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893とJK。  作者: にこる。
3/8

彼はストーカーです。

学校、家、バイト先。まるで、行動すべてを知られているようで、どこへ行っても必ず出会う。

その度に私は痴漢撃退用のスプレーで退治している。


そんな奴のせいで、私の周りはおかしな噂で騒がしくなってしまった。



その一、橘の組員と思われる人達に「姐さん!」と出会う度に呼ばれる。


そのニ、ご近所さんが最近、お巡りさんを連れて私のところに来るようになる。


その三、ポストに私の行動、言動について書かれた謎の説教文。



すべて、橘春人というストーカーによるものだ。



私の生活は、あっという間に変えられてしまった。




「ってな感じで迷惑してるんですよねぇ」



「あら、いいじゃない。愛されてて」



近所にある小さなバーのママ、美和さんに愚痴っているのだが私の話を面白そうに聞いていた。



美和さんはお店の入口のドアに【休業中】と紙に書いて貼った。



「橘さんってカッコイイじゃない?羨ましいわね」



「じゃあ、あげますよ」



「ふふっ、恋人にしたいタイプじゃないからお断り」



彼女は微笑んで私の額を突いた。

笑い事じゃないんですってば、本当。

頬を膨らませていると、美和さんはグラスにウーロン茶を入れて私に渡した。



「えー、お酒がいい」


「だぁめ」



ますます膨れる私の頬をストローで突いてきた。

お酒飲まないとやってらんないっつーの。



「いいじゃない、彼はここに来ないんだから」



そうだ、橘は何故かここには来ない。

美和さんが怖いのか、お酒弱いから来ないだけなのか。

唯一、心安らぐところなんだ。


井戸端会議大好きな人達に囲まれずに済む。

興味津々な小学生達に何で何でと質問攻めされずに済む。

お巡りさんの電話攻めされずに済む。



「ねぇ、美和さん。あの人っていい人?」



美和さんは困ったように微笑んでから背を向けた。



「えぇ、いい人じゃないかしら。極道だからって悪いってわけじゃないんだし」



でも変態だし、ストーカーだし、馬鹿だし。


ストローを咥えて煙草みたいにしていると、美和さんが手を伸ばしてストローを掴む。



「女の子がそんなことしないの」



「はぁい」



やっぱり私の大好きな場所だ。



誰にも邪魔されない幸せな「空ぁぁぁ!!」



…たった今、邪魔されました。



振り返ると悩みの種、ストーカー橘が現れた。



「こ、こんな時間まで出歩くな!短いスカートで出かけるな!酒なんぞ、まだ早い!」



父親面してるよ、この人。

ていうか、目が怖い。脚をガン見してきてる。


思わず近くにあったトレーでぶん殴ってしまったが後悔はしていない。



うん、ストーカー退治しました。




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