表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
893とJK。  作者: にこる。
8/8

女心、男心。

昔、別れた女と久しぶりに会った。

顔も名も変えていたとは…。

初めて会った時、声を聞いた瞬間、整形する前の顔を思い浮かべたが全く違う顔だった。


元々、綺麗な奴だった。だが、整形をして更に綺麗になった。



「ねぇ、私達ってどうして結婚したんだろう」



それは…と言いかけたが、ふと俺も思った。

好きになったから?好きだと言われたから?いい女を自分のものにしたかったから?


どれも違う気がした。



「不思議よね。まぁ、どうでもいいわね」



お互い、答えは出なかった。



「…怪我って何でしたんだ?」



「交通事故。あなたと別れてすぐだから、罰が当たったんだと思う」



頬を撫でてすぐに真面目な顔をした。

一瞬だけドキリとしたが、それもすぐに消えた。



「さてと、私の家はもうすぐだから。バイバイ」



「送ってく」



「いいわよ。それより、あげたもの落としちゃダメだからね?」



店を出た時にもらった『良いもの』とは、空の写真。

笑顔の空、泣いてる空、怒ってる空…どれも俺にとっては金よりも素晴らしいもの。


胸ポケットにしっかりと入っているが、空にバレれば大変なことになる。




「美樹」



「…また、空と一緒に店に来てね?じゃあ」




ゆっくりと歩き出して片手をあげて去っていく。

別れたあの日のようで、少し懐かしかった。

涙も見せず、ただ何もかも面倒という奴だったのに、今はどんなものにもぶつかっていく、強い女に見えた。




「また…な」




どうしてあの女と結婚したのか。


それはきっと、寂しかったからだと気付く。


酒や金に溺れて疲れ果ててる時、優しくされて女に溺れて、幸せを掴んだ気になった。



それをあいつに言う気はない。

あいつもそれを聞きたくはないだろう。



携帯を取り出して電話を掛ける。



「もしもし?」



ストーカー、変態、馬鹿だなんだと言われても空が好きだ。




『何時だと思ってんですか、馬鹿なんですか』




起こされてイラついているんだろうが、今すぐ言いたいことがある。




「好きだ」




『チッ』




ブツリと切られてしまった電話。



…こんな女を俺は幸せにしたいと思う。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ