと絵付きで説明してやるよ。
さて、始まり始まり……。