謎の女と男の会話。
あら、思ったより早かったわね。
私?もうお店閉めちゃったもの。だって久しぶりじゃない、あなたとお話するの。
別に楽しみにしていたわけじゃないわ、あなたに色々と教えてあげようと思ってたからよ。
空のこと、知りたいんでしょ?
あ、すみませーん。ビール2つお願いしまーす。
…で、何が知りたい?
………あぁ、あの子は自分のことをどう思ってるかって?
まぁ、嫌いじゃないんじゃない?
嫌いだったらすべて拒否してるわよ。一緒に出掛けたいとも、喋りたいとも思わないわ。
あの子、気付いてないだけ。
あっ、こっちです。美味しそうー。
ほら、あなたも食べなさいよ。健康的なもの食べてなさそうなんだもの。
…私?
私はあなたと別れてからもう半年は経つわね。
その間に色々あった。事故にあって酷い怪我して整形して。
名前も何もかも捨てて生きてきたわ。
もちろん、あなたとの思い出もほとんど捨ててきたわ、ふふっ。
ねぇ。空のこと本気なら絶対別れないって誓って。
じゃなきゃ、今すぐあなたの組に乗り込んで『襲われた!』って喚いてくるわよ?
…そう。ならいいの。
あの子を見てるとね、妹みたいな、娘みたいな感じがするの。
…ふふ、まさかあなたとこんな話するとは思わなかったわ。
結婚?
もう二度としないわ。幸せなんて最初だけだったもの。
『私、結婚ってもっといいものだと思った』
あの時はまだ若かったから仕方ないじゃない。
まぁ、その一言で結婚生活が終わるとはね。
でも良かったって思ってるの。
私、やっと幸せを見つけたから。
今の私、輝いてると思わない?
さてと、お料理冷めちゃったわね。
ほら、あなたが食べなさいよ。
私、また頼むからお願いね。
空の話?
これからじっくりしてあげるから、まずはこれを食べちゃって。
帰りにいいものあげるから、ね?