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893とJK。  作者: にこる。
1/8

彼は極道です。

「俺の女になれ」


今時、こんなセリフで告ってくる奴って少ないと思う。

そして、上から目線ってどういうこと?

豪華な花束を押し付けてくるのも止めてほしいんですけどね。


「嫌」


精一杯の笑顔で拒否をすると、男は持っていた花束を地面に叩きつけて私を睨んだ。

そんなんでビビるわけでもないので、睨み返すことにした。

大体、断られてるの何度目だと思ってんの?

もう15回目なんですけど?

いい加減、諦めたらどうなんですかねぇ。



「何でだ!俺はお前のことをっ」


「ヤクザの女房にゃなりたかないって言ってんですよ」


いい加減にしてほしいんですよ、こっちは。


毎度、学校の校門でこんな告白されてたらね…。



『姐さんがまたプロポーズされてるぞ!』


『関わっちゃダメだよっ』



少し離れたところからコソコソと話声が聞こえる。


そう、こいつが現れてから私の積み重ねてきた『優しくて大人しい』イメージが崩されてしまった。


学校というものは本当に噂が広まりやすい。

あることないこと混じって伝わってしまう為、良いことなんてひとつもない。

噂を消すにもひとりではどうにもできないし、この男が来なくなるまでは無理だろう。



「か、堅気になりゃあ付き合ってくれんのか?」


「絶対嫌だって顔して言わなくてもいいですよ」



堅気になんかなれないって顔に書いてありますよ。

堅気になろうがヤクザであろうが、私は好きにならない。


常識知らずの馬鹿な男を誰が好きになるもんですか。


叩きつけられた花束を拾い集めて男に渡した。



「これ持ってお帰りください」



もうこれのセリフも何度目だろうか。


男もいつも通り、悔しそうにしながら帰っていく。


あの花束、本当なら欲しいところだけれど、貰ったら勘違いされそうだからいつも突き返す。


心の中では「花、ごめんね」と呟いているけれど、あの男は心でも読めるのだろうか。


振り返って花束を地面に優しく置いていった。



橘春人、26歳。


職業、極道の組長。


普通なら絶対関わることのない人。


関わりたくない人と言ってもいい。


それなのに、私は好かれてしまったんだ。


原因はただひとつ。



遡ること2週間前。


彼と私が出会ったんだ。



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